温泉旅館に泊まるにあたり、女性が温泉や料理と同じくらい楽しみにしていることと言えば、浴衣を着ることではないでしょうか。
今回は旅行先での湯めぐりや町歩き、写真撮影を楽しむために知っておきたい浴衣の着こなし方と、浴衣姿で歩きたくなる国内の温泉地を紹介します。
湯上り美人に欠かせない!温泉の浴衣がかわいい&色っぽい♡
一般的な温泉旅館に設置されている浴衣は、お祭りなどで着るものとは造りが違います。お祭りで着るいわゆる浴衣のサイズは、袖のたるんだ部分にあたる袖丈(そでたけ)、胴回りの大きさである身幅(みはば)、そして肩から裾までの着丈により変わります。
しかし温泉旅館で使われている浴衣のサイズは、着丈によってのみ変わってきます。このため、温泉用の浴衣は肩幅や胴回りのサイズ、好みや年齢にあわせた袖丈ではなく、身長にのみ合わせるかたちでサイズを選ぶ必要があるのです。
また着方も、温泉旅館にある浴衣とお祭りで着る浴衣では以下のように異なってきます。
- 普通の浴衣と、温泉旅館の浴衣の着方の違い
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- 長襦袢などの和服用の肌着は着用せず、素肌の上にそのまま着る
- 生地がやわらかく着崩れやすいため、着物の衿をこぶしひとつ分後ろへ引く「衣文(えもん)抜き」はしない
現在のように温泉で浴衣を着る風習が根付いた背景には、浴衣の歴史が関係しています。平安時代「湯帷子(ゆかたびら)」という名前で誕生した浴衣は、もともとは身分の高い人が入浴するときに着る衣装のことでした。
通気性と吸汗性に優れた浴衣は、その後まず湯上りに着るための衣装へと進化します。そしてさらに寝間着へ、そしてちょっとした外出に来ていく着物の略装になった後、お祭りや花火大会など蒸し暑い夏のイベントを彩る衣装として定着したそうです。
入浴を通して旅と楽しみ、心身を休める場所である温泉地に浴衣が欠かせないとされるのは、浴衣が持つ性質と役割ゆえだったのですね。
温泉の浴衣美人になるには着こなし方法をマスターしよう
普段着ものを着ない人にとって、温泉旅館の浴衣はかわいいけれど、着崩れしやすく扱いづらくも感じますよね。
以下からは温泉旅館の浴衣を着崩れしにくく、きれいに着るためのポイントを紹介します。慣れれば簡単にできますので、ぜひマスターしてください。
温泉旅館の浴衣、着崩れしにくい着方講座
- 浴衣を羽織って、背筋を伸ばした状態で立つ
- お腹の上にくる箇所を摘まんで持ち上げ、裾の長さが左右同じになるよう調整する
- 裾の調整が終わったら、まず浴衣の右側を体に沿わせる
- 次に体に沿って浴衣を押さえた右手の上から、浴衣の左側を体に巻き付ける
- 右手を抜き、左手で浴衣の前を抑えながら、V字になった襟元を喉元が少し見える程度に緩める
- 前側に合わせ首の後ろ、うなじ部分も動きやすさを確保するために少し引っ張ってスキマを作る
※お祭り用の浴衣ほど大きく開けないこと!開けすぎると着崩れの原因になります。 - 帯を持ち、浴衣のかたちが崩れないよう押さえながら、帯の中間地点がお腹の真ん中に乗るように当てる
- そのまま帯を一周させ、体の後ろ側でクロスさせて両端をまた前へ持ってくる
- 左手で持っている帯が上にくるように、お腹の前でもう一度帯をクロスさせる
- 上側に来ている帯の端を右手で、もう一方を左手で持ち、右手で持つ帯に左手で持つ帯を巻きつけて1回縛る
- 右手で持つ帯が上を向いていることを確認したら、上向きになった帯の端をしたに向けぐっと引っ張る
- 引っ張った方の帯を右手、もともと下を向いていた方の帯を左手で持って輪を作り、右手で持った帯を上から巻きつけ蝶結びにする
ヘアスタイルも温泉向きにアレンジして抜かりなし
入浴をメインに楽しむ温泉では、みんなで清潔に温泉を利用しなければなりません。このため浴衣を着て温泉地を歩くときには、そのまま入浴しても問題ない程度に、ラフに髪をまとめるのがマナーです。
男女とも、以下を参考に髪型をアレンジしましょう。
- 温泉旅館で浴衣を着るときのおすすめヘアアレンジ
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- 髪が長い女性は、低い位置で簡単にまとめてお団子にする
- 髪の長い男性も、入浴時にお湯に髪が浸かるのを防ぐため簡単にまとめておく
- ショートヘアでアレンジを楽しみたいときは耳にかけるか、ヘアピンをつける
なお通気性・吸汗性に優れた浴衣を冬の温泉街で楽しむには、インナーと一緒に着て防寒対策をする必要があります。
具体的にはヒートテックなど、保温性の高い生地でできた下着とインナーを上半身・下半身の両方に着て、さらに上着を羽織って外出すると良いでしょう。
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東日本エリア-あの映画のモデルの温泉?インスタ映え国内温泉
ここからは浴衣で歩き、写真を撮って楽しみたくなる国内のおすすめ温泉地を東日本・西日本のエリア別に見ていきましょう。
まず東日本からは、以下5つの温泉地を紹介します。
渋温泉 歴史の宿 金具屋
開湯1300年をほこる温泉地にたたずむ、昭和11年造・木造4階建ての温泉旅館です。
入浴施設としては3つの大浴場、5つの貸切風呂を有し、すべて厳選かけ流し。
大浴場のお風呂は各湯舟のお湯が異なる源泉であるため、異なる色や泉質のお湯を一カ所で楽しめます。
スタジオジブリの映画「千と千尋の神隠し」のモデルになった外観、国の有形文化財登録を受ける広間や楼など、建物の内外だけでインスタ映えするポイントが目白押しです。
- 住所
- 長野県下高井郡山ノ内平穏2202
四万(しま)温泉 積善館
1200年前から湧き出ているとされ、国民健康保養温泉地第1号となった四万温泉で300年の歴史を持つ温泉旅館です。
日本最古の湯宿建築と伝えられ、現在も本館玄関の梁は建設当時そのままに、昭和5年にできた本館の大浴場は大正ロマンを感じられる内装のままのこっています。
宿泊すればレトロな空間での入浴と、建物内外での写真撮影が一緒に楽しめるでしょう。
- 住所
- 群馬県吾妻郡中之条四万4236
修善寺温泉 新井旅館
弘法大師が発見したとされる温泉地に、150年前から存在する温泉旅館です。
修善寺温泉のなかでも、川端康成や芥川龍之介などの文豪が宿泊した宿として知られ、いくつもの棟にわかれた館内は「渡りの橋」でつながれています。
昭和10年には15棟の建物が登録有形文化財に指定されていて、随所で非常に日本的な、趣ある場所での写真撮影を楽しめます。
また天然温泉かけ流しの温泉を、こちらも登録有形文化財となっている総ヒノキ造りのお風呂「天平大浴堂」で楽しめるのもポイントです。
- 住所
- 静岡県出石修善寺970
草津温泉
日本を代表する、代表的な温泉地一帯です。
中心地である温泉街には湯畑と呼ばれる源泉があちこちで湧き出し、立ち上がる湯気、イオウの香りが幻想的な風景を生み出しています。
浴衣を着て写真を撮れば、街の各所で日本の温泉地らしい風情ある写真を取れるでしょう。
- 住所
- 群馬県長妻軍草津町草津
THE SHINRA 森羅
これまでに紹介してきたところとは趣が異なる、モダンな雰囲気の宿です。
2019年5月に大々的なリニューアルを行った施設は全室露天風呂付き、かつオーシャンビューを楽しめる温泉リゾートのような雰囲気になっています。
通常、浴室での写真撮影は禁止されていますが、客室付きのお風呂なら撮影もし放題。
浴衣を着て、海をバックにお風呂の近くで写真を撮れば、インスタ映え間違いなしです。
- 住所
- 千葉県館山市塩見284-1
西日本エリア-レトロな洋館などにトキめくインスタ映え国内温泉
次に、西日本エリアで浴衣での町歩き、写真撮影を楽しめる温泉地を紹介します。
瀬戸内リトリート 青凪
世界的建築家・安藤忠雄氏デザインの全7室のスイートルーム滞在が楽しめる宿です。
安藤氏のデザインする建築物は非常にフォトジェニックなことで知られ、それぞれ趣が異なる各部屋では、贅沢感のある特別な写真撮影を楽しめます。
- 住所
- 愛媛県松山市柳谷町794-1
よしが浦温泉 ランプの宿
海に面し、山に囲まれた入江のような場所にたたずむ温泉宿です。
夜には周辺のみランプでぼうっと明るく照らされ、幻想的な独特の雰囲気に包まれます。
別名「聖域の岬」とも呼ばれる珠洲岬を有するパワースポットでもあるため、温泉とパワースポットめぐり、そして写真撮影の3つすべてを楽しめるでしょう。
- 住所
- 石川県珠洲市美岬町寺家10-11 葭ヶ浦温泉ランプの宿
温泉津(ゆのつ)温泉 旅館ますや
1300年前に狸が見つけたと伝わる温泉地にある、明治43年創業の温泉宿です。
大切に手入れされた館内では明治時代からのこる階段や天井を、周辺の温泉街では思わず浴衣を着て写真を撮りたくなるようなレトロな光景が観られます。
- 住所
- 島根県大田市温泉津町温泉津口32
湯の峰温泉 あづまや
1800年前に発見され、世界最古の湯とされる温泉地にある宿です。近年では、世界遺産に認定された熊野古道にある旅館として知られています。
紀州材を用い、江戸時代に建てられたとされる木造建築の館内では、歴史ある日本家屋ならではのレトロな雰囲気が感じられます。
重厚感のある槙風呂の大浴場の他、温泉御上記を利用したミストサウナ、周辺のつぼ湯などでの湯めぐりも楽しめるので、浴衣とスマホを持って出かけてみましょう。
- 住所
- 和歌山県田辺市本宮町湯峯122
白浜温泉
日本三大泉のひとつに数えられる温泉地です。
温泉地と青い海、白い砂浜を楽しめる関西髄いつのビーチリゾートとして知られています。
オーシャンビューの露天風呂を売りにしている旅館も多数あるので、宿泊する宿以外での湯めぐりも楽しめます。
浴衣を着ての写真撮影に適したスポットもたくさんあるので、周辺を散策してみましょう。
- 住所
- 和歌山県西牟婁郡白浜町
おわりに:正しい浴衣の着方を覚え、温泉旅行をもっとかわいく楽しもう!
温泉旅館で使われる浴衣は、つくりも着方もお祭りで着る浴衣とは異なります。このため基本的な着方と帯の結び方さえ覚えてしまえば、普段和服を着ない人でも、かわいく着つけることができます。浴衣を着たら、お風呂だけでなく温泉街ならではのレトロな建物、雰囲気のスポットへ出かけ、インスタ用写真の撮影を楽しみましょう。普段とは違う雰囲気の写真が撮れたら、旅の満足度もぐっと高まるはずですよ。
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