石川県、福井県、岐阜県、富山県にまたがる白山(はくさん)は、日本に数ある山のなかでも名峰として知られています。
今回は白山登山の魅力を、山の歴史や楽しみ方と一緒に解説。さらに、日帰り・一泊二日のおすすめ登山プランについても紹介していきます。
霊峰白山は富士山と並ぶ「日本三名山」のひとつ!
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白山は山梨県・静岡県の富士山、そして富山県の立山と並ぶ日本三名山のひとつ。
標高2,702mの御前峰(ごぜんみね)、標高2,684mの大汝峰(おおなんじみね)、標高2,677mの剣ヶ峰(けんがみね)の3つの山頂から成り、甲信越・北陸の名峰として知られます。
もともとは海底だった場所が、1億年近い時をかけて隆起し、噴火活動を繰り返した結果、現在の姿になったと考えられています。白山が人々に親しまれてきた歴史は古く、和歌に「しらやま」「越のしらね」として登場する他、山岳信仰の対象ともなってきました。
登山スポットとしての魅力は、万年雪と多様な高山植物を楽しめる山頂部と、広大なブナの原生林、そして豊かな自然のなかで生息する野生動物たち。
1976年には、自然及び天然資源の持続可能な利用と保護に関する科学的研究を行う政府間共同事業の一環として、ユネスコが認定する生物圏保護区にも選ばれています。
白山は日本のみならず、海外からも魅力ある名峰として評価されているのです。
高山植物や野生動物の宝庫
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ここでは、白山登山で楽しめる自然について、もう少し詳しく見ていきましょう。
高山植物の生息地という視点で見ると、白山は以下の特徴を持っています。
- 高山植物生息地としての白山の魅力
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- 日本の高山帯のうち、西端にあたる地域である
- 日本国内の高山植物の生息域として西限、または南限となることが多い
- 和名で「ハクサン」と冠する、希少な高山植物が多数自生している
年間を通して積雪がある白山山頂では、その環境や地形に適応したさまざまな高山植物が群生しています。
また、麓には広大なブナの原生林が広がっているため、標高の低いエリアでは以下のような動物の生息地となっています。
- 白山の麓、ブナ林で見られる動物
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- ツキノワグマ、ニホンカモシカなどの大型哺乳類
- イヌワシなど、大型の猛禽類 など
希少な高山植物と、日本古来の野生動物の姿・生態系を一緒に楽しめるのは、白山登山の大きな魅力と言えるでしょう。
開山1300年!禅定道で山頂を目指す山岳信仰の歴史
次に、人々の信仰対象としての白山の魅力を解説していきます。
夏でも白く神々しく輝く山姿、そして、自然の恵みをもたらし人々の暮らしを支えてきたことから、白山はかなり古くから周辺地域において信仰の対象だったようです。
その証拠に、崇神(すじん)天皇が統治していた紀元前には、白山比咩神社(はくさんひめじんじゃ)が建立されていた、という記録がのこされています。
奈良時代の養老元年、西暦717年には天空に現れた白山神・貴女からのお告げを受けた現在の福井県の僧・泰澄(たいちょう)が、初めて白山の登頂に成功。このとき、山中・山頂での修行を経た泰澄が「白山に住まう神々の姿を感じ見た」という逸話が、地域に広く知られるようになります。
そこで、もともとは麓から白山を拝み見るだけだった周辺地域の人たちにも、修行を兼ねて山を登り、山の神々に祈りを捧げる登拝(とはい)の習慣が生まれました。
やがて、白山の麓から山頂への参詣道は修行のための道である「禅定道(ぜんじょうどう)」、そして修行のゴールとなる白山山頂は禅頂(ぜんちょう)と呼ばれるようになります。
平安時代には、周辺地域の加賀・美濃・越前の国それぞれに馬場と呼ばれる登山口、禅定道の入り口が設定され、登拝者を受け入れるようになります。
三馬場と呼ばれていた場所は、現在の白山比咩神社、長滝白山神社・白山長瀧寺(ながたきはくさんじんじゃ・はくさんちょうりゅうじ)、平泉寺白山神社(へいせんじはくさんじんじゃ)のこと。
白山が現在も地域住民の信仰対象であり、全国的に霊峰と称えられるのは、このような宗教的な歴史が関係しています。たくさんの登拝者を受け入れてきた白山信仰は全国に広がり、現在では日本全国で2,700社以上にものぼる白山神社が存在しているそうです。
別当出合から山頂へ!1泊登山でご来光を見よう
冒頭で述べたように、白山は3つ峰からなる山の総称です。
このため御前峰、大汝峰、剣ヶ峰のどれを山頂と定めるか、またそれぞれへのルート設定によって、登山コースは変更できます。
つまり、難易度も描ける時間も、その人の経験やスキル、旅程に合わせて決めることができるというわけです。
そこでここからは、登山初心者でも挑戦できる白山登山コースとして、一泊登山プランとトレッキングコースをそれぞれ紹介していきます。
まずは、一泊二日かけて白山御前峰登頂をめざし。ご来光を拝むプランから紹介しましょう。
順路
- 1日目
- 石川県側の登山口・別当出合(べっとうであい)から約6㎞、およそ4時間かけて砂防新道(さぼうしんどう)、白山室堂(はくさんむろどう)まで行き一泊
- 2日目
- 午前4時半ごろに白山室堂を出発し約1.3㎞、およそ40分かけて登り、御前峰へ。ご来光を見た後、3時間ほどかけて往路のルートをさかのぼり、別当出合へ戻る
1泊するので余裕のある旅程を組む必要はありますが、御前峰から見える大パノラマのご来光は、疲れや悩みを吹き飛ばしてくれます。
思いっきり自然を楽しみたい、白山登山と通して普段のストレスを忘れたいという人には、おすすめのプランです。
気軽な日帰りトレッキングコースも豊富!
続いて、日帰りで挑戦できるおすすめのトレッキングコースを3つ紹介します。
三方岩岳(さんぽういわだけ)白山白川郷ホワイトロード
- 石川県、富山県、岐阜県側の大きな岩壁に囲まれた三方岩岳頂上の展望台をめざすコース
- 出発地は三方岩駐車場、または栂(つが)の木台駐車場。ふくべ谷登山道、三方岩登山道を通って300mほど登り、標高1,736mの地点をゴールとする
- 三方岩岳展望台では南に白山、東側に北アルプスの絶景を見ることができる
- 所要時間は三方岩駐車場からならおよそ1時間半、栂の木台駐車場からではおよそ2時間半。登山道の途中から登るコースのため、難易度は低く初心者にもおすすめ
刈込池(かりこみいけ)コース
- 上小池駐車場をスタート地点とし、標高1,115mの刈込池をめざすコース
- かつて、この地で修行をした泰澄が大蛇を討伐し閉じ込めたという伝説のある池をめざすルートで、道中では原生林、静かな湖面に映る山や空の美しい様子を楽しめる
- 難易度は中程度。下流側と上流側、どちらのルートを通るかにより調整可能
- 体力に自信があるなら、急な傾斜や階段が多い下流側のルートがおすすめ。所要時間はおよそ1時間半
白水の滝・白水湖
- 県道の終点、大白川ダム駐車場からスタートして白山ブナの森キャンプ場、白山展望台、湿原とブナ林、白山遊歩道、滝展望台、白水湖を巡って戻ってくるコース
- 基本的に遊歩道を歩くため難易度は低く、初心者向け。ゆっくり歩きながらの森林浴と、湖畔・乳白色の滝の絶景を楽しめる
- 所要時間はおよそ2時間半
おわりに:自然の絶景と歴史…魅力あふれる白山登山に挑戦してみよう
御前峰、大汝峰、剣ヶ峰が連なる白山は、富士山と立山と並び日本産名山に数えられます。紀元前の古くから周辺住民の進行対象となっており、奈良時代から平安時代にかけては麓や山上に寺社が建設され、登拝者の受け入れも開始。現代では霊験あらたかな霊山として、また絶景を楽しめる高山植物や野生動物の宝庫として、愛されるようになっていきました。
登山に挑戦するなら、魅力あふれる白山登頂もぜひ、候補地に入れてくださいね。
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