群馬県と新潟県の県境に位置する谷川岳は、日本百名山に数えられる三国山脈の一部です。
今回は谷川岳登山の魅力を、初心者におすすめのコースとトレッキングコース、登るうえで知っておきたい「魔の山」と呼ばれる所以まで、知っていきましょう。
谷川岳は初心者もベテランも楽しめる登山スポット
三国山脈の一角を担う谷川岳は、標高1,963mの「トマノ耳」と標高1,977mの「オキノ耳」の2つの山頂を持つ山です。
周辺の万太郎山(まんたろうさん)、仙の倉山(せんのくらやま)、茂倉岳(しげくらだけ)などと一緒に、谷川連峰を形成しています。
複数の山の尾根が連なった地域であるため、麓から2つの山頂への登頂をめざした登山をはじめ、谷川連峰の尾根を歩くトレッキングと絶景を楽しめるのが特徴です。
また谷川岳には、標高746m地点の「土合口駅」から1,319m地点「天神平駅」までは谷川岳ロープウェイが、「天神平駅」から「天神峠駅」までは峠リフトが設置されています。
このため、麓から設定された登山ルート以外にも、乗り物を利用して登山の難易度や距離を調整して登ることも可能となっています。
個人の体力・能力にあわせて登山の難易度を調整しやすいこと、また東京都心からのアクセスが良く、日帰で登山やトレッキングに来られる距離なのも谷川岳の大きな魅力。近年では初心者から経験豊富なベテラン、トレッキング愛好家まで、幅広い登山客が訪れる人気の登山スポットとなっているのです。
天神尾根ウォーキングコースはロープウェイとリフトを乗り継ぎ!
ここからはおすすめの谷川岳登山、トレッキングコースを紹介していきます。
まずは、登山を始めたばかりの初心者におすすめの「天神尾根ウォーキングコース」。
ロープウェイとリフトを活用して標高1,502mまで登った後、1時間ほど歩いて熊穴沢避難小屋という休憩所をめざすコースです。
熊穴沢避難小屋に人や売店はありませんが、休憩できるようベンチが設置されています。
周辺を散策して植物の観察や景色を楽しみ、しっかりと休憩して体力のある状態で、来た道をさかのぼって下山します。往復でトータルしても歩く時間が2時間程度で済むこのコースならば、登山初心者でも余裕を持って挑むことができるでしょう。
谷川岳の山頂を目指すコースにチャレンジ!
続いて紹介するのは、天神尾根を―キングコースよりは体力・技術が必要なものの、比較的簡単に谷川岳登山を楽しめる「谷川岳山頂登山コース」。
ロープウェイとリフトを使って「天神峠駅」まで登り、熊穴沢避難小屋まで行った後、谷川岳の双耳峰であるトマノ耳・オキノ耳をめざすルートです。
往路の熊穴沢避難小屋からは以下の順に進み、尾根を伝って2つの頂上を踏破し、谷川岳が誇る360度の絶景を楽しむことができます。
谷川岳山頂登山コース、徒歩区間の順路
- 熊穴沢避難小屋
- 徒歩約30分
- 天狗のトマリ場
- 徒歩約30分
- 天神のザンゲ岩
- 徒歩約20分
- 肩ノ小屋
- 徒歩約10分
- トマノ耳
- 徒歩約15分
- オキノ耳
復路では、沖の耳から徒歩で約100分かけて熊穴沢避難小屋まで戻り、そこからは往路の道をそのままさかのぼって下山します。往復で5時間程度かかる工程であるため、相応の体力と筋力は必要です。
しかし、歩くのが難しいような危険な道は含まれていないので、登山初心者でも体力のある人なら踏破可能でしょう。
一ノ倉沢トレッキングコースで水場を堪能
高所から見る景色よりも、ゆったり山を歩いて自然や景色を楽しみたいという人には、「一の倉沢トレッキングコース」がおすすめ。
このコースでは、谷川岳のうち標高1,000m未満の水場周辺を2時間ほどかけて歩き、清流や川岸の巨岩、沢を囲む雄大な山々を望むことができます。
一の倉沢トレッキングコースのおおまかな行程は、以下の通りです。
一の倉沢トレッキングコースの順路
- ロープウェイ「土合口駅」
- 徒歩約3分
- 谷川岳登山指導センター
- 徒歩約25分
- マチガ沢出合
- 徒歩約25分
- 一の倉沢出合
復路では、一の倉沢出合から約50分かけて谷川岳登山指導センター・土合口駅まで戻ってきます。
山頂を踏破する達成感はありませんが、その代わりに心身に余裕を持って山を歩き、高山植物や川の様子など、穏やかな山の景色を楽しむことができます。
このトレッキングコースなら、登山する自信がない人でも、自分に無理のない範囲で谷川岳の魅力・美しさを堪能できるでしょう。
谷川岳は「魔の山」?岩場は命の危険を伴うことに要注意
大正時代以降、およそ700名もの遭難者を出してきたという谷川岳は、地元の人や一部の登山愛好家から「魔の山」「墓標の山」と恐れられてきました。
実は、谷川岳は穂高連峰・剣岳とならび日本三大岩場に数えられる難関岩壁のある山で、過去に多くのクライマーが墜落事故で遭難・志望しているのです。
代表的なものは一の倉沢、マチガ沢、幽ノ沢の3か所で、なかでも一の倉沢には最大で800~900mもの標高差があると言います。
ここまでに紹介した登山・トレッキングのコースはそれほど難易度が高くないため、岩壁でのクライミングが必要になることはありません。
ただ、もし谷川岳で岩場のクライミングに挑戦したいと考えているなら、クライミングを伴う登山にはケガ・死亡のリスクがあることは重々理解しておきましょう。
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おわりに:谷川岳登山は初心者でも楽しめる!ただし、クライミングするなら要注意
トキノ耳・オキノ耳の2つの山頂を持つ谷川岳は、ロープウェイやリフトも設置された人気の登山スポットです。乗り物を活用すれば歩く距離や難易度をコントロールできるため、初心者や体力・技術面に不安のある人でも、谷川岳登山と雄大な景色を楽しむことができるでしょう。
ただし、難易度の高い岩壁クライミングを伴うコースを登るなら要注意。命の危険があることを理解したうえで、しっかり安全対策してください。
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