ホンモロコとは、モロコとも呼ばれる日本で昔から食べられてきた琵琶湖の名産品のひとつです。最近は生息数が減ったことで高級魚になりましたが、実は養殖可能で気軽に楽しめるようになったんです。
今回は、ホンモロコの特徴とメリット、養殖方法や飼育方法、料理方法とおすすめレシピ、お取り寄せ方法など、ホンモロコの魅力を余すことなく紹介します。
ホンモロコの特徴|釣りや養殖で楽しめる高級魚
ホンモロコとは、滋賀県琵琶湖の固有種の淡水魚で、生物学的に言うと硬骨魚綱コイ目コイ科タモロコ属の魚です。一般的に流通している体長は9cm〜14cmで、10cm程度の個体が多いといわれています。
日本産のコイ科の魚のなかでもとくに美味しいとされ、滋賀、京都大阪などの関西圏では、高級料亭でも使われることが多い高級魚です。なかでも「子持ちモロコ」は、とくに高級な琵琶湖の名物として愛されています。
ホンモロコの漁獲量が著しく下がった1996年以降に価格が急騰したことで、かなりレアな食材になってしまいました。琵琶湖での生息数がかなり少なくなり絶滅危惧IA類に指定されています。水産資源と環境を守るために、滋賀県と周辺の自治体で、生息水域の環境改善や外来魚の駆除、ホンモロコの養殖、放流などに取り組んでいるそうです。
現在は、日本全国でホンモロコの移植が行われていて、東京都奥多摩湖、山梨県山中湖・河口湖、岡山県湯原湖など定着しているところもあり、養殖事業に取り組む地域も増えています。
ホンモロコとタモロコとの違い
モロコは諸子と書き、コイ科の魚で体の細長い小魚につけられることが多いといわれています。モロコと名がつく魚にはタモロコ属、スゴモロコ属、カワバタモロコ、ヒナモロコなどがありますが、ホンモロコはタモロコ属の魚です。
同じタモロコ属の魚に、ホンモロコと似ているタモロコがあります。琵琶湖に生息するモロコをホンモロコ、ほかの地域に生息するモロコをタモロコとする場合もありますが、本来は近縁種ではありますが違う魚です。ちなみに、関東(おもに伊豆諸島)では、クエのことをモロコと呼ぶことがあります。海釣り、船釣りで「モロコ」という言葉が出たときは、ホンモロコやタモロコではなく、クエのことになるので注意してください。
ホンモロコは、タモロコと比べて体が細長く、口が上を向き、口先が尖っています。また、口ひげが少なく瞳孔の半径より短い、側線より下部の縞模様が薄い、タモロコよりエラの数が多いという特徴もあります。ただし、生息環境により特徴が変化することがあり、タモロコとの雑種もいることから、見た目での判別は難しいときも多いです。
ホンモロコの養殖
ホンモロコは、滋賀県でも養殖されていますが、どちらかというと埼玉県や千葉県、栃木県などの関東甲信越、鳥取や島根などの中国地方のほうが盛んです。埼玉県は、ホンモロコの養殖生産量が日本一であり、ブランド基準を設けて「彩のもろこ」として販売していて、2016年には加須市の埼玉県水産研究所で「子持ちホンモロコ」の養殖技術を確立しています。
養殖には水槽、池、休耕田を使った方法がありますが、休耕田での養殖が多いです。山梨の「ふじかわもろこ」、栃木県小山市の「ラムサールホンモロコ」など、独自ブランドも増えています。
ホンモロコの釣り
ホンモロコの移植は全国に広がっているので、三方湖、諏訪湖、山中湖などでも釣果が見られるように、琵琶湖以外の湖でも釣れる可能性はあります。ただし、ホンモロコが琵琶湖以外の湖で釣れることは極めて少ないです。天然のホンモロコの釣りを楽しみたいなら、琵琶湖や琵琶湖に流れ込む川を狙いましょう。
ホンモロコは、水深5m以上の沖合の湖沼中層を群泳していて、おもに動物プランクトンを食べていますが、3月〜7月産卵のときに藻類群がある沿岸に移動し、水生昆虫や小型甲殻類を食べることもあります。
琵琶湖での産卵盛期の4月〜5月です。子持ちホンモロコを狙うなら、4月〜5月に琵琶湖沿岸や小川の流れ込みで、藻群や葦、倒木、捨て石、桟橋の先端などの隠れられる場所を狙うのがおすすめです。
子持ちホンモロコにこだわらないなら、ホンモロコ釣りは1年中楽しめます。特別な仕掛けは必要なく、赤虫やキヂ(小ぶりのミミズ)をエサに、ポイントが近い場合は手竿でのウキ釣り、遠い場合はアジングやメバリング用のウルトラライトタックルでのサビキ釣りが一般的です。ミャク釣りやワカサギ釣りの流用でも楽しめます。
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ホンモロコの料理|唐揚げ、丸揚げ、塩焼きがおすすめ
ホンモロコは、淡水魚特有の臭みやクセがほとんどない、淡白で上品な旨味を楽しめる白身魚です。鮎のような、シシャモのような、独特な美味しさを楽しめます。骨がやわらかく、ウロコも内臓もとる必要がないため頭から尾までまるごと食べられるので、魚の栄養をまるごと摂取できるところもメリットです。
なお、ホンモロコには寄生虫のリスクがあるため、生食には向いていません。身が小さい小魚ですから刺身にすることはないでしょうが、食中毒予防のため、必ず加熱調理して食べましょう。
小型のホンモロコは、天ぷらや唐揚げ、佃煮、南蛮漬けで、大型のホンモロコは塩焼きにすると、美味しさをより楽しむことができます。最近は、オリーブオイル漬けも人気です。
ちなみに、ホンモロコ本来の旨味楽しみたいなら、薄味で仕上げられる塩焼きや、ワカサギ揚げのように丸揚げにすることをおすすめします。手軽に簡単に仕上げたいなら、唐揚げや天ぷらで丸揚げするか、南蛮漬けにするのがおすすめです。
ホンモロコに下処理は必要ありませんが、簡単な下処理をすると、より美味しく仕上がります。
- ホンモロコの下処理
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- ホンモロコのぬめりをとるように、水洗いする
- ホンモロコを氷水に入れ、氷漬けにして締める
- ホンモロコを氷水から出し、よく水洗いする
- キッチンペーパーで1尾ずつ丁寧に水気を拭きとる
ホンモロコのおすすめレシピ
ホンモロコの塩焼き(フランパン)
魚焼きグリルがない場合でもできる簡単な塩焼きです。小型のホンモロコでも美味しく仕上がるので、ホンモロコ本来の旨味を楽しみたい人におすすめです。
- 下処理後、キッチンペーパーに水気をとったホンモロコを並べ、全体的に塩を振る
- フライパンにオリーブオイルを1滴たらし、薄くひろげる
- 弱火で2分予熱し、ホンモロコをフライパンに並べ弱火で4分加熱
- ひっくり返して4分加熱。この作業を3回繰り返す
- キツネ色になったら焼き上がりのサイン。キッチンペーパーに並べて余分な油をとる
- お皿に盛り付けて完成
オリーブオイルを入れすぎると「揚げ焼き」になってしまうので注意しましょう。火加減はできるだけ弱くするのがポイント。ゆっくりじっくり、20分はかけて焼き上げてください。
ホンモロコの唐揚げ(揚げ焼き方式)
シンプルで簡単な、ホンモロコの家庭料理の定番。料亭で出される料理でもあるので、贅沢気分も楽しめます。淡白ながら、満足感のある「メインディッシュ」として楽しめる料理です。
- 下処理後、水気を切ったホンモロコに軽く塩を振り下味をつける
- 水気が出てくるので、キッチンペーパーで水気をとる
- 唐揚げ粉(薄力粉と片栗粉が1:1)を薄くまぶして衣をつける
- 半身が浸かるくらいのサラダ油を入れ、ホンモロコを揚げる
- 身を返し、全体がふっくらこんがりとしたら取り出す
- お皿に盛り付けて完成
揚げ焼き方式で唐揚げにすると、油の処理が楽です。衣はできるだけ薄くしたほうが、ホンモロコ本来の旨味と風味が楽しめます。醤油にしょうが汁を絞ったつけダレで下味を付ける方法もおすすめです。
ホンモロコの南蛮揚げ
南蛮揚げは保存も効くので、ホンモロコがたくさん手に入ったときにおすすめです。じゅわっと広がる甘酸っぱい旨味は、ご飯のお供、お酒のお供に最適。子どもから大人まで楽しめる料理です。
- ホンモロコの唐揚を作る
- だし汁150cc、酢50cc、砂糖大さじ1、酒大さじ2、醤油大さじ1杯半、塩少々を混ぜて合わせ酢を作る
- 合わせ酢をバット等に入れ、ホンモロコの唐揚げを漬け込む
- 粗熱をとったら、輪切りにした鷹の爪を入れ、冷蔵庫で保存
- 食べたいだけお皿に盛り付けて完成
合わせ酢は、だし汁と酢3:1を基本に、アレンジしてOK。子ども用に少し甘めに作ったり、酢を少なめにしてレモンを入れても美味しいです。子持ちホンモロコの南蛮漬けは、さらに旨味とコクが出るので、絶品。ぜひ一度試してきてください。
ホンモロコは養殖、飼育も可能|自宅での飼育方法は?
ホンモロコは、食用だけでなく癒しやリラックス目的の観賞魚としてのニーズもあり、養殖、飼育の需要は高まっています。「ホンモロコ 養殖 儲かる」で検索している人も多く、販路が獲得できるのであれば、副業や起業の手段として使える可能性もあります。
アクアポニックスでも飼育可能な魚なので、SDGsのブランディングや情操教育として養殖、半自給自足のために飼育しても良いかもしれません。
観賞魚用のホンモロコが1尾500円程度、養殖種苗用のホンモロコが1尾6円〜7円程度で流通しているので、趣味、ビジネスどちらの用途でも取り掛かりやすいです。
ホンモロコの飼育方法
ホンモロコの養殖には、水槽、池、休耕田を使った方法がありますが、事業規模や環境などで適切な飼育方法が変わってきます。
ここでは、自宅でできる範囲の水槽での飼育方法について解説します。
ホンモロコの飼育に必要な設備
ホンモロコは、コイ科ということもあり環境の変化に強く飼育しやすい魚ではありますが、臆病な性格なので、水草や置き石などの「隠れられる場所」を水槽用インテリアとして用意したほうが良いです。また、低温になると食欲不振や体力の低下が起こることがあるので、温度計で水温が25℃前後になるように管理し、必要に応じてヒーターを使うことをおすすめします。
- 最初に用意したほうが良いもの
ホンモロコに適した水槽と飼料(エサ)は?
ホンモロコを観賞用で飼育する場合は、5匹〜10匹であれば60cm以上の水槽を使いましょう。水質管理などの手間を考えるなら、金魚鉢よりも四角形の水槽がおすすめです。
ホンモロコに適した飼料(エサ)は、サイズによって変わってきます。1cmに満たない稚魚の場合は、人工飼料の食いつきが悪い場合があるので、飼料用のミジンコや赤虫を与えて様子をみましょう。ある程度のサイズであれば、川魚用の人工飼料でも問題ありません。ブラインシュリンプなどは手に入りやすいのでおすすめです。
健康と長生きのために、人工飼料を中心に、ミジンコや赤虫、水草を与えて様子をみてください。食べ残しを放置すると水質が悪化するので、こまめに取り除きましょう。
ホンモロコの飼育での注意点
ホンモロコは、比較的水質変化に強いといわれていますが、水質が悪化したまま放置すると病気などの原因になります。観賞用のアクアリウム的な観点からも、不潔な状態は良くありません。ホンモロコのストレスにならない程度に水合わせをして、定期的に水換えを行いましょう。アクアポニックスにすると、水換えの頻度が少なくなるので、手間がかからなくなります。
また、ホンモロコを水槽で飼育するときは、エアーが止まってしまうと生存率が下がります。エアーの掃除やお手入れもこまめに行うようにしてください。
なお、飼育したホンモロコを川や湖に放すことは、生態系の保護から禁じられています。飼育した生物は、最後まで責任をもって飼育してください。
ホンモロコのお取り寄せ|佃煮、冷凍、生体が入手可能
ホンモロコは、通販やネットショップなどでお取り寄せが可能です。加工食品としては佃煮の流通が多く、琵琶湖産の活魚は時期が限られますが、冷凍のホンモロコ、埼玉産などのホンモロコはお取り寄せできます。生体も観賞用から養殖用まで入手可能です。
熊谷のお米とおさかな くまのマルシェ
- 地下水だけで養殖したホンモロコ
- 活魚も扱っているのが嬉しい
- 活魚がない時期は冷凍ものをお取り寄せできる
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あゆの店きむら|木村水産株式会社
- ホンモロコをはじめ、琵琶湖の魚のお取り寄せで有名
- 高級天然ホンモロコの佃煮を手軽に楽しめる
- 自分用でもギフト用でも使える
自給ラボ|自給ラボ株式外社
- 自給自足や自家養殖、DIY農業の情報を発信する企業
- ホンモロコの生体だけでなく、飼育キットもお取り寄せ可能
- 事業化のアドバイスもしてもらえる(有料)
おわりに:ホンモロコは家庭でも気軽に楽しめる高級魚。まずはお取り寄せで試してみよう
ホンモロコは、淡水魚特有の臭みやクセがなく、淡白で上品な旨味を楽しめる琵琶湖固有の淡水魚です。現在は、移植や養殖が広がったこともあり、以前よりも気軽に食べられるようになりました。塩焼き、唐揚げ、天ぷら、南蛮揚げなど、定番の簡単レシピもありますし、アレンジレシピも豊富です。カルシウムやビタミンA、EPAやDHAも豊富なので、健康レシピとしてもおすすめできます。まだ食べたことがない人は、ぜひ一度お取り寄せしてみてください。興味がある人は、自宅での飼育、養殖もおすすめです。
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