鮭や鱒の卵を加工した筋子やイクラは、縁起の良い高級食材として親しまれてきました。
今回は筋子やイクラに含まれる栄養価に着目し、両者の違いや期待できる健康への効果、食べるうえで知っておくべき注意点などをまとめて解説します。旅先のグルメやお取り寄せを楽しむときの参考にしてください。
筋子とイクラって何が違うの?
筋子もイクラも、サケ科の魚の卵という意味では同じものです。違いは、卵巣膜に包まれた状態か、一粒ずつに分けられた状態かにあります。
筋子とイクラ、それぞれの定義
- 筋子
- サケ科の魚卵を、卵巣膜に包まれた状態のまま加工したもの
- イクラ
- 卵巣膜から取り出し、一粒ずつの状態に分けたサケ科の魚卵
どちらも加熱をせず、塩漬けや醤油漬けにして生のまま食べるのが一般的です。
筋子とイクラの一般的な加工方法
- 塩漬け
- 古くから行われてきたか後方で、塩蔵とも言う。はじめに塩水で処理したのち、もう一度味付けを目的に塩漬けして作る
- 醤油漬け
- 近年になってから、使われるようになってきた加工方法。筋子やイクラのきれいな色が損なわれないよう、色のつきにくい醤油に漬け込んで作る
なお、筋子は親となる魚の種類や産地により、呼び方や見た目・味わいが異なる場合があります。以下に呼び方や産地別の違いをまとめましたので、参考にしてください。
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親の種類・産地による呼び方や見た目、味わいの違い
親の種類による呼び方の違い
- 親が紅鮭の場合
- べに子
- 親が銀鮭の場合
- ぎん子
- 親が鱒の場合
- ます子
- 親が白鮭の場合
- さけ子、ちゃむ子、はら子
- 親がキングサーモンの場合
- きんぐ子
- 親がトラウトサーモンの場合
- とらうと子
産地による、見た目や味わいの違い
- 日本国内産のもの
- やや黒っぽく見える色合い。大粒で薄い塩味をしている
- アラスカ産のもの
- 粒が大きく鮮やかな赤色だが、時間とともに黒く変色する。塩辛い
- 北欧産のもの
- 発色がよく、色目がきれい。甘口で高値で取引される傾向がある
- ロシア産
- 醤油漬けで甘辛く味つけされることが多い。量販店で広く流通している
筋子やイクラの栄養は健康にどう役立つの?
筋子やイクラに含まれる栄養とその効果をまとめると、以下のようになります。
DHAとEPA、オレイン酸
筋子とイクラには、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)、オレイン酸という脂質が含まれています。
不飽和脂肪酸に分類これらの脂質には、糖尿病や高血圧、高脂血症など生活習慣病を予防・改善する効果があります。
ビタミン類
筋子・イクラには複数のビタミンが含まれていて、それぞれ以下の健康効果が期待できます。
- ビタミンE
- 細胞の老化・劣化を防ぎ、体を健康で若々しい状態に保つ
- ビタミンA
- 免疫力を上げて感染症を予防し、目の機能を改善・維持する
- ビタミンB1
- 糖のエネルギー変換を助け、神経の働きを正常に保つ
- ビタミンB2
- 脂質の代謝を助けて高脂血症を予防し、皮膚や粘膜を健康に保つ
- ビタミンB12
- 精神を安定させ、悪性貧血を予防・改善する
- ビタミンD
- カルシウムと結合して運び、骨や歯を作るのを助ける
アスタキサンチン
筋子・イクラの赤色の源である色素成分です。非常に強い抗酸化作用があり、細胞の老化や劣化、またこれによる疾病やがんの発症を防ぎ免疫力・治癒力を高めてくれます。
アミノ酸
筋子・イクラにはアミノ酸も豊富に含まれています。なかでもシスチンとアルギニンが豊富とされ、食べると以下のような健康効果をもたらしてくれます。
- シスチン
- 肌にうるおいとハリ、髪にはツヤを与えて健康で美しい状態を保つ
- アルギニン
- 体の成長や疲労回復、免疫力向上、一部の心臓病や生殖障害の改善
ミネラル類
カルシウムや鉄、マグネシウムなど、筋子・イクラはミネラル成分も多く含む食品です。
ビタミン類とミネラル類は、どちらも私たちの心身の健康を維持するのに欠かせません。
筋子・イクラを食べるとこれらを一緒に摂ることができるので、健康で丈夫な体づくりや免疫力アップ、精神の安定に役立つでしょう。
筋子やイクラを食べるときの注意点は?
筋子やイクラを食べるうえで気になるのが、生活習慣病や通風の一因となるコレステロールや塩分、そしてプリン体の値ではないでしょうか。
以下に筋子やイクラ100gあたりのコレステロール、塩分、プリン体の量を並べました。
筋子・イクラ100gあたりのコレステロール・塩分・プリン体量
- コレステロール
- およそ480㎎
- 塩分
- およそ2.3g
- プリン体
- およそ15㎎
コレステロールと塩分量については、他の食品や塩分の1日当たりの摂取目標と比較しても含有量が多いと言えます。
ただ、コレステロールについては1日の摂取目標・制限量は設定されていません。
このため、毎日大量に食べるなどしない限りは、筋子・イクラのコレステロール量を気にする必要はないでしょう。
考慮すべきなのはむしろ塩分量で、これに塩やしょう油の味付け分を加えると、かなりの分量になることが予測されます。
食べすぎると高血圧や体調不良の原因となりますので、注意が必要です。
またプリン体の量については、納豆の115㎎やタラコの120㎎と比較しても、決して高いわけではありません。こちらも食べすぎないよう、適量を心が得ていれば問題ないでしょう。
おわりに:適量を食べるなら、筋子やイクラは健康効果の大きい食品!
プリン体やコレステロールが多いイメージのある筋子・イクラ。しかし一方ではさまざまなビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸を含む栄養価の高い食品でもあります。実際のところ、他の食品と比べても筋子・イクラに含まれるプリン体とコレステロールの量はあまり多くありません。適量を食べる限りは、むしろ健康へのメリットの方が多いでしょう。
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