野菜を長期保存するための方法のひとつとして、漬物は日本で古くから作られてきました。今回は漬物がもつ栄養や健康への効果、食べるときに気になる塩分量のことまで、健康のために漬物を食べるうえで知っておきたい情報をまとめてご紹介します。旅先のグルメやお土産選び、贈り物やお取り寄せの際の参考にしてください。
漬物が健康作りに役立つのはなぜ?
熱を加えて栄養を壊すことなく、野菜がもともともつ栄養だけでなく、発酵食品の栄養も摂取できる漬物は健康に良い食べ物です。
野菜を生のままではなく、火を入れて料理するでもなく漬物として食べることにより、以下のような健康へのメリットが期待できるようになります。
水分が抜けて小さく柔らかくなるので、食べやすくなる
漬け方によらず、漬物を作るときには大量の塩を使います。このため漬物の野菜は水分が抜け、小さく柔らかくなるため、生野菜をそのままで食べるよりもたくさん野菜の栄養を摂取できます。
油を使わずヘルシーに、栄養を壊さず食べられる
漬ける過程で水分が抜けても、生の状態から栄養はほとんど抜けていません。
また、サラダや炒め物にして食べるときのように油を使わないので、生に近いヘルシーな状態のままおいしく野菜を食べられるでしょう。
漬物ならではの栄養が野菜と一緒に摂れる
作り方により、漬物には野菜そのものが持つ栄養以外にも、栄養価がプラスされます。
- ぬか漬けなら…
- ぬか床の微生物が作りだしたビタミンB群が野菜の中に移行するので、一緒に食べられる
- 乳酸菌発酵漬物なら…
- キムチやぬか漬けなど、乳酸菌の発酵作用を応用して作る乳酸菌漬物からは、野菜が持つ食物繊維と一緒に乳酸菌を摂れるので腸内環境を整えるのに効果的
また乳酸菌が生みだし、漬物に付与する栄養である「GABA」には、脳をリラックスさせて眠りに入りやすくする作用があることも確認されています。
栄養を損なうことなく追加して、さらに食べやすくしてくれる漬物は、私たちの心身の健康に多くのプラス効果をもたらしてくれるのです。
漬物には塩分がどれくらい含まれてる?
保存食という意味合いが薄れ、塩分の摂りすぎによる健康リスクが注目されるようになった現代では、昔に比べ漬物に含まれる塩分量は少なくなっています。
かつて、漬物の塩分濃度は10%程度が一般的でしたが、近年では5%以下にまで抑えられ、塩味だけでなく野菜の風味を活かした味に変わってきているのです。
例えば、一般的な梅干しの塩分濃度は22g、ザーサイは13.7g、塩の他に味噌など別の調味料を使ったごぼうの味噌漬けは7gでした。
調味に塩だけを使った漬物の塩分濃度は低い傾向にあり、なすの塩漬けは1.5g、野沢菜の塩漬けは2.2g、白菜の塩漬けは2.3g程度です。
このため、選ぶ種類や食べ方によっては、漬物で食べるよりも塩分たっぷりのドレッシングをかけてサラダを食べる方が、塩分摂取量が多くなる可能性があります。
油分を使わず野菜を食べられるという意味でも、塩分濃度が低い漬物をたくさん食べた方が、体に良い場合もあると覚えておきましょう。
塩分は少な過ぎもよくない?
摂取を敬遠されがちな塩分ですが、その正体はミネラルの一種であるナトリウム(塩化ナトリウム)です。
人間の筋肉の収縮に欠かせない栄養であり、不足し過ぎるとけいれんや意識障害の原因に、過剰に摂取し過ぎると高血圧から脳疾患・心疾患を引き起こします。
塩分は体内の細胞を保護し、消化を促進し、脳神経伝達を助けてくれます。私たち人間の生命維持に欠かせない、摂取し続ける必要のある栄養です。
厚生労働省の発表によると、健康な成人1人当たりの適切な塩分摂取量は10g以下。
一食当たり2.0~2.5gくらいを目安に摂取すると、3回食事しても6.0~6.5gくらいになるので、基準量を下回れます。
1食ならびに1日当たりの適量を知り、健康的な和食を自炊すれば、塩分の過剰摂取は防げるでしょう。
おわりに:漬物からは野菜そのものに加え、発酵食品の栄養も摂取できる!
野菜を小さく柔らかくし、食べやすい量に変えてくれる漬物は、野菜そのものが持つ栄養価に加え発酵食品としての健康効果も得られる食品です。毎日少しずつ食べれば、ビタミンによる美肌や免疫力アップ、食物繊維と乳酸菌による便通改善、GABAによる睡眠障害改善など健康効果を実感できるでしょう。
ただし、塩分摂取量が過剰にならないよう、1日あたりに食べる量は調節する必要があるので、注意してください。
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