有酸素運動であるランニングと無酸素運動である筋トレの併用は、健康やダイエット目的で行われる代表的な組み合わせです。
今回は、ランニングと筋トレを併用する場合の効果的な順番と理想的な頻度、より効率的に筋肉量を増やすための食事方法などについて解説していきます。
ランニングと筋トレの効果とは
全身を使ってカロリーと体脂肪を燃やすランニングと、筋肉を刺激し、大きくすることで基礎代謝量を上げていく筋トレ。
これら2つの運動から得られる体への作用をまとめると、以下のようになります。
- 有酸素運動であるランニングの主な効果
-
- 全身をバランス良く、スムーズに動かして運動できる
- 体脂肪と食事のエネルギーを効率的に燃やすが、筋肉量を減らす原因にもなる
- 無酸素運動である筋トレの主な効果
-
- 傷つけ、修復することを通して、筋肉を大きく強くしていく
- 一度の特定の部位に作用する運動しかできず、運動としての効率は悪い
つまり、ランニングは筋トレでは得られない運動効果を、筋トレはランニングにない運動効果を補える存在というわけですね。
片方の運動だけでは得られない効果を補えるところ、また両者の運動をよりスムーズに、ケガなく行うためにも、ランニングと筋トレの併用にはメリットがあると言えます。
筋トレはランニングの前?それとも後にするのが効果的?
無酸素運動である筋トレと、有酸素運動であるランニングを併用する場合は、運動によって得たい効果により順番を変えると良いでしょう。
以下に、「筋トレの後にランニングをする場合」と「ランニングの後に筋トレをする場合」のメリットを、それぞれ紹介していきます。
- 先に筋トレをしてから、ランニングを行うメリット
-
- ランニングを先に行う場合に比べ、効率の良い脂肪燃焼が見込める
- 中等度の筋トレで筋肉を刺激し、基礎代謝アップや脂肪細胞分解作用のあるアドレナリン、成長ホルモンを分泌させることで、有酸素運動による脂肪燃焼の効率も高くなる。
- 先にランニングをしてから、筋トレを行うメリット
-
- 先に筋トレを行う場合に比べ、心肺機能と持久力の向上が見込める
- ランニングは、肺と心臓をしっかり動かし多量の酸素を取り込み、全身に送りながら行う有酸素運動
- 心肺を動かしてから筋トレを行うと、より高い心肺機能・持久力アップの効果が得られる
運動により、脂肪燃焼・ダイエット効果をより得たいなら「筋トレ⇒ランニング」の順で、心肺機能向上や体力増強を目的とするなら「ランニング⇒筋トレ」の順で行いましょう。
ランニングと筋トレは毎日行っていい?頻度はどのくらいが理想的?
脂肪燃焼・ダイエットを目的にランニングと筋トレを行う場合は、「筋トレ⇒ランニング」の順に実施すること、そして継続できるくらいの負荷にするのがポイント。
具体的には、軽く汗ばむくらいの比較的軽い負荷の筋トレを10分行ってから、その後10~20分くらいのランニングをするのが効果的です。
なおダイエット目的の筋トレ・ランニングは、以下いずれかのペースで行うのが最も効率的に脂肪燃焼効果を得られると考えられています。
- 筋トレ・ランニングを併用する場合のおすすめペース
-
- 筋トレ&ランニングを同じ日に行うなら⇒間に休息日をはさみ、1日おきのペースで行う
筋トレは、筋肉に少々のダメージを与えて増強する行為。このため、毎日連続で行うと筋肉を修復する時間がないまま、再度傷つくことになります。
一方で、脂肪を燃焼し運動エネルギーに変えて行う有酸素運動は適切な負荷・時間であれば、できるだけ毎日続けてもOK。むしろ、運動効果を実感しやすくなります。
両者の特性を考えると、筋トレ&ランニングを同じ日に行うなら、筋肉に休息・修復の時間を与えられる「1日おき」の頻度で行うのが良いでしょう。
筋トレ&ランニングを別日に行うのなら、筋トレとランニングを毎日交互に行う、または筋トレのみ1日おきに行い、ランニングを毎日続けて行う方法もあります。
あなたの体力と運動に当てられる時間に合わせ、ペースを決めてください。
なお、脂肪燃焼に必要な酸素をしっかり取り込めない運動は、むしろ脂肪燃焼の効率を下げる恐れがあります。
筋トレとランニングでダイエット効果を得たいなら、息を止めて力を入れないとできないような筋トレ、息が上がり酸欠になるようなペースのランニングは控えましょう。
効率的に体を鍛える筋トレメニュー
せっかく筋トレとランニングを併用するなら、ランニングに必要な筋肉を鍛えて、楽にランニングできる体づくりも一緒に行っていきましょう。
以下に、ランニングに役立つ筋肉を育てるおすすめの筋トレ方法を5つ紹介していきますので、ぜひやってみてくださいね。
ランニングとの併用におすすめの筋トレメニュー
太ももの筋肉に効くもの
- スクワット
-
- 足を肩幅に開き、つま先は正面に向けて立つ
- 手を頭の後ろで組んだら息を吐きながらゆっくり、膝の角度が45~90度になるまでまっすぐ腰を落としていく
- 腰を落とすときは、お尻と腹筋はまっすぐになるように意識し、顔は正面を向いて、視線が落ちたり、逆に見上げて反り腰にならないよう注意。
- 腰を落としきったら2~3秒キープし、息を吸いながらもとの姿勢に戻る
- これを1回、10回を1セットとして1日2セットを目標に行う
肩甲骨周辺と背筋に効くもの
- リアレイズ
-
- 肩幅に足を広げて立ち、500g~1㎏程度のダンベルを両手に1つずつ持つ。ダンベルがなければ、500mlのペットボトルに水を入れたものでもOK
- 膝を軽く曲げて、上半身を少し前に倒して前傾姿勢に
- この姿勢のまま、ダンベルを持った腕を背中の方へ3秒かけて持ち上げ、また3秒かけて元の位置へ戻す。これで1回。
- 1日当たり、5~10回を目安に行う
安定した走りを支える体幹に効くもの
- クランチ
-
- まず両膝を立てた状態で、仰向けに寝転がる
- 手はおなかの上で、または胸の前で交差するのが基本姿勢。首を痛めている場合は、首の後ろで手を組んで支えてもOK
- みぞおちから背中を丸めるようなイメージで、自分のへそをのぞき込むようにして状藩士を持ち上げていく
- 持ち上げた状態で2~3秒キープし、ゆっくり元の姿勢に戻る
- これを1回とし、10回で1セット。1日あたり1セット以上行うと良い
- ヒップレイズ
-
- 仰向けに寝転がり、ふくらはぎと地面が並行になるように膝を直角に曲げ、持ち上げる
- リラックスした状態で、息を吐きながらお尻を少し持ち上げ、息を吸い込みながら戻す
- これを1回とし、10回で1セット。反動を使わず、骨盤だけを浮かせるよう意識しよう
- アームレッグクロスレイズ
-
- 四つん這いの姿勢になり、左手と右足を少し浮かす
- 息を吐きながら左手・右足を一緒に上げていき、限界のところで5秒キープ
- その後、息を吸いながらゆっくり元の位置へ戻していく。この一連の動きを1回とする
- 左右それぞれ5~10回ずつ行う。反動を使って手足を上げ下げしないこと、反り腰・猫背にならないよう意識するのが、効果を十分に得るためのコツ
筋トレするときの注意点
もし筋トレをするなかで痛みが出たり、上記に紹介した回数を行うのが難しい場合は、自身の筋力・体力に合わせた回数に減らしてもかまいません。
運動効果は、続けておこなって初めて効果が見えるようになるもの。まずは無理なく続けられる範囲で始めて、少しずつできることを増やしていきましょう。
運動前後の食事のおすすめって?プロテインは必要なの?
摂取カロリーは抑えつつ、筋肉の栄養となる糖・タンパク質を適切なタイミングで摂ることで、筋トレとランニングによるダイエット・筋力増強効果は高めることができます。
運動後の30分は、疲れて損傷した筋肉の栄養吸収率が高まるため、通称「ゴールデンタイム」とも呼ばれています。
普段の食事でも低糖質・高タンパクな食事内容を心がけるとともに、筋トレとランニングの後には30分以内にプロテインも摂取し、健康上の問題がないなら、ぜひプロテインも筋トレ・ランニングを併用しましょう。
- プロテインとは
-
- プロテインは、食品由来のタンパク質を粉末状に加工したもの
- 食品に含まれる余分な糖分やカロリー、脂肪分を摂取することなく、タンパク質だけを効率的に細胞に届けられる
- 運動による筋力増強効果の向上が期待できる
おわりに:ランニングと筋トレを併用するなら、狙う効果により順番を変えて
筋肉を刺激しアドレナリン、成長ホルモンを分泌させる筋トレと、全身を効率よく動かして酸素を送り、体脂肪を燃焼させるランニング。
これらはうまく組み合わせ、併用することで、さらに高い健康効果を得られるようになります。
脂肪燃焼・ダイエット効果を狙うなら、筋トレの後にランニングを。心肺機能や持久力の向上を狙うなら、ランニングの後に筋トレを行うのがおすすめです。無理のない範囲、適度なペースで行ってくださいね。
コメント