日本一高い山、富士山。登山を趣味としている人ならば、いつかは登ってみたいと考えるのではないでしょうか。
今回は富士山登山について、ルートの種類や違い、安全に富士登山を楽しむために知っておきたいリスクや注意点、混雑する時期などについて解説します。
富士山登山のルートの種類は?ご来光のおすすめスポットはどこ?
富士山登山は吉田ルート、須走(すばしり)ルート、御殿場ルート、富士宮ルートの4ついずれかのルートで行います。それぞれの概要は、以下のとおりです。
- 吉田ルートの概要
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- 地図上では黄色で表記される富士登山ルート
- 登山口は「富士スバルライン五合目」、標高2,305m
- 距離は登りおよそ6.8㎞、下りは詳細な距離不明
- 所要時間は登りおよそ6時間、下りおよそ4時間
- 六合目までは平坦、七合目にかけてはやや平坦なジグザグ道、七合目以上は岩場がち
- 令和元年度の登山者数は14万9,969人
- 須走ルートの概要
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- 地図上では赤色で表記される富士登山ルート
- 登山口は「須走口五合目」、標高1,970m
- 距離は登りおよそ6.9㎞、下りはおよそ6.2㎞
- 所要時間は登りおよそ6時間、下りおよそ3時間
- 七合目付近までは樹林地帯で穏やか、八合目以上は岩場になる
- 令和元年度の登山者数は2万215人
- 御殿場ルートの概要
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- 地図上では緑色で表記される富士登山ルート
- 登山口は「御殿場口新五合目」、標高1,440m
- 距離は登りおよそ10.5㎞、下りはおよそ8.4㎞
- 所要時間は登りおよそ7時間、下りおよそ3時間
- 八合目付近まで、緩やかな火山砂利の道が続く
- 令和元年度の登山者数は1万2,230人
- 富士宮ルートの概要
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- 地図上では青色で表記される富士登山ルート
- 登山口は「富士宮口五合目」、標高2,380m
- 距離は登りおよそ4.3㎞、下りはおよそ4.3㎞
- 所要時間は登りおよそ5時間、下りおよそ3時間
- 登山口から山頂まで、全体的にやや岩場が多い
- 令和元年度の登山者数は5万3,232人
なお、富士山を登るうえでの楽しみのひとつ「ご来光」を楽しめるおすすめスポットとしては、以下3ポイントが挙げられます。
- 富士山登山道、おすすめのご来光ポイント
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- 吉田ルート山頂付近、トイレや山小屋などもある「吉田口・須走口近く」
- 吉田口・須走口からやや南へ移動した地点、東側が開けた「成就岳付近」
- 山頂よりさらに登った地点、日本最高地点となる「剣ヶ峰付近」
富士登山を検討しているなら、基本情報として登山ルートの数と概要、代表的なご来光スポットはおさえておきましょう。
初心者におすすめの富士山登山ルートは?
登山を始めたばかりの人におすすめの富士山登山ルートは、ルート上に山小屋の多い吉田ルート、または最も距離が短い富士宮ルートの2つです。
ただ、どのルートを選んだとしても天候の変わりやすい3,000m超の高山に入り、頂上付近で急斜面の岩場を歩く必要があるという点では変わりません。
どのルートを使うにしても「簡単」「安全」ということはなく、富士山登山には常に遭難や事故の危険のあるのだと、よく心得てください。
近年では、観光客や登頂者の増加により「富士山が気軽・簡単に登れる山」という思い込む人も増え、軽装で入山する人も後を絶たないと言います。
傾斜がきつく、天候が変わりやすい登山道を軽装で歩くのは自殺行為です。
十分な装備を準備したうえで臨まなければ、途中で体調不良に陥り動けなくなるリスクもあります。
富士山登山に挑戦するときは、最低でも以下の服装・アイテムを装備してください。
富士山登山に不可欠なアイテム一覧
- 防寒具と雨具
- トレッキングシューズ、ヘッドランプ
- ザックまたはリュック、ザックにかけるカバー
- 手袋とタオル
- 脱水症状を防ぐための水、または清涼飲料水
- エネルギー切れを防ぐための軽食、または行動食
- 飲食物を買うための小銭、もしものときのためのモバイル充電器
富士山が混雑するのはいつ?人が多いと危険が高まるのはなぜ?
富士山の登山道が混雑するのは、登山ハイシーズンとなる7月中旬以降。
特に、週末には多くの人が訪れます。限られたスペースしかない登山道に人が増えると、以下の理由から事故・ケガのリスクも高くなってしまいます。
- 混雑により、登山中のリスクが高まる理由
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- 歩く人が多い分、落石とケガの発生リスクが高くなるため
- 自分のペースを守ることが難しくなるため、体調を崩しやすくなる
またご来光を見るために登山する人も多いため、1日のうち未明から日の出時間にかけての午前3~5時ごろの富士登山道が最も混雑しているとされます。
以下に、この時間帯の各ルートの混雑状況をまとめていますので、登山する日時を決めるうえでの参考にしてくださいね。
各富士登山ルート、明け方の混雑状況
- 吉田ルート
- 八合目は早ければ午前2時ごろから、九合目から山頂付近は午前3~6時ごろにかけて非常に混雑する。
- 須走ルート
- 八合目以上では吉田ルートと合流するため、吉田ルートと同様の時間に混雑が見られる。
ただし、それまでは特に混雑しない。 - 御殿場ルート
- 距離が長く、山小屋も少ない難易度の高いルートであるため、そもそもの登山客数が他のルートよりも少ない。このため、あまり時間帯による混雑も見られない。
- 富士宮ルート
- 山頂に近い九合目以上になると混雑してくる。特に混み合う時間帯は午前5~7時にかけて。
初心者向けの吉田ルートではどこからでも、富士宮ルートでも新七合目以上であれば、どこからでもご来光を拝めます。
低いところからご来光を見て、その後に山頂へ向けて出発しても十分に富士山登山は楽しめますので、安全に配慮し混雑を避けるようにしてくださいね。
富士山の「山小屋」はどんなときに使う場所?
富士山登山ルート上にある山小屋は、最低限の仮眠をとるための簡易宿泊所です。
各ルートのご合目以上には複数設置されていますが、利用する際には以下の注意点に留意しましょう。
- 富士山登山ルート、山小屋利用の注意点
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- 最低限の仮眠、休息のための設備しかない
- 基本的に男女相部屋で、混雑時には密着し横並びで寝るかたちになる
- お風呂や洗面所はなく、トイレも環境に配慮した特殊な仕様になっている
- 週末を始め、基本的に混雑しているため、宿泊には予約が必要
- 営業は登山道が開通している器官のみ、予約なしで夜間に突然来ても入れない
- 事前に依頼しておけば、簡単な食事を作って提供してもらえる
- 運搬に費用がかかるため麓に比べ割高になるが、水や食料を購入することも可能
- 荒天時の雨宿り、または休憩のためだけの利用は基本的に不可能
- 支払いは現金のみ、クレジットカードやキャッシュレス決済は使えない
山小屋によっては、営業期間中に混雑状態や現地の天候をブログで発信しているところもあります。
富士山登山ルート中の山小屋を利用したいなら、必ず事前に調査・予約してくださいね。
富士山登山で法律違反?知っておきたいルール
最後に、法律で禁止されている富士山登山中の行為についてご紹介します。
これらに違反すると、罰則や懲役刑を受ける恐れがあります。必ず事前に確認し、理解したうえで富士山へ入るようにしてください。
富士山登山中の禁止行為
- 花や実、虫など動植物の採取と持ち帰り
- 登山道にある、石や溶岩の移動、持ち帰り
- 指定された登山道以外を歩くこと
- 山中の建造物、または岩など自然構造物への落書き
- テントの設営や野宿、焚き火、バーナーなど火気の使用
- ペットなど動物を連れての入山、また放し飼い
おわりに:富士山登山のルートは4つ!危険を避け、マナーを守り登ろう
富士山を登るには吉田ルート、須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルートの4つがあります。登山初心者におすすめなのは山小屋の多い吉田ルート、そして距離の短い御殿場ルートです。ただし、これらのルートは7月中旬以降の週末を中心に、特にご来光前後の午前3~6時の時間帯に混雑します。必要な装備を整え、ルートや山小屋を事前に調査・予約したうえで、安全にマナーを守り富士山登山を楽しんでくださいね。
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