医療ツーリズムや温泉療法など、自然を活かした療養・治療が注目されている昨今、「クアオルト®」という言葉も注目を集めつつあります。
今回はクアオルト®とは何か、日本的な解釈で行う日本型クアオルト®との違いや、クアオルト®型健康ウォーキングの内容と合わせて解説していきます。
クアオルト®って?
クアオルト®は、ドイツ語の「Kur(治療、療養、保養のための滞在)」「Ort(場所、地域)」を組み合わせた言葉で、療養地という意味を持ちます。
具体的には、以下4つの療養要因を持つとしてドイツが認定し、医療保険の適用を受けて最長3週間、さまざまな治療・療養を受けられる地域のことを指します。
- ドイツでクアオルト®認定基準となる4つの要素
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- 土に由来する温泉や泥、蒸気
- 気候
- 海
- クナイプ式
- ※「クナイプ式」は、クアオルト®で行われる医療・療養プログラムの一種です。
自然を活用した医療処置を受けられる場所であるため、地域には専門医や医療機関など、自然療法や医療処置の並行を可能にするさまざまな施設が立てられています。
ただ近年では、医療保険を使って具体的な病気や疾患を治療するための地域・施設というよりも、自費で健康増進のために利用されるケースの方が増えているようです。
一方、日本型クアオルト®はドイツ型とは異なり、日本の風土や文化、国民性に合わせ以下のようなかたちで発展しています。
- 日本型クアオルト®の特徴
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- 自然療法を前提とした医療機関や、専門医はない
- 利用に際し、いかなる疾患のある人でも医療保険の適用は受けられない
- 昔ながらの温泉療養ができる場所、保養地というイメージが強い
- 近年では自治体をあげて、健康づくりのためのプログラムなどを提供していることも
クアオルト®健康ウォーキングって?
クアオルト®健康ウォーキングとは、療養地の気候や地形を利用しながら、疾患後のリハビリや治療・療養を目的に行うウォーキングプログラムのことです。
ドイツ・ミュンヘン大学のシュー教授が考案した、気候性地形療法®をクアオルト®に応用するかたちで、考案されました。
クアオルト®健康ウォーキングに期待できる効果としては、以下が挙げられます。
クアオルト®健康ウォーキングに期待される効果
- 太陽光を浴びることによるビタミンDの生成、骨の強化、自律神経の調整
- 高血圧など生活習慣病、骨粗鬆症治療、自律神経失調による不眠・不調などを改善
- 普段とは違う自然豊かな土地で過ごし、有酸素運動をすることにより
- 呼吸器系疾患、アレルギー症状、免疫機能、血液循環、体温調節機能の改善、筋力・持久力の向上
クアオルト®健康ウォーキングは、本人にとって無理のないペースで行うことにより、本来の効果を発揮するものです。
歩くときは、以下のポイントを意識してペース配分をしましょう。
クアオルト®健康ウォーキングのポイント
体温調節は「ちょっと冷える」くらいをキープ
歩いている間は、肌の表面が少しひんやりして、汗が乾いてさらさらする状態をキープしてください。
暑い、汗が出てきたと感じたら、首元のボタンを開けたり腕まくりをするなどして、継続的に体温調整しましょう。
心拍数を測って、ペース配分の参考に
傾斜を登るときは、運動への慣れ・不慣れを踏まえ以下の心拍数をキープすると、体に無理のないペースを維持することができます。
- 運動に慣れている人なら
- 心拍数=180―自身の年齢
- 運動に慣れていない人なら
- 心拍数=160-自身の年齢
- ※ただし、血圧降下剤を服用している人は上記の8~9割の心拍数に留めること。
なお心拍数は、手首の拍動を15秒間計測した後、4倍すると求めることができます。
また下りは、心拍数を気にせず無理のないペースで歩けばOKです。
おわりに:クアオルト®は療養地や保養地、クアオルト®健康ウォーキングは療養地を利用した運動療法のこと
ドイツ語からきているクアオルト®は療養地という意味を持ち、日本では温泉療養地などを指す言葉です。そしてクアオルト®健康ウォーキングは、療養に適した気候・土地を利用して行う運動療法の一種と言えます。健康増進の効果が期待できるので、興味のある人は医師に相談のうえ、挑戦してみましょう。
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