長野県にある高原地帯、志賀高原。地名だけ聞くと、スキーやスノーボードなど、ウインタースポーツスポットのイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
今回は志賀高原について、トレッキングスポットとしての魅力に着目して紹介。期待できる心身への健康効果や難易度、楽しみ方のコツにも触れています。
志賀高原はグリーンシーズンもおすすめ!何月が最適?
志賀高原は、長野県下高井郡山ノ内町内の高原地帯です。標高およそ1,000mの地点にあり、周囲を2,000m級の山々に囲まれています。
冬には18ものスキー場が営業するウインタースポーツスポットとして知られていますが、実は周囲の火山活動によってできた湿地帯。
雪のない時期、志賀高原は広大な湿原へと姿を変えます。平均気温が23度となる夏には、高原植物が生い茂るなか湖や沼、池が点在する美しい姿を見せてくれるのです。
遊歩道も整備されているので、雪のない時期にはトレッキングを楽しめるスポットに。
特に雪がなくなり、湿原にほわほわとしたワタスゲが生育する6月から紅葉の見られる10月までは、歩くだけで幻想的で美しい風景を楽しめます。
心と体の健康に「森林セラピーロード®」でリフレッシュ
森林セラピーとは、森林が人間の心身にもたらす良い効果を科学的に検証し、健康のために役立てようという考え方。
山や森のなかを歩いているときの植物の香り、きれいな景色、風で葉の揺れる音、野鳥のさえずりなどは、私たち人間の精神的な緊張を和らげストレスを軽減するそうです。
また、数十分以上の長い時間をかけて山や森の中を歩く有酸素運動は、全身の血行を促進し高血圧、高脂血症、高血糖など生活習慣病改善にも効果的。
この2つの理由から、森林セラピーは心身療法の一環として確立されつつあります。
近年では産・官・学が一体となって森林による健康効果を検証し、癒し効果を検証した森を「森林セラピー基地」「森林セラピーロード」と認定する活動も行われています。
志賀高原も、森林セラピー実行委員会が認定した森林セラピーロードを5つ所有し、森林セラピーを目的とした、観光客のトレッキングコースの利用を受け入れています。
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志賀高原トレッキングコースは初心者もチャレンジしやすい
志賀高原には、利用者の体力やレベル別に「遊歩道」「探勝(たんしょう)歩道」「登山道」の3カテゴリに分け、19のトレッキングコースが用意されています。
それぞれのカテゴリの特徴を、各カテゴリのコース名とともに見ていきましょう。
遊歩道
体力のない子どもやお年寄り、家族連れ、トレッキング初心者でも手軽に挑戦できる難度の低いのコース。リフトやゴンドラも使いながら、志賀高原のトレッキングを楽しめます。
- 横手山パノラマコース
- サンシャイントレール・水無池コース
- 東館山天空コース
- 朝日山登山コース
- 奥志賀白樺苑路コース
- 大倉伸道コース
- しなの木コース
探勝歩道
志賀高原を探勝、つまり景色を楽しみながら歩けるよう設定されたコース。中級者向けで、多少のアップダウンがありますが志賀高原の自然を満喫できます。
- せせらぎコース
- 池めぐりコース
- 清水新道
- 自然探勝コース
- まが玉の丘コース
- 峠の三十三観音コース
登山道
3つのなかで最も難易度の高い、トレッキングや登山に慣れた人におすすめのコース。標高2,000mを超える山に踏み入り、本格的な登山を楽しめます。
- 志賀山登山コース
- 焼額山(やけびたいやま)登山コース
- 岩菅山(いわすげやま)登山コース
- 笠ヶ岳(かさがたけ)登山コース
- 鉢山・横手山登山コース
- 赤石山(あかいしやま)登山コース
これだけ種類があると、自分の体力やトレッキング能力、行ってみたい観光地・景勝地などに合わせてコースを選択できそうですね。
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志賀高原の大人気「池めぐりコース」って?
先ほど紹介した志賀高原のトレッキングコースのなかから、ここでは、美しい志賀高原の景色を堪能しながらしっかり歩く「池めぐりコース」について紹介します。
志賀高原の池めぐりコースの概要は、以下の通りです。
志賀高原:池めぐりコース
全長9.6㎞、標高差およそ360m、所要時間はおよそ3時間30分。以下の工程で、志賀高原に点在する大小さまざまな池を順にめぐっていく。
- コースの順路
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- 「硯川(ほたる温泉)バス停」を出発
- サマーリフトでおよそ5分「前山湿原」へ
- およそ60分歩き「渋池」へ
- およそ60分歩き「四十八池」へ
- およそ60分歩き「大沼池」へ
- およそ30分歩き「池尻」へ
- 60~70分歩き、「逆池」を経て「大沼地入り口(清水口)」へ
道中、特に人気の見どころとしては、以下5つが挙げられます。歩く時間をメインとしつつもリフトも使ったコース設定なので、トレッキング初心者でも楽しめますよ。
サマーリフトからの景色
最初のリフトからは、眼下に前山の麓にある温泉街、目の前には鉢山、西南西には笠ヶ岳、東南には横手山を一望できます。
わずかな時間ですが、志賀高原を囲み山々を一望できる絶景スポットです。
渋池
黄色く輝く、モウセンゴケが生える浮島で知られるコース最初の池。標高1,800mの地点にありますが、高地には珍しいハイマツを見ることができます。
四十八池
広範囲にわたって森が開けて、池と湿原、広い空を眺められるスポット。池の堤防にあたる部分が段々畑のようになっていて、その間に設置された遊歩道を歩くことができる。
大沼池
志賀高原で最も大きな強酸性湖。池の周囲は5.5㎞、火山が水をせき止めたことで誕生しました。かつてここに住む大蛇と、黒姫が恋をしたとされる伝説の舞台となっています。
夏には湖畔に無料休憩所が開放されており、心地よい風のなか神秘的な景色を楽しめます。
志賀山・裏志賀山
渋池から四十八池へ向かう途中、迂回して寄ることができるスポット。高い位置から、コースに含まれていないお釜池を、志賀の小池、黒姫池などを一望できます。
なお、ここを経ずに直接四十八池に向かうことも可能。体力に余裕があれば、立ち寄ってみましょう。
志賀高原トレッキングは季節のイベントなどがたくさん!
トレッキングシーズンである6~10月の志賀高原では、季節に合わせさまざまなイベントも開催されています。
イベントの有無やその内容を理解しておけば、より深く、多角的な見方で志賀高原を楽しめるようになるでしょう。
以下に、例年6~10月の志賀高原で開催されるイベントをまとめておきましたので、訪れる時期を決める参考にしてくださいね。
- 6月
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- 地域のお店で細いたけのこ「ネマガリダケ」料理を出す、たけのこフェア
- 志賀高原歴史記念館の庭園で、木工や染色を楽しめる「新緑のクラフトフェア」
- 7月
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- 湿地帯でゲンジボタルを観賞する「ホタル観賞」
- 8月
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- 湿地帯でゲンジボタルを観賞する「ホタル観賞」
- 大沼池の大蛇伝説に基づいた「志賀高原大蛇祭り」と「ミス志賀高原コンテスト」
- 9月
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- プロカメラマンなども立ち合い、志賀高原の夜空を楽しむ「志賀高原天空フェス」
- 10月
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- 広葉樹の紅葉と、針葉樹とのコントラストを楽しめる「志賀高原の紅葉」
おわりに:トレッキングすれば、年間を通して志賀高原を楽しめる!
スキーやスノーボードスポットとして有名な志賀高原ですが、雪のない季節にはトレッキングを楽しめる湿原となります。リフトや遊歩道が設置されている箇所もあり、難易度別に19ものコースが設定されているため、初心者でも中級・上級者でも、安全に楽しくトレッキングを楽しめるでしょう。トレッキングのハイシーズンは6~10月。時期によって楽しみ方は変わってきますから、事前に調べたうえでタイミングを決め、訪れてくださいね。
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