いちごは、春先に旬を迎え、ケーキなどスイーツにも良く使われる人気のフルーツです。
今回はいちごの魅力を、栄養面から解説します。含有されている栄養成分やその健康効果、おいしく効率よく栄養を摂るための食べ方のコツと一緒に理解していきましょう。旅先のグルメやお取り寄せを楽しむときの参考にしてください。
いちごにはどんな種類があるの?
いちごは、南米大陸を原産地とするバラ科の植物です。一般的には果物と認識されていますが、植物の特徴的にはすいかやメロンに近い野菜に分類されます。
春から初夏にかけて旬を迎えますが、近年では真夏以外はハウス栽培が行われているため、価格の変動はあるもののほぼ1年中入手できるフルーツです。
さて、いちごと言えば甘酸っぱくて「真っ赤な実」をイメージしますが、私たちが食べているのはいちごの実ではありません。
あの赤い可食部分は、花托(かたく)または花床(かしょう)と呼ばれる花の付け根。いちごの実に当たる部分は、赤い可食部にたくさんついている種のような粒になります。
赤い可食部分はそれぞれの種に栄養や水分を送るために発達したものであり、バラ科の植物では、いちごのように大きくなった花の付け根を食用とするケースがあるのです。
以下からは代表的ないちごの12品種について、ざっくりと紹介していきます。
代表的ないちごの品種とその特徴
- あまおう
-
- 2005年に品種登録された、世界で最も重いいちご
- 名前はあかい・まるい・おおきい・うまいの頭文字から
- 酸味の少なさと濃厚な甘味、しっかりした食べ応えが特徴
- とちおとめ
-
- 1996年に品種登録された、日本全国で広く栽培・食用にされているいちご
- 固めで日持ちの良い果肉、鮮やかな赤色ときれいな円錐形が特徴
- 甘酸っぱく、とってもジューシー
- さがほのか
-
- 2001年に品種登録された、大錦ととよのかの交配種
- やや大粒のきれいな円錐形で、しっかりとした歯ごたえの果肉をしている
- 香りが良く、まろやかな味で加工にも向く
- 紅ほっぺ
-
- 2002年に品種登録された、章姫とさちのかの交配種
- とても赤く、ほっぺが落ちるほどおいしいという由来から名づけられた
- 少し縦長の円錐形で、練乳との相性も良い
- いばらキッス
-
- とちおとめとひたち1号の交配種
- 濃い赤色の果肉で大きくてきれいな円錐形の粒をしていて、程よい酸味と強い甘味が味わえる
- 茨城県でのみ流通している
- 越後姫
-
- 香り高くて果汁が多く、赤白両方の果肉を楽しめる品種
- 酸味がまろやかで、甘味が強い
- ベルルージュと女峰、とよのかの交配種で、新潟県でのみ流通している
- まりひめ
-
- さちのかと章姫の交配種
- 少し縦長の円錐形をしていて、粒はやや大きめ
- 甘味が強く濃い味をしている
- 和歌山県でのみ流通し、民芸品の紀州手毬にちなんで名づけられた
- ゆうべに
-
- きれいな円錐形と、鮮やかな赤色が特徴のいちご
- 熊本の「熊(ゆう)」といちごの「紅」色から名づけられた
- 果肉は硬めで、酸味と甘味のバランスが非常に良い
- あまりん
-
- 2019年に品種登録された、埼玉県産のいちご
- 濃い赤色で酸味は控えめ、練乳などをつけなくても強い甘味を感じられる、糖度の高さが特徴
- かおりん
-
- あまりんの姉妹品種
- 少しオレンジがかっていて、とにかく芳醇で甘い香りが特徴
- 全体的に味が濃く、果汁は多めで食べ応え抜群
- あまりんと同じく2019年品種登録
- 珠姫(たまひめ)
-
- 奈良県で開発され、2019年に品種登録出願がされたいちご
- オレンジがかった色合いと粒の大きさ、さっぱりとした甘味が特徴の品種
- いちごさん
-
- 2018年に品種登録された、佐賀県開発のいちご
- 縦長の円錐形ながら丸みを帯びていて、果肉は中まで真っ赤
- 果汁のみずみずしさとやさしい甘さ、程よい酸味を味わえる
いちごの栄養に期待できる効果とは?
いちごにはビタミンCをはじめ、体に良い栄養成分がたくさん含まれています。
以下に、代表的ないちごの栄養成分とそれぞれに期待できる健康への効果をまとめていますので、確認してください。
ビタミンC
いちごには、他の食材と比較しても非常に多くのビタミンCが含まれています。その量は、ビタミンCの代名詞であるレモンをしのぐほど。
いちごを毎日10粒程度食べ続ければ、ビタミンCの作用により以下の健康効果を得られるでしょう。
- 白血球を活発化させ、感染症への抵抗力や疲労状態からの回復力を高める
- コラーゲンの生成を助け、潤いとハリ、弾力のある健康できれいな肌を作る
葉酸
赤血球の生成や、細胞や神経の生成・成長にかかわるビタミンの一種です。特に妊娠中の女性と胎児に必要とされる成分で、以下の健康効果をもたらします。
- 赤血球の生成を助け、貧血を予防する
- 細胞の代謝にかかわり、細胞の分裂・成熟を促して育てる
アントシアニン
ポリフェノールの一種。目の粘膜や肌の細胞に作用する栄養成分であるため、しっかり摂取すれば視力の回復や疲れ目の解消、シミ・シワ予防の効果が見込めるでしょう。
エラグ酸
ベリー類に含まれているポリフェノールの一種。加齢による細胞の劣化・酸化を抑える抗酸化作用に優れていて、以下の健康効果を期待できる栄養成分です。
- 全身の細胞の劣化を防ぎ、生活習慣病やがんの発病を防ぐ
- 炎症とメラニンの生成を抑え、肌を若々しく健康な状態に保つ
- 皮膚や粘膜が正常に機能するのを助け、感染症への免疫・抵抗力を高める
ペクチン
食物繊維の一種。消化器をはじめ、全身に以下の健康効果をもたらします。
- 腸内で悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を活性化させて腸内環境を整える
- 腸内の便からコレステロールが吸収されるのを抑え、血中の脂肪値を減らす
- 便に腸内の有害物質を吸着させて、体外へ排出されるのを促し便秘を解消する
- 生活習慣病の発症と悪化を防ぎ、感染症への免疫力を高める
いちごのおすすめの食べ方と食べるときの注意点は?
いちごは、ヘタを取ってから水洗いすると、水っぽくなりビタミンCも失われやすくなります。
以下の条件を満たすおいしいいちごを見つけたら、冷蔵庫に保管してできるだけ早く食べきってください。食べるときはさっと水洗いし、洗ったあとに手でむしってヘタをとりましょう。
- おいしいいちごの特徴
-
- ヘタの近くまできちんと赤くなっていて、色ムラがない
- 表面にツヤとハリがあり、産毛のようなものがのこっている
- ヘタの部分がきれいな緑色で、ピンと反り返っている
また、いちごはヘタから遠い先端部分の方が甘くなっています。食べるときは、ヘタがついていた方から先端に向けて食べ進めると、最後まで甘さを楽しめますよ。
すぐに食べきれないとき、また加工用に保存しておきたいときは冷凍がおすすめ。洗ってヘタを取ったいちごに、5~10%の量の砂糖をなじませて冷凍しておきましょう。
そうやって冷凍することで、2週間は栄養も味も損なわれません。解凍してそのまま食べても、半解凍でアイスクリームやジュースの材料にしても、おいしく食べられます。
ピューレやジャムに加工したいときは、シーズンの終わり掛けの小粒を使うのがおすすめです。大粒の者に比べ安く手に入るうえ、色が濃いので加工に向いています。
おわりに:ビタミンC豊富ないちごを美味しく食べて、健康効果を得よう
いちごは、レモンを超えるほどビタミンCの含有量が多い食材です。またビタミンC以外にも、ペクチンやポリフェノールなど体に良い栄養成分多がたくさん含まれています。
ただ、ビタミンCは水溶性なので、長時間水につけていると流れ出し失われるため注意が必要です。いちごでおいしく健康効果を得たいなら、いちごの適切な洗い方や保存方法を理解しておきましょう。
コメント