雄大な山々が連なる中央アルプスの一角に、恵那山(えなさん)はあります。
今回は、日帰り登山でも楽しめる恵那山の魅力を解説。名前の由来や山の歴史、入山にあたり必要な準備や見どころ、おすすめの登山コースまでまとめて紹介していきます。
恵那山は初夏から秋が人気の登山シーズン!
中央アルプスの最南端、岐阜県中津川市と長野県阿智村にまたがる場所に、標高2,191mの恵那山はあります。
日本百名山にも選出されている恵那山は、自然の宝庫。登山を通して自生するさまざまな高山植物の観察や、頂上にある江名神社奥宮本宮への参拝を楽しめます。
また、中腹の登山口・上坂峠登山口からは数十分歩けば、恵那山から隣接する富士見台高原に行くことも可能。
高山植物が一斉に花開き、芽吹き、紅葉を見られる初夏から秋にかけての期間を中心に、全国からたくさんの登山客が訪れる人気スポットになっているのです。
恵那山「えなさん」はいろいろな呼ばれ方をしている?
恵那山という山名は、明治時代以降になって定着した名前と考えられています。
山名の由来は諸説ありますが、代表的なものは「えなさん」という発音に由来するものと、山の見た目に由来するものの2つです。
「えなさん」という音に由来する説
明治時代以降、恵那山は「胞衣山(えなさん)」という字体が転化して定着したもの、と語られるようになってきました。
胞衣とは、赤ちゃんとお母さんをつなぐへその緒のこと。
江戸時代の作家・松平君山は著書の「吉蘇志略(きそしりゃく)」の中で、日本を作ったイザナギ・イザナミの神々が天照大神を生んだ際の胞衣をこの地に埋めたことから、この山が胞衣山、えなさんと呼ばれるようになったと説いています。
山姿、山の見た目に由来する説
恵那山は昔、その山姿がひっくり返った船のようだったことから「覆伏山(おおぶせやま)」「船伏山」などと呼ばれていたこともあった、と伝えられています。
ただ、1の日本神話に由来する話はフィクションで、もともとあった「えなさん」という呼び名にかけて、胞衣の由来を付随させた俗説とする見方がされています。
初心者も登れる恵那山だけど、どんな準備が必要?
標高2,000m超の恵那山ですが、体力のある人なら、登山初心者でも日帰り登山を楽しめると言われています。
ただし、初心者OKと言っても恵那山にはハードな登山道もありますし、クマが出没するリスクもあります。
以下に、初めての恵那山登山に向けて最低限準備すべき装備品を3つご紹介します。
恵那山登山に、最低限必要なもの
- 鈴や撃退スプレーなど、クマ対策用品
- 体に密着し、登山中のハードな動きをサポートしてくれる登山用のザック
- 足の疲れ、ケガを防止してくれる機能を持つ登山、トレッキング用のシューズ
長袖の上下とレインウェア、予備の着替え、常備薬、飲料、軽食などの基本的な装備と合わせて、必ずこれら3品も恵那山に持参してくださいね。
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恵那山登山ルートの選び方は?神坂峠͡͡͡や広河原のおすすめポイントって?
恵那山には4つの登山ルートが設定されています。それぞれのルートの概要を、特徴と一緒に見ていきましょう。
広河原ルート
- 距離
- およそ4.1㎞
- 所要時間目安
-
- 上り…およそ3時間50分
- 下り…およそ3時間20分
- 特徴
-
- 全4コースのなかで最も距離、時間ともに短く、難易度の低いコース
- 一部の展望ポイントをのぞき、基本的には樹林帯を歩くことになる
- ただし、道迷いと急な川の増水には注意が必要
上坂峠ルート
- 距離
- およそ6.5㎞
- 所要時間目安
-
- 上り…およそ5時間
- 下り…およそ4時間30分
- 特徴
-
- 稜線沿いに歩くため、最も眺望が良いとされるコース
- ウバナギ崩壊地、天狗ナギなど、荒々しい山肌を望むことができる
- ただし稜線を歩くため遮るものも、避難小屋もないため、急な天候悪化や落雷、滑落には要注意
黒井沢ルート
- 距離
- およそ6.5㎞
- 所要時間目安
-
- 上り…およそ4時間30分
- 下り…およそ3時間30分
- 特徴
-
- 樹林帯の中を、渓流に沿って歩いていく比較的上りやすいコース
- 黒井沢の美しい水辺の風景を楽しむことができ、道中に避難小屋もある
- ただし、道迷いと急な川の増水には注意が必要
前宮ルート
- 距離
- およそ6.7㎞
- 所要時間目安
-
- 上り…およそ8時間分
- 下り…およそ5時間50分
- 特徴
-
- 全4ルートの中で最も距離、所要時間ともに長いコース
- 他のコースに比べ登山道が険しく、難易度が高い
- 日帰りでの往復は難しく、山小屋での一泊が必要になる
なお、恵那山から富士見台高原への登山を楽しみたいときは、上坂峠登山口から入山し、萬岳荘(ばんがくそう)という山小屋を経由していくのが一般的です。
富士見台高原登山ルート
- 距離
- およそ1.8㎞
- 所要時間目安
-
- 上り…およそ40分
- 下り…およそ30分
- 特徴
-
- 1時間前後で登山道を往復し、手軽に日本アルプスの絶景を楽しめる人気のコース
- 登山未経験者、体力に自信のない子どもなどでも、散策しやすい
初めての恵那山登山なら、まずは広河原ルートか上坂峠ルート、または富士見台高原登山ルートに挑戦するのが無難でしょう。
あなたの体力や登山経験に合わせて、無理なく、楽しく登れるルートを選んでください。
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富士見台高原はどんなところ?絶景ポイントは?
恵那山に隣接する富士見台高原の標高は、1,739m。ほぼすべての斜面が笹に覆われているため、春から初夏にかけては一面のグリーンを楽しむことができます。
天候が良ければ、濃い空のブルーと斜面の緑色、そして咲き誇る高山植物の花を一緒に見られるかもしれません。
大きく開けた山頂からは、恵那山をはじめ北アルプス、南アルプス、中央アルプスまでを360度見渡せる絶景が登山者を待ち受けています。
ぜひ、恵那山と一緒に富士見台高原にも上ってみてくださいね。
おわりに:恵那山の登山ルートは全部で4つ!初心者は難易度の低い広河原と上坂峠からのルート、そして富士見台高原登山から始めよう
日本アルプスの一角でありながらも、恵那山は初心者でも日帰り登山が可能な難易度の低い山として知られています。全部で4つの登山ルートが設定されていますが、最も距離・所要時間が長く難易度の高い前宮ルート以外は、日帰り登山が可能。初心者は比較的登りやすいルートが設定された、広河原か上坂峠のルート、または上坂峠登山口から恵那山に入り、隣接する富士見台高原登山を楽しめるコースがおすすめですよ。
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