お麩は、鍋やみそ汁の定番具材のひとつです。しかし何から作られていて、どんな栄養が含まれているのか、知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回はお麩の栄養について、食べることで得られる健康効果と一緒に解説していきます。旅先のグルメやお取り寄せを楽しむときの参考にしてください。
お麩ってどんな食べもの?
もともとお麩は、仏教と一緒に中国から日本に持ち込まれた食材です。
仏教の教えで肉食が禁じられていた僧が、精進料理で使う貴重なタンパク源として用いていました。
お麩の主成分は小麦粉に含まれるタンパク質の「グルテン」。
水と小麦粉を合わせて練り、繰り返し水洗いをしてグルテンだけを取り出した後、再度小麦粉やもち粉を加えて生地をつくります。
この生地を焼き上げたものが水で戻して使う「焼き麩」、そして蒸すか茹でるかした柔らかい食感のものが「生麩」となるのです。
さらに、全国各地にはその土地の食文化に根差した多様なお麩があります。以下に、計100種類以上もあるという日本のお麩をいくつか見ていきましょう。
- もち麩
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- もちの代わりに雑煮やぜんざいに入れて食べるお麩
- もち粉入りで、主に京都で使われる
- 手毬麩
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- 生麩に着色をして丸め、手毬のようにした華やかなお麩
- ひな祭りのお吸い物など、お祝いの席の汁物に良く使われる
- 利休麩
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- 生麩を醤油で煮しめにし、油で揚げたお麩
- 京都で良く使われ、同じ方法で大徳寺で作られたもののみ大徳寺麩と呼ぶ
- 車麩
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- 大きな棒に麩の生地をぐるぐると巻き付け、焼いた焼き麩。新潟県や山形県、石川県で食べられている
- 大きいので輪切りにして、行事の際の煮しめの具にするのが一般的
- まつたけ麩
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- 生地をまつたけの形にし、カサの部分を茶色く染め、香りをつけてまつたけのようにした麩
- 西日本の一部で見られ、お吸い物や茶わん蒸しの具として使われる
- 庄内麩
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- 板状に焼いた焼き麩
- 少し湿らせたうえで用途に合わせて切り、みそ汁の具や魚のすり身の中に入れるなどして使う
- 主に東北地方で見られる
- すだれ麩
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- すだれに挟んで整形し、乾燥させて作る麩
- しっかりとした歯ごたえが特徴で、石川県ですき焼きや酢の物、郷土料理である治部煮の具材として使われる
お麩に期待できる効果って?
小麦粉から摂れた植物性タンパク質・グルテンを主原料とするお麩には、以下のような栄養が豊富に含まれています。
- お麩に含まれている主な栄養
- ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄、亜鉛、グルテンペプチド、プロリン、グルタミン酸
上記栄養成分の働きにより、お麩を食べることで以下の健康効果を獲得できます。
ダイエット効果
お麩は肉などの動物性タンパク質に比べ、低脂質・低カロリーな植物性タンパク質です。
また腹持ちも良いため、脂質とカロリーの摂取を抑えつつミネラル類・タンパク質をしっかり摂りたいダイエット中の栄養補給に適しています。
生活習慣病の予防・改善
グルテンペプチドには血圧を下げ、胃液の分泌を抑えて、インスリンの分泌を促進して食後の血糖値の上昇をゆるやかにするなどの作用があります。
このため、お麩は高血圧や糖尿病、高脂血症など生活習慣病の予防に役立つと言えます。
健康維持と美肌効果
グルタミン酸には知能を高め、肝臓の機能を向上させる作用があるとされます。
また、髪や肌を作るもととなるタンパク質であるお麩には、肌のハリの維持を助けるプロリンも豊富に含まれています。
お麩を積極的に食べれば、動物性のタンパク質よりも少ない脂質・カロリーの摂取量で、健康と美容効果の両方を狙うことができるでしょう。
おわりに:お麩は健康と美容の両方に役立つ、植物性タンパク質!
小麦粉から取り出したタンパク質「グルテン」を主原料とするお麩は、体をつくるのに必要なタンパク質・ミネラル類を一緒に補充できる健康的な食品です。しかも低脂質・低カロリーであるため、ダイエットや病気治療のために食事制限をしている人でも食べやすいという特徴があります。日本全国の食文化に深くねざし、さまざまな形・大きさの焼き麩と生麩があるので、各種類の特徴を活かしながら毎日の食卓に取り入れてみましょう。
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