お刺身やおすしのネタとして生で、またつみれや焼き魚にして食べてもおいしいアジは、昔から私たち日本人の食卓を彩ってきてくれた青魚です。
今回はアジの栄養価に着目し、含まれている栄養成分とそれぞれに期待できる健康効果、相性の良い食べ合わせや種類による違いまでまとめて解説します。旅先のグルメやお取り寄せを楽しむときの参考にしてください。
アジにはどんな種類があるの?
日本でアジとして取引される種類としては、以下が挙げられるでしょう、
- マルアジ
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- 相模湾や外房以南に生息する種類
- 別名「青アジ」と呼ばれるムロアジの仲間
- 断面が丸く見えることから、この名がついたと言われる
- マアジ
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- 最も一般的なアジ
- マルアジに比べて断面が平なことから「ヒラアジ」とも呼ばれる
- 厳密には浅瀬に生息するキアジと、沖で回遊するクロアジに分けられるが、市場では統一して「マアジ」として取り扱われている
- ムロアジ
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- アジ類のなかでも、背びれと尾びれの後ろに極小のひれがあるもの
- 伊豆諸島の郷土料理である、くさやの原料となる
- シマアジ
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- 体の側面に縞模様があること、また伊豆諸島でよくとれたことからこの名がついたとされる
- 他のアジに比べて大綱があり、タイに近い大型なシルエットなのが特徴
- メアジ
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- アジ類のなかでも、特に目が大きな種類
- 身の色が白く、マアジに比べ脂肪分が少ない
- オアカムロアジ
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- 赤い尾ひれを持つ、他のアジとは異なる外見の種類
- 身は柔らかく、さっぱりした味わい
日本近海で年間を通してとれるため、アジは古くから日本の大衆魚として食卓を彩ってきました。
しかし1960年代後半から、アジの漁獲量は低下。また生食が主流になったことから、旬を迎える5月ごろを中心に高級魚として扱われることも出てきました。
近年では、各地で脂ののったキアジをブランド化する動きも活発で、代表的なブランドアジだけでも以下が挙げられます。
- 日本各地のブランドアジの例
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- 愛媛県西宇和郡伊方町の岬(はな)あじ
- 愛媛県三瓶長の奥津あじ
- 山口県萩市の瀬付きあじ
- 島根県浜田市のどんちっちあじ
- 大分県佐賀関の関あじ
- 宮崎県延岡市の灘あじ
- 長崎県三重町のごんあじ
- 長崎県松浦市の旬(とき)あじ
アジにはどんな栄養が含まれているの?
アジに含まれる代表的な栄養成分は、以下の通りです。
- アジの代表的な栄養成分
- タンパク質、DHA、EPA、カルシウム、カリウム、タウリン、ビタミン類
これらの栄養成分の働きから、アジを食べることで以下のような健康効果を得られると考えられます。
体力と免疫力の向上
人間に必要な三大栄養素のひとつであるタンパク質は、私たちの体を構成する細胞の原料となり、ホルモン分泌や免疫機能を調節し、体を動かすエネルギー源にもなります。
アジに含まれるタンパク質量は、青魚の中でもトップクラス。しかもサバやイワシに比べ低脂質・低カロリーなので、良質なタンパク質を効率よく摂取できるのです。
歯や骨を丈夫にし、ストレスを軽減する
アジには、骨や歯を作る原料となり、神経の昂りを鎮めるカルシウムが豊富です。
小ぶりなものを油で揚げたり、煮たりして骨ごと食べるようにすれば、骨の成長や骨粗しょう症予防、精神的な興奮を抑えるのに役立つでしょう。
生活習慣病と動脈硬化の予防
アジに含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、不飽和脂肪酸と呼ばれる脂肪分です。
これらはそれぞれ以下のように作用し、全身の血流を促進して高脂血症や高血圧などの生活習慣病と、これらが原因で起こる動脈硬化の発症を予防してくれます。
- DHAの働き
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- 血中を漂う悪玉コレステロールの値を下げる
- 悪玉コレステロール値を下げることで、血栓と動脈硬化の発症を防ぐ
- 脳を活性化し、認知症の発症や機能低下を防ぐ
- EPAの働き
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- 血中の悪玉コレステロール値、中性脂肪値を下げる
- 血中の脂肪分を減らすことで、血液の流れを良くしてサラサラにする
- 血管の柔軟性を高め、全身への血行を促進する
- 血液の流れをスムーズにすることで、血圧を下げる
肝臓や腎臓疾患の予防
アジに多く含まれるタウリン、そしてカリウムはそれぞれ肝臓と腎臓に良い栄養成分です。
- タウリンの働き
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- 血中のコレステロール値を下げる
- 血圧の上昇と動脈硬化の発症を予防する
- 胆汁の分泌を促進し、肝臓の働きを助け機能を高める
- 脂肪肝の発症を予防する
- カリウムの働き
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- 体内の余分な塩分、水分の排出を促す
- 体内の水分量を調節することで、血圧を下げる
- 腎臓の働きを助け、尿路結石や腎臓の機能低下を予防する
ビタミン類
アジには、特に食材から採り入れた糖質などの栄養を、エネルギーとして変換・代謝するのを助けるビタミンB群が豊富です。
このため、アジを食べることで糖尿病の予防や改善、エネルギー代謝が促進されることによるダイエット効果などが見込めるのです。
アジと栄養面からみて相性がいい食べものは?
栄養的に見てアジと相性の良い食材、またそれぞれの組み合わせで狙える健康への効果は、以下の通りです。アジを使った献立を考えるときの、参考にしてくださいね。
- 生活習慣病を予防したいなら
- しそ、ショウガ、大根、タマネギ、ヤマイモ、唐辛子、レンコン、ネギ、オリーブオイル、酢
- 疲労回復、体力増強をしたいなら
- タコ、イカ、ニンジン、アサリ、ピーマン
- 老化を予防し、脳を活性化したいなら
- 大豆、ゴマ、ヤマイモ、セロリ、レモン、ショウガ、ネギ
- 心臓病を発症予防・改善したいなら
- 三つ葉、らっきょう、酢
おわりに:生活習慣病と、命にかかわる心臓・脳疾患予防にアジは効果的
他の青魚に比べて低脂質・低カロリーで、良質なタンパク質やビタミン類、DHA、EPAを摂れるアジは、私たちの健康にメリットをもたらす食材です。その健康効果は、得たい効果に合わせて組み合わせる食材を変えれば、高めることもできます。生でも、火を通してもおいしくいただける魚なので、本記事を参考にぜひ毎日の食事に取り入れてくださいね。
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