焼肉やすき焼き、ステーキに使われることの多いちょっと贅沢なお肉と言えば、牛肉。
今回は牛肉を食べることへの健康へのメリットを、牛肉が持つ栄養価や部位ごとの特徴、牛肉の栄養をより効率的に摂るための食べ方のコツと一緒に解説します。旅先のグルメやお取り寄せを楽しむために役立ててください。
牛肉は部位別でどんな違いがあるの?
牛肉は、牛の体を15の部位に切り分けて販売されています。15の部位それぞれの牛肉の特徴・違いは、以下の通りです。
牛肉15部位の特徴
ネック
- 比較的硬い肉質の、ミンチや煮込み料理に適した部位
- 脂肪分が少ないのが特徴
肩
- 前足の付け根周辺の部位
- 脂肪分が少なく硬めだが、うま味とコラーゲンがたっぷり
トンビ
- 肩周辺から一頭あたり2㎏しかとれない希少部位
- 脂肪が少なくさっぱりとしていて、上品な味わい
- たたきやローストビーフに最適
ミスジ
- 適度な霜降りが入った、とろけるようなうま味が味わえる希少部位
- ネックの下、胸のあたりの肉で、ステーキから煮込みまで幅広く使われる
肩ロース
- 肩周辺とれる、最も大きな部位のひとつ
- 薄切りにしてしゃぶしゃぶにしても、厚みを活かした焼き物や炒め物にしても、脂肪のうま味を味わえる
リブロース
- 脂肪の多い部位
- 牛の胴体のせなかぐぁに位置する
- きめ細かく柔らかい肉質と、霜降りの風味を味わえると人気の部位で、幅広く料理に使われる
サーロイン
- 牛の胴体の背中側、リブロ―スよりも少しお尻寄りの部位
- きめ細かな肉質と、上質な脂肪を味わえる牛の最高部位のひとつとされる
- ステーキに使われることが多い
ヒレ
- サーロインよりも体の内側にある部位
- 脂肪と筋がほとんど見られないきめ細やかな肉質、柔らかさ、さっぱりとした味わいが特徴
- 希少部位のひとつ
バラ
- 牛のおなかのあたりの肉
- 肉質はきめ細かく、赤身と脂身が層のように重なっている
- 牛肉の濃厚な風味を味わえる部位で、煮込み料理から焼き肉まで幅広く使われる
うちもも
- 後ろ足の付け根の肉
- 脂肪が少なく、きめ細かい肉質が特徴。肉質のきめは少々荒いが、大きな塊でとれるためさまざまな料理に使いやすい
しんたま
- 牛のもも肉の一種
- うちももよりも、少しおなかに近い部分の肉
- きめ細やかで脂肪が少ないため、脂肪の摂取を抑えたい人に人気がある
そともも
- 牛のお尻の近く、太もも部分の大きな部位
- きめが粗く硬い肉質であるため、主に長時間煮込んで作るシチューやスープなどの材料となる
ランプ
- 牛の背中側、サーロインにつながる部位の肉
- ももに近く、きめ細かく柔らかい肉質をしている
- ステーキ、ローストビーフなどに使われる
イチボ
- 牛のお尻の肉
- 弾力のある肉質が特徴
- 柔らかい先端部分はステーキに、それ以外の部分は煮込み料理の材料として使われることが多い
すね
- 牛の足部分からとれる肉
- よく動く部位であるため脂肪分は少ないが、ゼラチン質のコラーゲンを多量に含む
- 硬いので焼き物には適さず、煮込み料理や出汁に使われる
牛肉が栄養的に優れているのはどんなところ?
牛肉の部位やそれぞれの特徴を理解したら、次は、牛肉の栄養価と期待できる健康への効果について理解していきましょう。
牛肉に含まれる各種栄養成分は、脳から肌・髪・筋肉・脳まで全身的に作用し、私たちの健康と美容に多大なメリットを与えてくれます。
牛肉に含まれる栄養成分のうち、代表的なものとしては以下5つが挙げられるでしょう。
牛肉に含まれる代表的な栄養成分5つ
- タンパク質
- ヘム鉄
- 亜鉛
- ビタミンB群
- アラキドン酸
牛肉を食べることで、以下のような健康・美容効果を期待できます。
疲労回復と代謝促進
牛肉の主成分であるタンパク質は、私たち人間の体を健康に保つのに欠かせません。
しかも、牛肉に含まれるタンパク質は「必須アミノ酸」と言って、私たちの体内で作ることができない特殊なものです。
必須アミノ酸たっぷりの牛肉の摂取すれば、脂肪の代謝と筋肉の修復促進、またこれらによる疲労回復、ダイエット効果が期待できるでしょう。
貧血を予防し、筋肉を増やす
鉄分の一種であるヘム鉄は、多種類の鉄分に比べ、体への吸収率が5倍も良いとされます。
また亜鉛には、筋肉を作るのを助けたり、味覚障害を予防したり、男性の生殖器異能を高める作用があると言われています。
牛肉を食べることでヘム鉄と亜鉛を補給できれば、鉄不足による貧血の予防・改善し、必須アミノ酸との相乗効果で筋肉増強の効果が見込めるでしょう。
肌の乾燥を改善し、きれいにする
牛肉に含まれるビタミンB群、特にビタミンB12には、肌表面の油脂バランスを整えて保護したり、血流を良くして髪や肌への栄養補給を促進する作用があります。
このため牛肉には、健康ではなく美肌・美容効果も期待できるのです。
至福物質の分泌と脳の働きを活性化
牛肉には、必須脂肪酸に分類される栄養成分「アラキドン酸」が豊富に含まれています。
アラキドン酸は、私たち人間の脳内に幸福感をもたらす物質「アナンダマイド」の原料となり、以下の作用を起こします。
- 心身の緊張が緩和し、リラックスした状態になる
- 何とも言えない、幸福な気持ちにしてくれる
- 記憶力を高め、認知症の発症や進行を予防する
牛肉と栄養面で相性がいい食材って?
得たい効果別に牛肉と栄養的に相性の良い食材を挙げるなら、以下の通りになります。
食べ合わせの参考にしてくださいね。
- 消化を助け、胃腸の働きを丈夫にしたい
- 白菜、じゃがいも、冬瓜、ふき、三つ葉、タマネギ、ブロッコリー、キャベツ、ピーマン、酢、ニンニク
- 疲労回復を促進させ、体力をつけたい
- ニンニク、ニラ、トマト、酢、ゴボウ、ジャガイモ、牡蠣、しじみ、にんじん、カボチャ、ハスの実、ナツメ
- 腎臓の働きを助け、機能を改善したい
- 冬瓜、セロリ、キュウリ、ソラマメ
- 傷を早く治したい
- ナス、ゴマ、オリーブオイル、大麦、ヒエ
- 体を温め、体の倦怠感を取りたい
- 山芋、ニラ、ミカンの皮、胡椒、ナツメグ
おわりに:体の回復や貧血予防、美肌や筋肉の増強に牛肉は効果的
牛肉には人間の体を作るのに欠かせない必須アミノ酸、ヘム鉄、亜鉛、ビタミンB群などの栄養成分が含まれています。このため、牛肉を食べることで体の回復促進や筋肉の増強、美肌、肌や粘膜の調子が整うことによる免疫力向上など、健康へのさまざまなメリットを得ることができるのです。また、アラキドン酸は私たちに幸福感を生じさせる物質の生成を促進する作用もあるので、栄養的に効果的な食べ合わせで積極的に摂取しましょう。
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