特に長野県で親しまれてきた野沢菜づけは、日本三大漬物のひとつとされます。
今回は野沢菜漬けに期待できる健康効果について、栄養的に見た価値や作り方、味の特徴などと一緒に理解していきましょう。旅のグルメやお土産選び、お取り寄せの際の参考にしてください。
野沢菜(野沢菜漬け)ってどんな漬物なの?
野沢菜漬けは、長野県の名産品として知られる漬物の一種です。長野県・野沢温泉村を原産とする、野沢菜という野菜を使って作られます。
野沢菜はもともと、1756年に野沢温泉村の健命寺の住職が京都から持ち帰った天王寺蕪が変異したものと言い伝えられています。
蕪を植えたはずが、なぜか根の部分が育たず茎と葉ばかり大きくなり、野沢菜が生まれました。
これを収穫して温泉で洗い、漬け汁に漬け込んだものが野沢菜漬けになります。
漬け込み方によって味わいが変わり、漬け汁に2~3日野沢菜を漬け込んだ浅漬けでは、鮮やかな緑色で程よい塩味と柔らかな食感を楽しめます。
全国的に普及し、一般的に野沢菜漬けと呼ばれるのは、この浅漬けのこと。
現在では長野県全域の他、冬季には徳島県でも生産され、日本全国で販売されています。
一方で、発祥の地である長野県で愛されている古漬けは、野沢菜を一旦塩漬けにしてからべっ甲色になるまで乳酸菌発酵させたもの。
こちらは独特の酸味があるため、全国的にはあまり知られていません。
野沢菜漬けの植物性乳酸菌にはどんな特徴があるの?
じっくり時間をかけて乳酸菌発酵をさせて野沢菜の古漬けには、植物性乳酸菌が含まれています。植物性乳酸菌の特徴は、以下の通りです。
- 植物性乳酸菌の特徴
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- 一般的に栽培されているほぼすべての野菜に付着し、生きている
- 植物が持つブドウ糖、ショ糖、果糖、麦芽糖などを餌として働き、発酵させる
- 漬物の表面など、高塩分の過酷な環境下でも生き続けることができる
- 胃酸でも死滅せず、腸まで生きたまま到達できる乳酸菌である
ヨーグルトなどを作る動物性乳酸菌と比べても、野沢菜漬けに含まれる植物性乳酸菌は、非常に生命力が強い種類です。
このため、野沢菜に含まれる食物繊維と一緒に生きたまま腸まで届き、善玉菌を増やして腸内環境を整えてくれます。
野沢菜漬けに期待できる効果って?
野沢菜漬けに含まれる代表的な栄養成分とその効果は、以下の通りです。
植物性乳酸菌
腸内環境を整え、下痢や便秘・おなかのハリなどの症状を改善する他、免疫機能向上による発病予防、食物アレルギー予防、生活習慣病予防などの効果をもたらします。
食物繊維
便とともに余分なナトリウム、老廃物を体外へ排出するのを助けます。また、腸からの糖やコレステロールの吸収を阻害するため、生活習慣病の予防にも役立ちます。
カリウム
体内の水分・塩分濃度を適切に保ち、余分を排出する。また、神経や筋肉の働きの促進、高血圧予防などの効果も期待できます。
ナトリウム
カリウムとともに体内の水分調節を行い、神経や筋肉の働きをスムーズにしてくれます。また、熱中症や夏バテの予防にも効果的です。
マグネシウム
筋肉の収縮をスムーズにし、体の痙攣や足がつるなどの症状を改善します。カルシウムと一緒にバランス良く摂ることが推奨される栄養成分です。
カルシウム
骨や歯の強化、イライラなど神経の昂りを抑制し、心臓の働きを助けてくれます。
リン
カルシウムとともに、骨や葉の原料となります。不足することは少なく、野沢菜からも摂取できる栄養成分です。
鉄
血を作る原料のひとつで、不足すると貧血の症状を起こします。肉類・魚類に多く含まれていますが、野沢菜からも摂取可能です。
亜鉛
成長や、傷を直すのに必要な栄養成分です。また味覚・嗅覚機能の維持や、特に男性の生殖機能維持・向上に効果的とされます。
ビタミン類
カロテンやビタミンCなど、野沢菜には肌や粘膜の状態を整え、免疫力を高めるビタミン類も含まれています。
さらに、ビタミンCには鉄の吸収を助ける作用が、カロテンには高い抗酸化作用によるアンチエイジング・がんの発症予防効果も。
おわりに:乳酸菌発酵させた野沢菜漬けには、整腸や免疫アップの効果アリ
収穫した野沢菜を温泉で洗い、漬け汁に漬けて作る野沢菜漬けは、長野県の郷土料理です。全国的に普及している浅漬けでは、きれいな緑色と柔らかな食感、塩味を味わえます。しかし、栄養価で言えばじっくり時間をかけて乳酸菌発酵させた古漬けの方が上。古漬けの野沢菜漬けを食べると、植物性乳酸菌による整腸や生活中間病予防、免疫力アップ、骨粗しょう症予防などうれしい健康効果を得られますよ。
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