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養殖牡蠣の特徴や収穫量って?広島や宮城など生産地ごとの違いを知りたい

グルメでケア
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広島の名産品として知られる牡蠣は、養殖が盛んに行われている魚介類のひとつです。
今回は養殖牡蠣について、養殖の方法や天然ものとの比較した場合の特徴、生産地ごとの違い、気になるノロウイルス感染症リスクのことまでまとめて解説していきます。

牡蠣にはどんな種類がある?

日本に分布する牡蠣は「マガキ」「イワガキ」「スミノエガキ」「イタボガキ」の4種類です。それぞれの生息地域や特徴を、以下に見ていきましょう。

日本の海域に分布する4種類の牡蠣の特徴

マガキ

  • 北海道から九州まで、ほぼ日本全国の海域に生息する種類
  • 高緯度、つまり北の海域にいくほど大型で白っぽい殻に、南の低緯度な地域へ行くほど小ぶりで黒っぽい殻になる
  • 生息しているのは潮間帯と呼ばれる、潮の満ち引きのある浅瀬で6~9月に産卵期を迎える
  • 日本で養殖生産される牡蠣のほとんどがこのマガキであり、1年ものは酢ガキに、2~3年ものは浜焼きやなべ物、フライなど幅広く使われる

イワガキ

  • 北海道から南の、ほぼ日本全国に生息する種類。他の種類に比べて夏でも安定しておいしいため、別名「夏ガキ」とも呼ばれている
  • 細長く、黒褐色または紺紫色をしていて、成貝になると年輪状に大きくなる殻が特徴的
  • 養殖をしているのは一部地域のみで、基本的には夏に漁獲される天然ものが出回っている

スミノエガキ

  • 有明海の潮間帯より少し深い海底に生息する種類
  • 主な生息地である佐賀県住之江から、この名前が付いたとされる
  • 味はマガキに比べたんぱくなため、フライ向き
  • 殻は扁平で卵のような、細長い形をしていて他の種類に比べて薄く、内面は白い
  • かつては養殖も盛んだったが、近年ではあまり行われていない

イタボガキ

  • 北海道南部から九州までの太平洋、及び日本海に広く生息する10㎝ほどのサイズの小ぶりな種類
  • マガキよりもやや深い、水深10mくらいの海底に暮らしている
  • とくに瀬戸内海に多く生息し、その殻は顔料「胡粉」の原料として使われるが、実はマガキに比べるとやや硬く、産出量は少ない

日本でマガキの養殖が主流の理由

代表的な4種類の牡蠣のうち、特にマガキの養殖が盛んなのは浅瀬に住む種類であるため、潮間帯に棲むマガキは人間の目が行き届きやすい海域を好むため、養殖向きとされます。対して深い海底で生育するイワガキは、マガキに比べ養殖に向かない生態をしています

また7~11月にかけて長い産卵期を迎える、夏に旬がくるのもその一因といわれています。基本的に素潜りでの収穫となる天然ものの牡蠣は、夏にのみ漁が行われます。このため漁に適した時期に旬を迎えるイワガキは、養殖より天然ものが多く流通しているのです。

養殖牡蠣と天然ものはどっちがおいしい?生育環境の違いとは?

養殖ものと天然もの、それぞれの牡蠣の生育環境は以下のように異なります。

養殖牡蠣の生育環境
  • ホタテの殻などに付着させた稚貝を、エサの豊富な海域に筏などに吊り下げて育てる
  • 24時間エサを得られる環境で、ある程度自由に動けるようになるため、たっぷりと栄養を摂った牡蠣が早く大きく成長していく
天然牡蠣の生育環境
  • 稚貝の頃に付着した岩礁から移動せず、その場所で得られる栄養だけで一生を過ごす
  • ひとつのポイントで育った牡蠣が死んだ、または収穫された後に再び天然の牡蠣の稚貝が付着することは基本的にないとされる

棲みついた海域から動けない天然ものの牡蠣は、その海域の栄養状態にかかわらずそこでゆっくりと育ち、一生を終えます。このため、天然ものの牡蠣には海域によりどうしても栄養状態や大きさ、味にバラつきが出てしまうのが特徴です。

対して養殖の牡蠣には、人間があらかじめ選定した栄養豊富な海域で育つため、味や大きさにバラつきが少なくなります。また、養殖では、栄養豊富な環境のもと、天然ものではありえない速さ・大きさで成長していくため、安定した質・量での収穫が可能です。成長スピードの速い種類、味の良い種類を掛け合わせ、より品質の高い牡蠣を生み出すこともできます。

このように、天然ものも養殖も、どちらもメリットデメリットがあり、天然・養殖だけでどちらが美味しいと決められるものではありません。養殖ものの牡蠣のなかにも天然ものと引けを取らないくらい美味しいものの多く、人間の手で生み出しきちんと管理して育つ養殖ものの牡蠣のほうが、一般流通には向いているともいわれています。

養殖牡蠣でもノロウイルス汚染のリスクはあるの?

牡蠣を食べるうえで気になるリスクと言えば、ノロウイルスによる食中毒の発症ではないでしょうか。

ノロウイルスとは
  • 感染性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種
  • 感染者の吐しゃ物や排泄物、これら混入した飛沫・粉塵などがおもな感染源となる
  • 下水から河川へ流れ出したいウイルスを成長過程で蓄積した魚介類を食べることで、感染することもある

一般的な養殖の牡蠣は、特定海域の浅瀬で育てられています。河川から海への流入口に近いポイントで育てられることも珍しくありません。
このため近年では、ノロウイルスで汚染されていた海域で養殖された牡蠣がウイルスを蓄積し、ノロウイルス感染症の原因となることが指摘されています。養殖の牡蠣を食べるときでもノロウイルス感染症のリスクが常にあると考えておいたほいたほうが良いですが、2021年2月現在においては、ノロウイルスに汚染された海域で養殖された牡蠣がどのくらいのノロウイルスを蓄積するのかはっきりわかっていません。

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牡蠣の養殖方法って?

牡蠣の養殖は、牡蠣が産卵期を迎える6~9月にホタテの貝殻を海中に入れておき、体長0.3㎜ほどの牡蠣の赤ちゃん「幼生(ようせい)」を付着させるところから始まります。これを「採苗(さいびょう)」と言い、その後はホタテの貝殻ごと牡蠣の赤ちゃんを干潟の棚に移し、環境に慣れさせながら育てていきます。

ある程度大きくなったらホタテの貝殻から牡蠣の稚貝を外し、養殖場へ移して、出荷に適したサイズまで育てていくというのが、牡蠣の基本的な養殖方法です。収穫は10~11月の寒くなる頃で、収穫された牡蠣は洗浄機で殻を洗ったあと、きれいな海水プールへ1日浸けて泥や砂を吐かせ、身をきれいにしてから出荷されます。

牡蠣の養殖方法、3種類の違い

牡蠣を育てる方法には以下の「地まき式」「ひび建式」「垂下式」と大きく3種類ありますが、現在では垂下式を採用する養殖業者がほとんどです。

地まき式
  • 安定した砂地で、古くから行われてきた牡蠣の養殖方法
  • 日本では近年、経済的不利益が大きいとして、有明海近辺の一部地域以外では行われていない
  • 干満差の大きな入り江、干潟が多いヨーロッパ諸国では現在でも主流の方法である
ひび建式
  • 泥深い海底で、地まき式養殖が困難な地域で用いられていた牡蠣の養殖方法
  • 「竹ひび」または「そだひび」と呼ばれるものを海中に建て、違いを付着させて自然に大きくなるまで放置するというもの
  • 非常に生産性が低いため徐々に衰退し、現在の日本では行われていないと考えられる
垂下式
  • 牡蠣の稚貝を棚や筏、はえ縄に紐や針金で吊り下げて牡蠣を育てる養殖方法
  • 他の養殖法に比べ海を広範囲、かつ立体的に利用でき、24時間エサを与えられるため牡蠣の生育を促進できるのが特徴
  • 競合生物、外敵に稚貝がさらされやすいという弱点もあるが生産性の高い方法として、現在の牡蠣養殖の主流となっている
  • 利用する道具、また道具に適した海域の違いにより、垂下式養殖は「簡易垂下式養殖」「いかだ式垂下養殖」「はえ縄式養殖」の3つに分類される

牡蠣を多く生産している県はどこ?養殖牡蠣の収穫量って?

農林水産省の発表によると、平成30年に日本全国で養殖収穫された牡蠣類の量は176,698tでした。このうち、特に生産量の多い上位5県は、以下の通りです。

平成30年度、牡蠣の生産量トップ5の県
  • 第1位:広島県
  • 第2位:宮城県
  • 第3位:岡山県
  • 第4位:兵庫県
  • 第5位:岩手県

おもな産地ごとの養殖マガキ、イワガキの特徴

おもな産地ごとの養殖のマガキ、イワガキの味わいの違い・特徴は以下の通りです。

マガキ

  • 北海道産…雑味がなくクリーミーな味わい。通年流通している。
  • 三陸産(宮城県、岩手県など)…ほのかな苦味とクリーミーさが特徴。味のバランスは良いが、身の水分量や食感には時期によってバラつきが出やすい
  • 三重県産…小ぶりだが甘味があり、さっぱりした味わい。春先に身が詰まる
  • 瀬戸内産(広島県など)…しっかりとしたうま味と甘味が特徴。基本的には小ぶりなものが多いが、産卵を控えた3~5月にかけては身も大きくなる
  • 長崎県産…貝柱の甘味、全体のクリーミーさが特徴。市場で高い評価を得ている

イワガキ

  • 三陸産(宮城県、岩手県など)…全体的に小さいが、安定した身の大きさ、味わいが特徴
  • 瀬戸内産(広島県など)…ぎゅっと詰まったうま味があり、おいしいことで定評がある。他の牡蠣が少ない夏にも流通する
  • 京都府産…雑味が少なく、しっかりとしたうま味がある。身の大きさ、味ともにバランスが良く安定感もある
  • 三重県産…京都府産のものと同じく安定感があるが、ちょっと相場は高め
  • 長崎県産(五島など)…生産量が多く、味も良い。イワガキの旬を過ぎても流通する

牡蠣の名産地のおすすめブランド牡蠣

最後に広島県、宮城県、岡山県と養殖牡蠣の収穫量が特に多い3県から、おすすめのブランド養殖牡蠣を1つずつ紹介していきます。取り寄せができるものもありますので、産地ごとのこだわり・特徴を踏まえて、購入を検討しましょう。

広島県の「かき小町」

広島県立推算海洋技術センターで開発された、広島県特産のブランド牡蠣です。産卵しないよう品種改良されているため、産卵期である夏を過ぎても身が痩せにくいのが特徴で、県の漁連から提供された稚貝を、成長度合いに合わせ生育用の網かごの網目や種類を変えたり、1つのかごに入れる牡蠣の数を調節したり、殻を洗うなどして育てていきます。
生育に非常に手間がかかるので扱う養殖業者が少ないことから、味や大きさとあわせて「希少性の高さ」も魅力のひとつになっています。

▼ かき小町

宮城県の「黄金牡蠣」

黒潮と親潮がぶつかる、三陸女川湾で丸々と育てられた濃厚な味わいのブランド牡蠣です。出荷前にマイクロバブルによる殺菌を24時間以上かけて行い、身に含まれる不純物を取り除くことでマイルドでうま味が強く、安全な牡蠣を作り出しています。
日本国内はもちろん、フランスなど海外へ向けても地域の特産品として出荷しています。

▼ 黄金牡蠣

岡山県の「喜多嬉(きたき)かき」

マガキの旬である11~4月を過ぎてもおいしく生で食べられる牡蠣をめざし、岡山県の勇和水産が作り出したブランド牡蠣です。生活用水の排水がない北木島周辺の海域で育てられるため、ノロウイルスなど感染症リスクが低いとされ、岡山県内で初めて「生食用の殻付き牡蠣」の販売認可を取得しました。

勇和水産が開発した、鮮度が落ちない特殊な冷凍技術「DENBA+」を使用しているため、水揚げしたままのおいしさで一年中生食を楽しめます。

▼ 喜多嬉かき

おわりに:養殖牡蠣は天然ものよりもおいしい!産地による大きさや食感、味の違いも楽しんで!

平成30年度には170,000tも収穫・流通した養殖の牡蠣は、年間を通して私たちの食卓を彩ってくれる存在です。その多くはマガキと呼ばれる種類で、特に広島県、宮城県、岡山県で盛んに養殖されています。プリプリとして、強いうま味や甘味を感じられる養殖の牡蠣は、育てられる海域により大きさや食感、味わいに違いが出るのも大きな特徴。本記事を参考に各地のブランド牡蠣について知り、その違いや魅力を存分に堪能しましょう。

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