岩手県盛岡市には、県と同じ名前を冠する岩手山(いわてさん)があります。
今回は、おすすめの楽しみ方と初心者向けの登山コース、あわせて立ち寄りたい温泉の情報まで、岩手山登山の魅力をまとめて紹介します。
岩手山は高山植物や溶岩流など見どころたくさん!好アクセスも魅力
標高2,038mの岩手山は、盛岡市をはじめ3つの市町村にまたがる大型の活火山です。
地元では「南部方富士」の名前でも親しまれているこの山は、比較近年になってからできた「東岩手火山」と、古くから存在する「西岩手火山」の2エリアからできています。
- 東岩手火山の概要
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- 東西1,250m、南北1,700mにもわたる鬼股沢カルデラがあり最高峰は薬師岳
- 東岩手火山の頂上は御鉢、火口は御室と呼ばれている
- 享保4年、西暦1719年の負荷で流れ出た国指定天然記念物、焼き走り溶岩流がある
- 西岩手火山の概要
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- 東西2,500m、南北1,500mにわたる大地獄カルデラがある
- 北側は屏風岳、南側は鬼が城と呼ばれている
- 御苗代湖、御釜湖、お花畑と呼ばれる植物の群生地が有名
盛岡市の市街地から一番近い登山口までは、車でおよそ30分程度で行くことができます。
市街地からのアクセスの良さは、岩手山の大きな特徴。このアクセスの良さも、登山スポットとしての近年の岩手山の人気を支えているのでしょう。
岩手山は標高が高いけど登山道はきれいに整備されている
初心者が登山に挑戦するにあたり、ケガや事故に遭うことと同じくらい心配なのは、山中で道に迷うことではないでしょうか。
標高や現在地を正しく認識しながら、山頂をめざし数時間歩き続けるというのは、慣れていない人には難しいものです。
しかし岩手山登山においては、道迷いの心配はほとんど必要ありません。岩手山の登山道は歩きやすいよう整備されているだけでなく、何合目、分岐の有無などが細かく標識に記されていて非常に親切。
登山初心者でも現在地と頂上までの距離・時間を予想しやすい行程になっているため、登山経験が少なくても楽しく頂上をめざせるでしょう。
また、山小屋の設備が充実しているのもうれしいところ。岩手山8合目の山小屋にはトイレも、飲み水を補給できる水場も用意されています。夏季には管理人も常駐しているので、毛布や軽食の提供を受けることも可能です。夏以外のシーズンは無人ですが、トイレや水場、休憩所として使うことはできます。
なお、使用後にきちんと片づけをすること、夏の水不足を防ぐためある程度の飲み水を持参するのは山小屋を利用する上でのマナーです。忘れず厳守しましょう。
関連記事:一人でもツアーでも!初心者が知っておきたい登山マナー
所要時間1時間未満から楽しめる岩手山散策コース
ここからは、岩手山の自然を満喫できる登山コースについて解説していきます。いずれも、体力や技術に不安があるけど登山で岩手山の雄大な自然を感じたいと言う人には、非常におすすめですよ。
まずはかなり負担が軽く、所要時間も短い「八幡平(はちまんたい)自然散策コース」と「焼き走り溶岩流散策コース」からご紹介します。
八幡平自然散策コース
八幡平山頂レストハウスから山頂までを、整備された遊歩道沿いに鏡沼や眼鏡沼、蒲沼を通って進むハイキングに近いコースです。
スタート地点から片道30分も歩けば山頂にたどり着くことができ、山頂からの眺望と道中での高山植物の観察を楽しめます。
このコースなら、体力や登山技術に自信がない初心者でも安心して岩手山の自然を堪能できるでしょう。
焼き走り溶岩流散策コース
1732年の噴火により流れ出した溶岩が、黒く固まった岩石体を観察できるコースです。
全長4㎞、幅1㎞にわたって広がる冷えた溶岩の周囲には、溶岩流観察路が整備されていて学術的にも貴重とされる溶岩流をじっくり観察できるようになっています。
焼き走り登山口から展望台をめざして歩き、往復する場合の所要時間はおよそ35分。
国立公園特別保護地区、国の特別天然記念物にも指定されている岩手山特有の自然を散策と一緒に楽しめます。
岩手山の登山コースは7種類!子どもや初心者はどれがおすすめ?
計7本ある岩手山の登山道は、距離も難易度もさまざま。上りと下りで書くコースを組み合わせることにより、何通りものルートを組めるようになっています。
岩手山、7つの登山コース
- 柳沢コース
- 距離およそ5.5㎞、所要時間の目安4時間25分
- 焼き走りコース
- 距離およそ6.7㎞、所要時間の目安5時間10分
- 上坊コース
- 距離およそ4.8㎞、所要時間の目安4時間
- 七滝コース
- 距離およそ9.6㎞、所要時間の目安5時間50分
- 松川コース
- 距離およそ10.5㎞、所要時間の目安6時間10分
- 網張コース
- 距離およそ8.0㎞、所要時間の目安6時間5分
- 御神坂コース
- 距離およそ6.2㎞、所要時間の目安4時間40分
このうち、登山初心者に最もおすすめしたいのは「別名馬返しコース」とも呼ばれる「柳沢コース」です。
柳沢コースの概要
標高633mの馬返し登山口から入山し、岩手山の最高右方である薬師岳へ向かいます。
2合5勺の地点で新道と旧道、2つのルートに分かれますが7合目で合流。新道と旧道、どちらを進むかは個人の自由ですが、以下を参考に決定してください。
- 新道
- 旧道に比べ、安全性が高いルート。悪天候ならこちらがおすすめ
- 旧道
- 新道に比べ、道中の眺望が良いとされるルート。パノラマティックビューとも呼ばれる
なおどちらの道を通ってもミズナラ、ヤマザクラ、タモなどが生息する林を通り、やがて低木が茂るエリアを経て、砂礫や岩が目立つ山頂付近へと向かうことになります。
もうひとつのおすすめは、「七滝コース」。歩く距離は柳沢コースの倍近くにまで伸びますが、登山口までは車で乗り入れできるため体力的な負担を軽減できるでしょう。
七滝コースの概要
県民の森展望台から徒歩15分の場所にある七滝登山口を起点に、ミズナラの大群生地と落差20mを超える七滝を抜けて、火山活動が活発な大地獄谷の急斜面を通り抜けます。
湿地帯を抜けると網張コースと合流して、岩手山山頂へ向かっていきます。
七滝コースは、往復でおよそ8時間かかる少々難易度の高いコースですが、体力に自信があるなら挑戦してみても良いかもしれません。
ただし、少しでも不安があるなら、まずは利用者が多く、難易度の低い柳沢コースを選んでくださいね。
関連記事:登山より気軽!初心者向けトレッキングコースの選び方
日帰りも宿泊も!岩手山近くのおすすめ温泉
火山である岩手山の周囲には、複数の温泉地があります。以下に、岩手山近くのおすすめ温泉地をまとめていますので、ぜひ立ち寄ってください。
網張温泉
- 岩手山の旧火口から湧き出した温泉を、引き込んでいる温泉地
- 大釈の湯、白泉の湯、薬師の湯、仙女の湯、鹿追足湯の計5か所
- 総じて「網張五湯」と呼ばれ、宿泊をはじめ一部日帰り入浴にも対応ている
焼走りの湯
- 岩手山麓にある宿泊、日帰り入浴のどちらも可能な温泉施設
- 温泉以外に地元食材を使った食事処、休憩室なども利用可能
- 泉質は単純温泉(低張性弱アルカリ性低温泉)
- 関節のこわばりや痛み、筋肉痛、五十肩、運動麻痺、冷え、疲労回復、健康増進に効能を発揮する
関連記事:温泉療法にはどんな効果があるの?
おわりに:岩手山散策は1時間程度から可能!温泉でのリフレッシュも忘れないで
県と同じ名前を持つ岩手山は、盛岡市はじめ3つの市町村にまたがっています。最高地点2,038mにもなる高山ですが、登山道がしっかり整備されていて、一部登山口まで車での乗り入れも可能なため、登山初心者でも非常に挑戦しやすい山として人気です。軽登山・ハイキングであれば往復1時間から、登山であれば4時間程度から可能なので、周辺の温泉地利用とあわせてあなたの体力・レベルに合ったコースで岩手山登山に挑戦しましょう。
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