中国山地で2番目に高い氷ノ山(ひょうのせん)は、兵庫県から鳥取県にかけてまたがる人気の登山スポットです。
今回は氷ノ山の登山コース、また各コース・時期による見どころについて、氷ノ山の基本情報と一緒に紹介していきます。
氷ノ山ってどんな山?
別名「須賀ノ山(すがのせん)」とも呼ばれる氷ノ山は、鳥取県八頭群若桜町(やずぐんわかさちょう)・兵庫県養父市(やぶし)の県境にある山です。
標高は1,510mあり、日本二百名山のひとつに数えられている他、中国山地では2番目に、兵庫県内では最も高い山として知られています。
また、岡山県から鳥取県にまたがる那岐山(なぎさん)、兵庫県に広がる高原・瀞川平(とろかわたいら)とともに氷ノ山後山那岐山国定公園の一部にも指定されています。
氷ノ山という山名の由来は、古くからこの地に伝わる天照大神の逸話から。
かつて、この地で冬の朝日に生える樹氷を見た天照大神が、この山のことを「ヒエの山」と呼んだそうです。
そしてこの地域には、山という字を「やま」ではなく「せん」と読む風習がありました。
こうしてヒエの山の名は「ヒエのせん」となり、この発音が転じて「氷ノ山」と呼ばれるようになった、と伝えられています。
現在でも氷ノ山を上ればイヌワシなどの珍しい動物・高山植物の他、天照大神が座ったと伝えられるさざれ石を見ることができますよ。
初心者や家族連れは「氷ノ山越えコース」登山がおすすめ
ここからは、氷ノ山を上るための登山コースの概要や見どころを見ていきましょう。
まずは、登山経験の少ない初心者や家族連れにも挑戦しやすい「氷ノ山超えコース」から紹介していきます。
氷ノ山超えコースの概要
所要時間
- およそ2時間20分
総移動距離
- 4.3㎞
順路
- 福定(ふくさだ)
- 布滝
- 小豆ころがし
- 地蔵堂
- 弘法の水
- 氷ノ山超え
特徴・見どころ
- 順路のうち、最も遠いのは福定から布滝までの1.8㎞と短い
- ポイント間の距離が短いので、初心者でも体力と気力に余裕を持って上れる
- 起点の福定から布滝までの間に、10種類もの草花を観察することができる
- 植物を観察しながらゆったり歩いた後、落差65mの布滝を鑑賞できる
- 登山家の加藤文太郎が泊まったことで知られる、地蔵堂を見学できる
氷ノ山超えコース最大の見どころは、やはり雄大で繊細な姿を楽しめる布滝でしょう。
布滝は、岩肌に白い布を垂らしたように見えることからその名がついたとされる名勝です。
ゆったりと散歩気分で登山を楽しみながら、布滝をはじめとする氷ノ山の代表的なスポットを順に楽しむことができますよ。
見どころたくさん「ブン廻しコース」登山は体力に自信ある人向け
https://www.instagram.com/p/CFMyUHGATDX/
次に、氷ノ山超えよりも時間・距離ともに長くかかる、難易度の高いコース「ブン廻しコース」の概要を紹介します。
ブン廻しコースの概要
所要時間
- およそ6時間
総移動距離
- 13.3㎞
順路
- 奈良尾・福定
- 東尾根避難小屋
- 一ノ谷
- 神代ヒュッテ
- 氷ノ山山頂
- 氷ノ山超え
- 太平頭避難小屋
- ホードー杉入口
- 小代越え
- ハチ高原交流促進センター
特徴・見どころ
- 主に尾根伝いに歩くため、全行程を通して眺望が良い
- 氷ノ山山頂では、遮るもののない360度パノラマの絶景が見られる
- 天候に恵まれれば大山はもちろん、瀬戸内海・日本海両方まで見渡せる
- 県指定天然記念物の千本杉、ブナ原生林、こしき岩、ホードー杉と道中の見どころが多い
- 氷ノ山超えを過ぎた後に、布滝や地蔵堂を巡るコースへの変更も可能
ブン廻しコースでは、豊かに動植物を育み、信仰の対象となってきた氷ノ山を代表する名所を余すことなく楽しめますよ。
ブン廻しコース、各見どころの特徴
ホードー杉
- 推定樹齢500年を超える大木。最大幹回りはおよそ12m、高さはおよそ22mにも及ぶ
- 大久保・太平頭の斜面にあり、高地にある杉としては非常に大きく、長生きとされる
ブナ原生林
- ほぼ人の手が入っていない原生林
- 現在もさまざまな動植物が共存する林で、自然豊かな氷ノ山を象徴する存在
こしき岩
- 権現社にお供えするための餅をこの上で作った、という伝説ののこる岩
- 天照大神ゆかりの地として信仰の対象になってきた、氷ノ山を代表する場所のひとつ
氷ノ山の絶景「逆さ氷ノ山」はいつ見られる?
ここからは、季節ごとの氷ノ山の楽しみ方について学んでいきましょう。
まずご紹介するのが、氷ノ山ふもとの兵庫県養父市別宮(べっくう)で田植え前の短い期間にだけ見ることのできる「逆さ氷ノ山」。
およそ130枚もの棚田が連なり、日本の原風景を楽しめる景勝地として知られる別宮では、5月上旬~中旬になると田植えに向けすべての田んぼに一斉に水が張られます。
天候が良く、風のない日には、水が張られた田んぼが鏡のようになり氷ノ山を映し出します。
よく晴れた空にそびえ立つ氷ノ山と、水面にはっきりと映る逆さ氷ノ山は、この時期・特定の天候のときにだけ見られる稀少な絶景です。
冬の氷ノ山は人気のスキー場!ウィンタースポーツやレジャーがたくさん
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冬になると雪深くなる氷ノ山中腹以上のエリアには、スキーやスノーボードなどのウインタースポーツ・レジャーを楽しめるスキー場も点在しています。
代表的なものは、「氷ノ山国際スキー場」と「わかさ氷ノ山スキー」の2カ所。
- 氷ノ山国際スキー場の特徴
- 初心者から上級者まで楽しめる3つのスキーコースがある
- 関西で唯一、スキーレーシングのトレーニングが可能なコースを併設
- 中腹から麓にかけて、全長2.1㎞ものロングコースがある
- わかさ氷ノ山スキー場の特徴
- 周辺には宿泊や食事のできるヒュッテ、ロッジなどの施設が多数存在
- ゲレンデ近くに無料駐車場、ウインタースポーツ用品のレンタル店などがあり、初心者でも利用しやすい
いずれにおいても、ウインタースポーツを通して標高が高い氷ノ山ならではの雄大の景色と、柔らかいパウダースノーを楽しめるでしょう。
おわりに:氷ノ山は3時間以内の登山から楽しめる!季節ごとの絶景を見逃さないで
鳥取県八頭郡若狭町・兵庫県養父市にまたがる氷ノ山は、氷ノ山後山那岐山国定公園の一部です。標高は1,510mあり、古くから天照大神ゆかりの地として地域住民に崇められてきました。現在でも豊かに動植物を育み、ブナの原生林や巨大なホードー杉、遮るもののない山頂からの絶景を楽しめる登山スポットとして愛されています。2時間20分で楽しめる初心者向けの登山コースもあるので、季節を変え、氷ノ山の自然と絶景を楽しんでくださいね。
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