ストレスが溜まりがちな現代、「リフレッシュできる」「集中力が鍛えられる」「心が安らぐ」効果が得られることで人気の「座禅」。これらの効果をしっかり体感するには、座禅の正しいやり方をマスターしておくことが欠かせません!姿勢や呼吸などのコツを掴んでおきましょう。
座禅にはメリットがいっぱい!
仕事などでストレスフルな日々を送る人々の中で、静かなブームとなっている「座禅」。
座禅とは、禅宗に取り入れられる修行法の一つで、座った状態で精神統一を行うものです。最近では、心を落ち着かせ精神を鍛え、リラックスする方法として、一般の人や企業からも人気を集めています!
座禅には、下記のようなメリットがあると考えられています。
- 心が落ち着き、ストレスが解消する
- 集中力・判断力がUP
- 姿勢がよくなることで、代謝が改善する
いざ座禅!…の前に準備を
座禅に取り組む前に、服装や(自宅でやる場合は)周囲の環境を整えましょう。
- 服装
- 普段着でOKですが、ジーンズやタイトスカートなど体を締め付ける服装はNG。ジャージやスラックスなどのゆったりした服装が◎。
- 場所
- 自宅でやる場合は、静かで落ち着ける場所で行いましょう。寝室や書斎などどこでも大丈夫ですが、物が散らかっていると集中力がダウンします。片付けてから行うか、壁に向かって座禅をしましょう。
- 座布団(座蒲)の用意
- お寺での座禅会では、「座蒲」(ざふ/座禅の際に使用する座布団)が用意されていることが多いですが、自宅のフローリングの床でやる場合は、お尻が痛くなるので座布団を用意する必要があります。座布団を2枚用意し、1枚は床に敷き、もう1枚は二つ折りにしてお尻の下へ敷きましょう(ネットで「座蒲」を購入するのも手です)。
座禅のやり方
- 調身(ちょうしん):正しい姿勢で座る
- 調息(ちょうそく):呼吸を調える
- 調心(ちょうしん):心を調える
この3つが座禅のポイントです。姿勢と呼吸、心をしっかり整えることを念頭に置きながら、座禅に取り組みましょう。以降では基本的な座禅の流れとして、お寺での座禅会のやり方をご紹介します(自宅で実践する場合、1〜2、9の手順は省きます)。
1.入堂する
お寺での座禅会では、手を「叉手」(しゃしゅ/左手の親指を内側に握り、手の甲を外に向けて胸に軽く当て、右の手のひらで覆う。脇を開いて両腕を真横に張り、両手は胸の前で横方向に構える。※どちらの手が外側にくるかは宗派によって異なる)の状態にして入堂します。
入堂の際には、入り口の左側の柱(障子やふすまなど)の側を、左足から入ります。座禅堂に入ったら、いったん立ち止まり、聖僧さまに「合掌低頭」(がっしょうていず/脇を大きく開いた状態で合掌して頭を下げる)をしてください。その後、手を「叉手」に戻して自分の座る場所(座位)へ移動します。
2.座位につく
自分の座る場所(座位)に移動したら、自分の座位に向かって「合掌低頭」をし、次に両隣の人に合掌低頭をする「隣位問訊」(りんいもんじん/両隣の人への無言の挨拶)を行います。両隣に当たる二人は、これを受けて合掌します。
その後は合掌したまま右回りをし、向かい側の人に合掌低頭をする「対座問訊」(たいざもんじん/向かい側の人への無言の挨拶)を。
周囲の人への問訊が終わったら、「座蒲」の上に腰を下ろし、足を組みます。曹洞宗の場合は壁に向かって、臨済宗の場合は壁を背にして座るのが一般的です。
3.足を組む
まず、お尻の中心に座蒲がくるように座りましょう。座禅の足の組み方には、両足を組む「結跏趺坐」(けっかふざ)と、片足だけ組む「半跏趺坐」(はんかふざ)があります。
- 結跏趺坐
- 右足を左の太ももの上に乗せ、次に左足を右の太ももの上に乗せる。
- 半跏趺坐
- 左足を右の太ももの上に乗せる。
いずれの座り方でも、足が太ももの付け根側の深いところに当たるよう心がけましょう。また、両膝とおしりで上体を支えるようにするのが、座り方のコツです。
4.手を組む
座禅中、手は「法界定印」(ほっかいじょういん)という形にします。「法界定印」とは、親指と親指が軽く触れる程度にくっつけ、きれいな楕円形を作る手の組み方です。
組み合わせた手は浮かさず足の付け根に乗せ、下腹部に軽くくっつけます。親指がダラッと下がらないように注意しましょう。
5.姿勢を整える
背筋をまっすぐ伸ばし、頭のてっぺんが天井から引っ張られているようなイメージで顎を引き、両肩の力を抜いてください。耳と肩、鼻とおへそが垂直になるようにし、前後左右に傾かないようにしましょう。目線は1mほど先を見据え、約45°下の角度に落とし、自然に開いた「半目」の状態を保ちます。
途中で眠くなって、目が閉じないように注意!
6.大きく息を吸い込む
座禅の姿勢が整ったら、初めに静かに大きく深呼吸します(「欠気一息」/かんきいっそく)。
鼻から大きく息を吸い込み、口から吐き出します。このときは肺から呼吸するのではなく、腹式呼吸を心がけてください(下腹部へ空気を送り込み、少し口をすぼめて体の奥からゆっくり空気を吐き出すイメージ)。
7.前後左右に体を揺らす
「欠気一息」をしたら、「法界定印」を一旦ほどいて、手のひらを天に向け、それぞれの太ももの上に乗せます。その状態で、体を前後座右に揺らす「左右揺振(さゆうようしん)」をして、上体をほぐしていきます。
体の振れ幅は徐々に小さくしていき、体の中心位置で静止させ、再び手を「法界定印」に戻して座禅をスタートします。
8.座禅中のコツ
座禅中は姿勢よく、腹式呼吸を続けるのがポイント。鼻で静かに深く息を吸い込んで下腹部に空気を送り込み、口からゆっくりと吐き出していきましょう。口は、舌先が上の前歯の付け根あたりに当たるように閉じてください。
また、座禅をしている間にさまざまな雑念が浮かんでくると思いますが、そのままの状態に任せて体と息を整え、無心で座禅に集中することが大切です!
9.「警策」を受ける
座禅中にウトウト眠くなったり、姿勢が崩れていたり、心が落ち着かない様子が見られたときは、「警策」(修行者の肩を打つ棒。臨済宗では「けいさく」、曹洞宗では「きょうさく」と呼ぶ)で肩を打ってもらいます。
警策をする際は、棒を持つ聖僧さまが後ろに立ち、右肩に軽く警策をあてるので、受ける側は合掌して首を左側に傾けてください。その後肩をバシッ!と叩かれますが、初心者や一般の人には軽い力で叩くことがほとんどです。
警策を受け終わったら姿勢を元に戻し、「合掌低頭」をしてから座禅を続けます。
(自分から警策を求めることもできます。警策を打ってほしいときは、座ったまま合掌をして聖僧さまに合図をしてください。)
10.歩く座禅「経行」(きんひん・きょうぎょう)
座禅が長時間行われる場合、堂内をゆっくり静かに歩行する「経行」を行います。
経行の際は足をほどき、座位を離れて手を「叉手」の状態にして歩きます。この際の呼吸や姿勢は座禅と同じです。一呼吸する度に半歩進み、自分の呼吸に合わせてゆっくり丁寧に歩みを進めてください。
11.座禅の終わり方
座禅が終わる際、合図として鐘が1回鳴ります(自宅で行う場合は、20〜40分立ったら頃合いを見て終了してください)。
まず「合掌低頭」をし、「左右揺振」をして体をほぐします。座禅をスタートするときとは違い、徐々に大きく体を揺らすようにするのがポイント。
そして組んでいた足をゆっくりほどき、立ち上がります。その後は座蒲の形を整え、「隣位問訊」「対座問訊」をし、合掌の手を「叉手」にして、座禅堂から出て終了です。
おわりに:座禅のやり方のキホンをおさえておこう!
「座禅は初めて」「どんなふうにやるの?」という人向けに、基本的な流れをご紹介しました。座禅は自宅でもトライできますが、しっかり効果を得るには正しい姿勢や呼吸法で行うことが重要なので、初めての人はお寺などの座禅会に参加して、やり方を指導してもらうのがいいかもしれません。
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