真珠は冠婚葬祭など、主にフォーマルな場で女性が身に付けることの多い宝石です。貝の中で作られ、採取後に加工されてアクセサリーとなる真珠は、養殖での生産も積極的に行われています。
今回は、養殖真珠の作り方や天然真珠と比較したときの見た目や質、市場価格の違いを養殖真珠を扱うおすすめの宝飾メーカーの情報と一緒に紹介していきます。
真珠はアコヤ貝から採れる?主要な収穫地はどこ?
真珠は、主にアコヤ貝(阿古屋貝)という二枚貝の内部で作られる宝石です。
アコヤ貝の基本情報
- 全長は成熟したもので10㎝ほど
- 貝殻は緑っぽい色で、黒い筋のような模様が入っている
- 内側はつるっとしてきれいだが、貝殻の外側は牡蠣のようにボコボコしている
- 全体的に平べったく、ホタテ貝に似た見た目
真珠はアコヤ貝の内側、真珠層と呼ばれる層が粒状に固まったものです。核となる異物が何らかの理由で外套膜(がいとうまく)と呼ばれるアコヤ貝の臓器に入ることで、真珠が形成されます。
なお、アコヤ貝以外でも、貝類であれば真珠を作ることは可能だと考えられています。実際、アコヤ貝以外にもクロチョウガイやシロチョウガイ、マベなどアコヤ貝と同じウグイスガイ科の海水貝や、イケチョウガイという淡水貝からも真珠が産出されています。
母体となる貝の違いによる、真珠の色の違い
アコヤ貝から作られる真珠は一般的にイメージされる白色をしていますが、母体となる貝の種類や個体差により、真珠の色は以下のように変わってきます。
アコヤ貝 | 白色 |
クロチョウガイ | 黒色 |
シロチョウガイ | 黄色、金色、青みがかった白色 |
ピンクガイ | ピンク色 |
日本においては愛媛県、長崎県、熊本県、佐賀県、大分県、鹿児島県が養殖真珠の主要生産地であり、平成25~30年の産出量トップ5にランクインしています。
天然真珠ができる仕組みと養殖真珠の作り方
もともと真珠は、以下メカニズムにおいてごくまれに発生するものしかなく、「天然の芸術品」でした。
- 天然真珠ができるメカニズム
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- 何かの拍子に、虫や砂、石などの異物が貝殻と体を覆う外套膜の間に入る
- 異物混入の刺激で刺激された貝表面が破れ、外套膜のかけらと異物が体内に入る
- 外套膜が女児に広がり、異物を包み込むようにして「真珠袋」を形成
- 真珠袋のなかで、貝殻と同じ成分である炭酸カルシウムがにじみ出てくる
- 異物の周りに炭酸カルシウムが付着し、何層にも重なって真珠となる
真珠を手に入れるには自然に作られたものを探すしかなかったため、宝石としても非常に高価でしたが、1920年に始まった養殖真珠の発展に伴い、少しずつ身近な存在になってきています。
養殖真珠ができる流れ
養殖真珠は、母体となる貝の赤ちゃんから質の良いものを選び、成体になるまで2年ほどかけて育てるところから始まります。貝が成体になるまで十分に成長したら、真珠のもととなる「異物」を人の手で移植していきます。この「真珠のもととなる異物」は「核」と呼ばれ、厚みのある貝殻を丸く削ったものです。
1つの貝に対し、「核」と外套膜を小さく切り取った「ピース」を1つずつ移植して、貝を筏に吊るして海の中へ沈め、掃除や手入れ、台風などの影響を受けないよう大切に管理し、貝の体内での真珠の形成を促しながら、さらに2年ほどかけて育てていきます。
この方法は、利益性の高い真珠の養殖方法として確立されていますが、それでも、売り物となるきれいな真珠になるのはたった30%ほどといわれています。全体のおよそ50%は途中で死んでしまい、残り20%ほどはかたちの良くない「不良真珠」か、真珠とは呼べない未完成なものしか形成されません。
養殖真珠と天然真珠の違い
養殖真珠も天然真珠も、「巻き厚」という層が「核の表面を包む」ことを繰り返しながら形成されます。巻き厚は、真珠が貝の中で過ごす時間が長ければ長いほど厚く何層にも重なっていき、光沢や大きさを増していきます。天然真珠が十分に巻き厚が重なっていくことは少なく、宝石の価値が生じる「大きく丸い粒」になることはあまりありません。小さく、いびつなかたちで収穫されることの多い天然真珠は、現在ではおもに薬用として消費されます。
対して、養殖真珠は貝の中で巻き厚を重ねる時間を管理・調整できます。天然ものに比べて巻き厚の層が厚い大きな粒を収穫しやすいため、宝石として使用されることが多いです。指輪やイヤリングなど、アクセサリーの中心に据えられる大きな真珠は、そのほとんどが2~4年かけて養殖し、何千層もの巻き厚を重ねたものということです。
つまり、しっかりと時間をかけて巻き厚を重ねる養殖真珠は「大きく丸い形状」、養殖に比べ巻き厚が薄くなる天然真珠は「小さくいびつな形状」になりやすい特徴があるということです。
ブルー真珠の違い
「ブルー真珠」と呼ばれる青みがかった色を持つ真珠の場合は、天然ものと養殖もので「色」にも違いが見られます。
「ブルー真珠」は、その成り立ちから「ナチュラルブルー」と「コバルトブルー」に分けられます。自然に青みがついたナチュラルブルーに対し、コバルトブルーは加工して色を変えたものです。養殖のブルー真珠は、基本的にコバルトブルーとなるため、青みの出方に特徴が現れます。
真珠の形や色、巻きが市場価格に影響する?
真珠の稀少価値を決める要素は、6つの見た目の項目と養殖・天然の違いによって生じます。
真珠の市場価値を決める6つの要素
- 1.かたち
- 真円に近いほど、価値が高くなる
- 2.傷
- 傷が少ない方が価値が高く、場所や大きさによっても価値が変わる
- 3.色
- 産出量が少ない色、またはそのとき流行の色のものが価値が高い
- 4.巻き
- 先述した巻き厚の厚さのこと、より厚く均等な方が価値が高い
- 5.テリ
- 光沢の有無や程度のことで、高ければ高いほど良い
- 6.サイズ
- 真珠の粒の大きさのこと、基本的には大きい方が高い価値となる
養殖・天然による要素
養殖真珠か天然真珠かということも、真珠の価値・市場価格に大きく影響します。自然に貝の中に異物が入り込み、その異物のまわりに偶然巻き厚が形成され、アクセサリーにできるほど大粒の真珠ができる確率は非常に低いです。そのため、天然真珠は、天然であるということだけで稀少価値が高く、養殖真珠よりはるかに高い価格で取引されます。
養殖真珠の宝飾メーカー【愛媛・長崎・神戸】を紹介
最後に、養殖真珠を使ったアクセサリーを販売している愛媛、長崎、神戸のおすすめ宝飾メーカーを各1社ずつ紹介していきます。
愛媛県|土居真珠の「うぶたま」
- 宇和島の真珠養殖業者のオリジナルブランド
- 土居真珠で獲れる真珠のなかでもわずか0.1%の確率でしか採取できない、無漂白・無調色でも白く、金属のように強い輝きを放つものだけが、純真無垢、うぶな美しさを堪能できる真珠としてこの名がつけられた
- 土居真珠では、真珠の養殖から加工、販売まで一貫して手掛けているため、会社内のオフィシャル通販サイトからも購入が可能
長崎県|長崎真珠の「花珠真珠」
- 養殖真珠のうち、全体の1%しか産出されない「花珠(はなたま)」と呼ばれる最高品質の真珠だけを、生産・販売するブランド
- 大村湾で稀少価値の高い花珠真珠にこだわって養殖を行い、直売まで手掛けている
兵庫県|神戸「大月真珠」
- 真珠の養殖、選別、加工、販売まで関連会社で手掛ける宝飾メーカーが作る真珠
- 昭和50年より、業界で真珠の輸出額で1位の座を守り続けているため、その養殖や目利き、きめ細やかな加工技術には定評がある
- オンラインショップでは、真珠を一粒のみ使用した比較的安価でシンプルなもの、セミオーダーなど各カテゴリに分けられたジュエリーを購入可能
- 取り扱う商品写真は公式インスタグラムアカウントでもチェックできる
おわりに:天然真珠に比べ、養殖真珠は購入しやすい身近な存在!
貝のなかに混入した異物が貝殻の層に覆われることで形成される天然真珠は、いまも昔も非常に希少価値が高いです。しかし、明治時代に日本で始まった真珠の養殖生産により、真珠は私たちにとって身近な宝石となってきました。稀少価値では天然ものに劣る養殖真珠ですが、長い時間をかけて作られる分、粒の大きさやかたち、輝きの強さには定評があります。真珠の購入を検討中なら、養殖真珠のジュエリーも候補に加えてください。
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