健康増進やダイエット目的で行われることの多いサイクリング。でも初心者の場合、自転車に乗っているとすぐスタミナ切れになる、ということも多いでしょう。
そこで今回は、自転車に乗って長く速く走るための対策・トレーニング方法について、すぐに疲れてしまう理由や栄養補給のポイントと一緒に紹介していきます。
自転車に乗るとすぐ疲れる原因は?
自転車に乗るという運動は、体にたくさんの酸素を取り込みながら筋肉を収縮させて行う有酸素運動です。
有酸素運動を数十分単位で行うには、休みなく肺・呼吸器官と心臓を動かし、十分な量の酸素を筋肉や全身の細胞に送り続けなければなりません。ジョギングやランニングに比べて体への負荷は小さく感じるものの、自転車に乗るには相当な筋肉負荷とエネルギー消費が伴います。
このため、普段あまり運動をしないという人なら、自転車に乗るのに必要な筋力・体力が不足しているためにすぐ疲れてしまうということも十分あり得るのです。
自転車に乗って強い疲労を感じるなら、まずは自身の体力・筋力不足が原因と考えてもいいかもしれません。
自転車は正しいフォームじゃないとデメリットがあるの?
自転車に乗ったときの疲労感は、体力・筋力不足以外にも乗り方が間違っていることが原因、という可能性もあります。
自転車に乗るときの正しいフォームは、以下の条件をすべて満たした姿勢です。
- 正しいサイクリングフォームの条件
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- ペダルを最も低い位置まで漕いだとき、膝が伸びる
- サドルからハンドルにかけて、上半身は前傾姿勢
- ハンドルには少し肘を曲げた状態で、軽く手を置く姿勢をキープしている
- 前から見たとき、ペダルをこぐ膝は左右にぶれず回転を続けている
- 効率よく、一定のリズムでペダルを漕ぐことができている
正しいフォームで自転車に乗れていないと、自転車に乗るのに必要のない筋肉だけが発達したり、無駄にスタミナを消費する原因となってしまいます。
また、自転車に乗るときの前傾姿勢は、日常生活ではあまりとらない姿勢です。1時間以上の長時間自転車に乗るためには、少なくとも正しいフォームで数十分耐えうるだけの体力・筋力を筋トレでつける必要があるでしょう。
無理なく前傾姿勢をとり、長く楽に自転車に乗れるようになるには、以下おなか周りの腹筋群を鍛えることをおすすめします。
- 自転車に乗るために鍛えるべき腹筋群
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- おなかの真ん中あたりにある「腹直筋(ふくちょくきん)」
- 腹直筋のすぐ横にある「腹斜筋(ふくしゃきん)」
- おなかの最も外側、くびれにあたる部分にある「腹横筋(ふくおうきん)」
初心者におすすめ!体幹や脚力を鍛える筋トレ
以下からは、自転車の初心者でも簡単に行えて自転車に乗る時に使う筋肉を鍛えられるトレーニングを2種類、紹介していきます。
いずれも自宅やオフィスなど、室内外どこでも気軽に行えるトレーニングですので、ぜひやってみてください。
ニーリフト
「ニーリフト」は、腹筋と太ももの大きな筋肉である大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の強化に効果的とされています。
- ニーリフトの手順
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- 背筋を伸ばした状態で、椅子に浅く座る
(体を傷めないよう、手は前の机に置くなどしてバランスを取ってください) - この基本姿勢から、両膝を揃えたまま足を上下させる
- 1セットあたりの回数目安は20~30回。下腹部が熱くなり、効いている感じがしたら成功
- 背筋を伸ばした状態で、椅子に浅く座る
注意点
机の上に置く手は、あくまで姿勢のバランスを取るため。体重をかけて支えにしてしまうと、筋トレの効果が弱まってしまうので注意しましょう。
スクワット
「スクワット」は、大腿四頭筋と臀筋群、体幹強化に効果的です。手軽なトレーニングではありますが、適切な方法で行わないと期待される効果が得られなかったり体を痛めることがあるので注意しましょう。
- スクワットの手順
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- 体を正面に向け、足を肩幅よりやや広めに開いて立ちます
(つま先も体と同様、前に向ける) - 息を吐きながら、ゆっくりと腰を真下に落としていく
- 膝の角度が45~90度になるくらいまで腰を落としたら、今度は息を吸いながら膝が伸び切る寸前まで、腰を上げもとの姿勢に戻してい
- この腰の上下運動を1回としてそれぞれ3秒ずつかけて行い、1日に5~10回繰り返す
- 体を正面に向け、足を肩幅よりやや広めに開いて立ちます
注意点
どのくらい腰を落とすかは、そのときの体調・筋力に合わせて決めてください。
高い筋力アップ効果を得たいからと無理して腰を落とし過ぎると、膝を傷める原因となります。
長く走るための体力アップトレーニング
筋力アップの次は、体力・持久力アップに効果的なトレーニング方法を見ていきましょう。
体力と持久力の向上が見込めるトレーニング方法としては、「LSD」と「TABATAトレーニング」の2種類が挙げられます。
「LSD(エルエスディー)」とは
Long・Slow・Distanceの略で、ゆっくりでもいいから長く・たくさんの距離を漕ぐことで心肺機能と血管機能を高め、疲労予防と持久力アップを狙うトレーニング法です。
LSDのやり方
1分間のペダル回転数が90~100になるようなゆったりしたペースで、1時間を目安に自転車を漕ぎ続けます。
「TABATA(タバタ)トレーニング」とは
別名「インターバルトレーニング」。立命館大学スポーツ健康科学部の田畑泉教授が発案し、科学的にも効果を実証した運動方法です。
4分間という短時間で強度の高い運動と休憩を繰り返すことで、ペダルを漕ぐのに必要な瞬発力と持久力の両方を強化することができます。
TABATAトレーニングのやり方
以下のような高強度の運動を20秒行った後、10秒の休憩をはさむ。これを1セットとして1日当たり計8セット、4分間続けて行います。
- ダッシュ
- バイクマシンの全力漕ぎ
- プランク
- 全力での腕立て伏せ
- 全力でのスクワット など
ただし、このトレーニング方法は体への負担が大きいと言われています。
本人が週に2~3回続けられるくらいの負荷で行うのが適切であり、速く効果を得ようと高負荷で行うとケガの原因となるので要注意です。
欲張らず、無理のない範囲で少しずつ確実に筋力・体力をつけていきましょうね。
サイクリングに必要な栄養補給って?
自転車に乗り、長くたくさんの距離を走り続けるためには、筋力・体力と同じくらいエネルギー補給も大切です。
しっかりエネルギーを補給しておかないと、体内の血糖値が異常に低下する「低血糖状態」「ハンガーノック」状態となり、意識を失ってしまう可能性があります。
自転車に乗るときには、体内の糖分とアミノ酸が大量に消費されます。
このため、補給食には糖分の高いものを摂るようにしましょう。
- 補給食におすすめの食品
- 羊かん、チョコレート、パン、おにぎり、バナナなど。栄養補助機能食品、ゼリー飲料、アミノ酸飲料、プロテイン などでも可
自転車に乗る前、そして自転車に乗っている間も1時間に1回を目安に休憩を取って、水分と一緒に栄養も補給してください。
おわりに:初心者はトレーニングで筋力・体力をつけ、自転車でたくさん走れるようになろう!
自転車に乗るときの独特の前傾姿勢は、体幹の筋力を必要とします。またたくさんの酸素・エネルギーを消費する有酸素運動であるため、自転車に乗るには相当な持久力も求められます。サイクリング初心者が速く、たくさんの時間・距離を漕ぎ続けられるようになるには、筋力・体力アップのためのトレーニングを併用するのが良いでしょう。
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