お寿司にお刺身、煮つけなどにしてもおいしいマグロは、日本人が大好きな魚の一種です。
今回はマグロの栄養価に着目し、食べることで得られる健康へのメリットやおすすめの食べ合わせ、部位別の味わいの違い・特徴と一緒に解説します。
旅先でのグルメやお土産選び、お取り寄せの際に役立ててください。
マグロの種類と部位別の特徴とは?
まずは種類別に、マグロの味わいや肉質の特徴・違いを解説していきます。
マグロの種類別の特徴
- クロマグロ
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- 最も大型のマグロで、平均的なもので体長3m・体重300㎏ほどにもなる
- 別名「本マグロ」と呼ばれる出世魚
- 肉質が良いとされるが漁獲量が少なく、高価である
- キハダマグロ
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- 背びれと尾びれの黄色い模様が特徴的な、体長2mほどの種類
- やや淡白な味わい、きれいな色が特徴的なマグロで、夏から秋にかけて日本近海を回遊する
- メバチマグロ
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- ぱっちりした目元から、この名前が付けられた種類
- 体長はおよそ2.5m、赤道から南北緯35度にわたる広範囲で回遊している
- マグロのなかでも最も漁獲量が多い
- ミナミマグロ
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- 別名「インドマグロ」
- その名の通り、南半球のインド洋を中心に生息している種類
- 体長はおよそ2m
- 赤身部分の色の濃さ、そして脂のノリが特徴的な高級なマグロである
- ビンナガマグロ
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- 別名「ビンチョウマグロ」
- 体長はおよそ1mと小柄だが、胸びれが大きく長いのが特徴
- シーチキン®などのツナ缶の材料、またはビントロとしてすしネタに使われる。比較的安価
- コシナガマグロ
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- 細長く、お尻の方に向けて長くなる体形が特徴の種類
- 体長はおよそ1mで、主に西日本で水揚げされる
- クロマグロの若魚に似た味わい
次にマグロの部位別に、味わいや特徴、値段の高低をについて紹介していきます。
マグロの部位別の違いと特徴
- 赤身
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- マグロ背中側からとれる肉の総称
- 脂身が少なく、あっさりした味わいともちっとした食感、うま味が楽しめる部位
- 中トロ
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- 背びれ周辺、またおなか側の大トロ周辺からとれる肉
- 適度に脂肪が入っているため、赤身よりもとろけるような脂身のおいしさを楽しむことができる
- 大トロ
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- 最も脂の多い、おなかの肉
- 全体にさしが入っているため、白っぽい見た目をしている
- 柔らかい食感と脂がとろけるようなうま味が特徴で、マグロの全部位の中で最も高価
- カマトロ
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- えらの後ろ部分の肉
- マグロ1匹から2枚しかとれない希少部位で、非常に脂がのっているのが特徴
- 大トロ、中トロに似た味わいで、刺身やすし、焼き物としても人気がある
- ほほ肉
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- 目の周り、頬にあたる部分の肉
- カマトロと同様に1匹から2枚しかとれない希少部位
- 脂がのっているが繊維質なので、生よりも火を通して食べることが多い
- 中落ち
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- 骨の周りについている肉。スプーンなどでそぎ落として食べる
- 脂がのったトロのような味わいで、包丁で叩いてネギトロとして食べることもある
まぐろに含まれる栄養と期待できる健康効果は?
まぐろに含まれる栄養と期待できる健康効果は以下の通りです。
DHA、EPA
脂肪に含まれ、特にトロや中落ちなど脂の多い部位に豊富に含まれている栄養成分です。継続的に食べることで、以下の健康効果を得ることができます。
- 血が固まるのを防ぎ、血管内で血流を阻害する血栓ができないようにする
- 血液中の悪玉コレステロール、中性脂肪の量を減らし、善玉コレステロールの量を増やす
- 血中のコレステロール値、脂肪値を減らすことにより、高脂血症を改善する
- 血が固まりにくくすることで全身の血流を促進し、高血圧を改善する
- 血流促進の作用により動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの疾患を予防する
- 脳の神経細胞の働きを活性化し、老化や認知症の発症を防ぎ、学習能力を向上させる
タンパク質
魚肉であるマグロの主成分は、人間の体の維持に欠かせないタンパク質です。マグロには人間の体内で作ることのない必須アミノ酸のうち、メチオニンが多く含まれています。
タンパク質は私たちの体を構成する細胞の原料となり、メチオニンには肝臓の働きを助け、脂肪肝になるのを防ぐ作用が期待できます。
タウリン
アミノ酸の一種であり、特にマグロの血合い部分に多く含まれるタウリンには、私たちの体に以下の健康効果をもたらしてくれます。
- コレステロールなど、脂肪の体内での代謝を促進する
- 脂肪類の代謝促進により、高血圧や動脈硬化、心疾患など循環器疾患を予防する
- 肝臓の働きを強化し、脂肪肝になるのを防ぐ
- ストレスを感じにくくし、緩和する
- 胆石ができるのを予防する
- 視力の回復を助ける
ビタミンE
マグロには、不足しがちなビタミン類も含まれています。特に豊富に含まれるビタミンEには、以下のような健康効果が期待できるでしょう。
- 抗酸化作用により、全身の血管が老化するのを防ぎ柔軟性を保つ
- 全身の血行を良くし、肩こりや腰痛など、血行不良からくる症状を和らげる
- 肌への血流も良くなるため、血色が良くなり肌がきれいになる
セレン
マグロに微量に含まれる栄養成分で、私たち人間の必須元素だとされています。セレンに期待できる健康への効果は、以下の通りです。
- 脂肪が酸化し、動脈硬化など疾患の原因となる過酸化脂質になるのを防ぐ
- ビタミンEと共謀して働き、できてしまった過酸化脂質を分解する
- 過酸化脂質の抑制と分解により、心疾患の発症を予防する
- 細胞の酸化によるがんの発症、転移を予防する
ミネラル類
マグロに含まれる鉄分、亜鉛、カリウムには、それぞれ以下健康作用が期待できます。
- 鉄分 … 血流にのって酸素や栄養を全身に運ぶ、赤血球の原料となり貧血を予防する
- 亜鉛 … 味覚障害、肌荒れ、男性の生殖機能低下、脱毛を予防する
- カリウム … 体内の水分・塩分量を正常に保ち、神経や筋肉の働きを助ける
マグロの栄養を活かすにはどうやって食べればいい?
マグロに含まれる栄養成分の一部は、加熱によって損なわれてしまいます。マグロを食べるときは、できるだけお刺身やすしなどで生食するようにしましょう。
マグロを生食する上での注意点は、以下の通りです。
- マグロを生食するときの注意点
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- 脂は酸化しやすいので、トロは味が落ちないよう食べる直前に切る
- すぐ食べないときは、部位にかかわらず醤油やみりんに漬け込み、漬けマグロにすると3日程度おいしく食べられる
好みや鮮度の問題で加熱するときは、身の外に逃げ出した栄養まで煮汁から摂れるよう、汁物や鍋の具材にするのがおすすめですよ。
もし、経済的な理由で継続的にマグロを食べるのが難しい場合は、ツナ缶を使っても良いでしょう。
以下に、栄養的に見てマグロと相性の良い食材と狙える健康効果を一緒にご紹介します。毎日の献立を考える上で、参考にしてくださいね。
- 血流を促進し、体調を良くしたいなら
- アボカド、やまいも、納豆、オクラ
- 婦人病の予防、脳の活性化をしたいなら
- ゴマ、大豆、イワシ、ヤマイモ
- 生活習慣病を予防したいなら
- きくらげ、ワカメ、ゴボウ、ワサビ、シイタケ
- 血管や体細胞の老化を防ぎたいなら
- バター、落花生、ゴマ、カボチャ
おわりに:マグロの栄養は体づくり、脳と細胞の老化予防に役立つ
部位によっても差はありますが、マグロにはDHAやEPA、ビタミンE、タンパク質、ミネラル類などの栄養が豊富に含まれています。このため継続的に食べれば、生活習慣病の予防や体力の増強、脳や全身細胞の老化防止に役立つと考えられているのです。部位別の特徴や違いを知り、ツナ缶も上手に活用しながら、毎日の食事にマグロを取り入れましょう。
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