特有の香りと強い甘味味わえるちょっとリッチな果物、メロン。
今回は、贈答品として使われることも多いメロンの栄養成分に着目し、期待できる健康効果や種類別の違い、栄養的におすすめの食べ合わせを学んでいきましょう。
観光地やお取り寄せ、カフェタイムを楽しむための参考にしてください。
メロンの種類 ― 赤肉系と青肉系の違いって?
メロンは、ウリ科キュウリ類の一年草の果実です。キュウリに近い種類の果実で、農林水産省の区分では野菜に分類されています。
もともとは暖かい地域を好む植物でしたが、涼しいヨーロッパ地域でも育てられるよう改良されました。
このため、世界的に見ると中国やトルコ、イランなどがメロンの名産地ですが、日本国内では北海道などの冷涼地がメロンの産地として知られているのです。
高給な果物として認識されており、一玉当たり数千~数万円することも少なくありません。
このため、自宅で手軽に食べられる庶民的な食品というよりは、お祝いや贈答品としていただいたときに食べられる高級品、特別な果物というイメージを持たれています。
なおメロンは、果肉の色や皮表面の網目の有無などによるいくつかに分類が可能です。
以下からは果肉の色を基準に、青肉種・赤肉種・白肉種それぞれのメロンの違い、特徴を解説していきます。
果肉の色別、メロンの特徴
- 青肉種
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- メロンのうち、果肉の色が黄色または緑色の種類
- 他の種類に比べクセが少なく、ウリの風味と甘さを感じやすいと言われている
- マスクメロン、アンデスメロンなどが該当
- 赤肉種
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- メロンのうち赤っぽい、オレンジ色の果肉を持つ種類
- 他の種類に比べて複雑な味わいを楽しめるとされるが、βカロテンによる薬臭さを感じることもあるという
- 夕張メロン、クインシーメロン、レノンメロンなどがこれに該当する
- 白肉種
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- メロンのうち、皮も果肉も乳白色をしている種類
- たっぷりの果汁と甘味を楽しむことができ、比較的安価で取引されている
- ハネデューメロンやホームランメロンなどが該当
また果肉の色以外に、皮にある網目模様の有無でネット系・ノーネット系にも二分できます。
詳細は品種によっても変わりますが、白肉種の多くはノーネット系、青肉種・赤肉種の奥はネット系にあたります。
メロンの栄養に期待できる効果は?
水分量の多いメロンですが、その果肉や果汁には複数の栄養成分が含まれています。
以下に、メロンの代表的な栄養成分とそれぞれに期待できる健康効果をまとめていますので、確認してください。
カリウム
細胞内外の浸透圧を調整し、体内の余分な水分・塩分の排出を促すミネラル成分です。
メロン100gあたりに350㎎、スイカのおよそ3倍も含まれており、以下の健康効果をもたらしてくれます。
- 体の塩分と水分の量を適切に保ち、むくみを防止・解消する
- 血液量を正常に保ち、血圧を適切な値まで下げて高血圧を予防・改善する
GABA
正式名称を「γ(ガンマ)-アミノ酪酸」という栄養成分。アミノ酸の一種で、神経伝達物質の分泌・働きを助ける作用があり、以下の健康作用が期待できます。
- 脳や神経に作用して緊張を緩和し、リラックスした状態にいざなう
- ストレスや過度な精神の緊張による不眠を緩和し、眠りへの導入を助ける
- ストレスによる体調不良を軽減し、血圧を下げて高血圧を予防する
アデノシン
血液中に存在する白血球を活性化したり、血液を固まりにくくする作用のある成分。
このため、血液をサラサラにし血流促進してくれるとして、以下の健康効果が期待されています。
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病による血行不良の改善
- 生活習慣病が原因で起こる動脈硬化、心疾患、脳疾患の発病予防
糖質
メロンの強い甘味の源となっているのが、ショ糖や果糖、ぶどう糖などの糖類です。
これら糖類は、体内で脳や体を動かすエネルギー源として変換され、特に疲れているときや弱っているときに以下の健康効果をもたらしてくれます。
- 迅速なエネルギー補給
- 脳や筋肉の疲労回復の促進、体力の増強
カロテノイド
自然界に存在する、色素成分の一種。メロンに含まれる成分のうちβカロテンやルテイン、ゼアキサンチンなどがこれに当たります。
赤肉種に特に多く含まれていますが、青肉種・白肉種にも含有が確認されている抗酸化作用の強い成分で、以下の健康効果が期待できます。
- 全身の細胞の加齢による劣化、酸化を防ぎ若々しく健康な状態に保つ
- 血管や内臓、脳の機能低下を防ぐことで、生活習慣病や重大疾患発症を防ぐ
- 皮膚や粘膜を健康な状態に保つことで免疫力を高め、感染症罹患を防ぐ
- 肌を若々しい状態に保つため、シミ・シワ予防など美肌効果も期待できる
ビタミン類
他の栄養成分に比べると含有量は少ないものの、メロンにはビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類も数種含まれています。
このため、ビタミンCによるコラーゲン生成補助、ビタミンEの抗酸化作用による美肌作用も期待できます。
メロンの栄養と相性がいい食べ合わせと食べるときの注意点は?
栄養的に見てメロンと食べ合わせの良い食材と、それぞれの食べ合わせに期待できる健康効果は以下の通りです。
- 栄養的にメロンと相性の良い食材と効果
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- 体力の回復、夏バテの軽減に ⇒ ブドウ、紅茶、寒天、ジャガイモ
- 血管を柔軟に保ち、血流促進 ⇒ ブルーベリー、パパイヤ、タマネギ
- 塩分と水分の排出を促し、むくみ解消 ⇒ スイカ、マンゴー、パイナップル
- 抗酸化作用を高め、美肌効果アップ ⇒ キウイ、レモン、グレープフルーツ
以下の条件を満たす状態の良いメロンを購入して、食べ合わせてみましょう。
- 新鮮でおいしいメロンの条件
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- 皮の表目に大きな傷や凹み、色ムラがなく、メロンの良い匂いがするもの
- ネット系メロンなら、均一に網目模様が入り凹凸もくっきりしているもの
また店で売られているメロンは、追熟させることを前提に収穫されたものです。
追熟とは、完熟して食べごろになるまで適切な環境で保管すること。
メロンの場合は香りが強くなり、お尻の果肉を皮の上から押すと少し凹み、弾力を感じられるようになるまで直射日光の当たらない涼しい場所で保管します。
冷蔵庫に入れるのは、追熟が終わって食べごろになってから。冷蔵庫に入れると熟成が止まってしまうので、追熟させてから冷蔵庫に入れ、2~3日以内に食べきってください。
なお、メロンのワタにもアデノシンなど栄養成分が豊富に含まれていますので、ジュースにするなどしてできるだけ食べるようにしましょう。
おわりに:追熟させて食べ合わせを工夫し、メロンの栄養をおいしく摂ろう
かぐわしい香りを強い甘味を楽しめるメロンは、特別感のある高級な果物です。味わいだけでなく栄養成分も魅力的で、カリウムやビタミン類、GABA、カロテノイドやアデノシンなど、心身の健康や美容への効果が期待できます。市販されているメロンは適切な方法で追熟させ、食べ合わせを工夫することで含有されている栄養成分をよりおいしく、効果的に摂れるようになりますので、本記事を参考に実践してみましょう。
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