朝食や午後のおやつのお供として、日本を含めたくさんの国で愛されている紅茶。
今回は紅茶に含まれている栄養と期待できる健康効果について、種類別の特徴・違いやおいしい淹れ方、正しい保存方法と一緒に勉強していきましょう。
紅茶にはどんな種類があるの?
紅茶は、一般的な緑茶と同じお茶の木から摘んだ葉を、発酵させてつくるものです。
お茶そのものは中国で紀元前から薬として珍重されていたようですが、飲み物として広まったのは6世紀に入ってから。
紅茶が生まれたのは、オランダの貿易船を通じて中国からヨーロッパへとお茶が伝わり、イギリス貴族に愛されるようになった17~18世紀だと言われています。ヨーロッパでも、もともとはアジア同様に緑茶が飲まれていました。
しかし、やがて茶葉を発酵させた茶色いウーロン茶が人気を博したことから、改良が進んで発酵度合いの高い紅茶が生まれたと考えられているのです。
現在、一般的に紅茶は茶葉そのものの種類、ブレンドやフレーバーの違いなどにより、日に多様に展開されています。
以下に、一般的に知られている紅茶の種類の具体例を、いくつか見ていきましょう。
茶葉の産地の違いによる種類
アッサム
- 北インドで生産された茶葉を使った種類
- 濃く澄んだ赤色で、芳醇な香りとあっさりした味わいを楽しめる
- タンニンが多く、ミルクティーに向いているとされる
ダージリン
- 北インドで生産された茶葉を使った種類
- 淹れるときれいなオレンジ色になる
- マスカットフレーバーと呼ばれる独特な香りが特徴で、ストレートのまま飲むのが良いとされる
ジャワ
- インドネシアのジャワ島で生産された茶葉を使った種類
- 明るいオレンジ色で、ミルクティーに適したマイルドな香り・味わいを楽しめる
ヌワラエリヤ
- スリランカのセイロン島で生産される茶葉を使った種類
- 淹れるときれいなオレンジ色をしている
- バラのような柔らかな香りを楽しめる、マイルドな味わいのお茶
ウヴァ
- スリランカのセイロン島、その南東部で生産される茶葉を使った種類
- 明るい赤色のお茶で、香りが強い。ミルクティーに適した豊潤で刺激的な味わいとされる
ニルギリ
- 南インドで生産された茶葉を使った種類
- 濃いオレンジ色のお茶を淹れることができる
- 頭がすっきりするようなフレッシュな香り、しっかりした味わい
ケニア
- ケニアで生産された茶葉を使った種類
- 濃い赤色のお茶を淹れることができる
- コクと甘味があり、渋みが少ないのが特徴
- ミルクと混ぜたり、アイスティーにするのもおすすめ
キーマン
- 中国安徽(あんき)省で生産された茶葉を使った種類
- 紅茶にしては薄い色味で、薄めのオレンジ色
- 蘭を思わせるような香りがあり、ブルゴーニュワインに例えられる
茶葉につけた風味による違い
カラメル
- 紅茶葉に、カラメルの甘い香りをつけたもの
- 濃いオレンジ色をしている
- 菓子のような甘い香りがするため、ストレートで飲んでもミルクと混ぜてもおいしい
フランボワーズ
- 紅茶葉に、キイチゴの甘酸っぱい香りをつけたもの
- さわやかな風味で、ストレートのまま飲むか、冷やして飲むのがおすすめ
- お茶は濃いオレンジ色
アールグレイ
- 紅茶葉に、ベルガモットと呼ばれる柑橘系果実の香りをつけたもの
- スーパーなどで、ダージリンなどと一緒に売られている非常に著名なフレーバーティー
アップル
- 紅茶葉に、りんごの香りをつけたもの
- アールグレイと並び、日本でもよく知られているフレーバーティーの一種
- ストレート、または冷やして飲むのが推奨される
複数種の紅茶葉をブレンドし、独自の風味をつけたもの
オレンジペコー
- セイロン産の茶葉を複数ブレンドしたもの
- 明るいオレンジ色、さわやかな香りが特徴
イングリッシュブレックファースト
- イギリスのモーニングティーとして作られたもの
- 朝に飲むことを想定し、眠気を覚ますためにセイロン産の茶葉を渋みが強くなるようブレンドしている
アフタヌーンティー
- 午後の休息時間、おやつと一緒に飲むことを想定したブレンド
- アッサム産の茶葉を使い、まろやかな味わいに仕上げてある
紅茶にはどんな効果が期待できるの?
紅茶に含まれる代表的な栄養成分とその効果を、以下にまとめて見ていきましょう。
テアフラビン
別名「紅茶ポリフェノール」とも呼ばれるこの成分には、以下の健康効果が期待できます。
- 抗酸化作用による体の老化抑制、見た目や身体機能を若々しく保つ
- 食後の血糖値上昇を抑制し、動脈硬化や肥満、生活習慣病を予防する
- 殺菌作用により、インフルエンザなどの感染症を予防する
カテキン
紅茶の苦み、渋みの一因となる成分。テアフラビンと並び高い抗菌作用を持っているため、感染症予防効果が期待できます。飲むだけでなく、うがいをしても効果を発揮しますよ。
カフェイン
茶葉には、同量のコーヒーのおよそ3倍ものカフェインが含まれているとされます。
カフェインは神経の働きや脂肪の代謝に作用するため、以下のような健康効果をもたらしてくれるでしょう。
- 中枢神経を刺激し、覚醒させて眠気を覚ます
- 神経に作用し、リラックスさせて集中力を高める
- 体内での脂肪の代謝を助け、エネルギーとしての消費を促進する
- 心身をリラックスさせ、疲労回復を促進する
テアニン
- アミノ酸の一種であり、紅茶のうま味・甘味の源となる成分
- 心身を落ち着かせ、血圧の上昇を防ぐ作用がある
- ストレスの緩和や精神の安定、生活習慣病予防に効果的とされている
その他
ここまでに紹介した成分に比べると微量ですが、紅茶には以下の働きを持つ成分も含まれています。あわせて確認してくださいね。
- ビタミンB群
- 皮膚や髪の細胞の生まれ変わりを促進し、良い状態に保つ
- カリウム
- 不要な塩分、水分の体外への排出を促し、血圧を下げむくみを解消する
- フッ素
- 歯のエナメル質を強くし、口腔内を清潔に保つ
紅茶の美味しいいれ方と保存するときの注意点は?
おいしい紅茶の淹れ方としては、ポットを使う方法と鍋を使う方法があります。
- ポットを使った紅茶の淹れ方
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- ティーカップ1杯につきティースプーン1杯の茶葉をポットに入れ、沸かしたばかりの水道水を勢いよく流し込み、すぐにフタを閉める
- そのまま平均で3分程度、細かく粉砕された茶葉の場合は2分程度放置してポットの中で茶葉を浮遊させ、お茶抽出する
- 茶葉がポットの底に沈んだら、飲み頃の合図
- 鍋を使った紅茶の淹れ方
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- 水、または牛乳を手鍋に入れて沸騰させ適量の茶葉を入れてフタを閉め、蒸らしてお茶を抽出する方法
- 牛乳を使う場合は、沸騰する寸前にあらかじめ熱湯で蒸らしておいた茶葉を淹れるか、茶葉を蒸らすのではなく煮込んで抽出すると良い
茶葉の状態や好きな飲み方によって、淹れ方も使い分けてみてくださいね。
また、おいしく紅茶を淹れるには茶葉の保管方法にも配慮する必要があります。
茶葉は光、湿気、温度変化、強いニオイに弱いです。日光や部屋の明かりが直接当たらないところに、乾燥材とともに密閉バッグに入れて保管しましょう。
おわりに:きちんと淹れて、もっとおいしく紅茶も健康効果を得よう!
カフェインやポリフェノール、カテキンを豊富に含む紅茶には、高い抗菌・抗酸化作用による疾病予防、老化予防効果が期待できます。これらの栄養成分をよりおいしく、効果的に摂取するポイントは、おいしい紅茶の淹れ方を知ることです。家にある道具や使う茶葉の種類、好みの飲み方に合わせて淹れ方を工夫し、紅茶の栄養をおいしく摂取しましょう。
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