イカを加工して作るスルメやあたりめは、噛めば噛むほど味が出る日本のおつまみ・おやつとして、昔から愛されてきました。今回はスルメ・あたりめの栄養価、健康への効果に着目し、食べるうえでの注意点や両者の違いと合わせ解説していきます。旅先のグルメやお取り寄せを楽しむときの参考にしてください。
そもそもスルメ・あたりめってどんな食べもの?
スルメもあたりめも、同じイカの加工品です。一般的には、イカの胴体を裂いて内臓を取り除き、乾燥させた食品を指します。原料となるイカの種類は、時期や地域により下記のように変わってきます。
- スルメ、あたりめの原料に使われるイカの種類
- スルメイカ、ケンサキイカ、ヤリイカ、コウイカ、シリヤケイカ、アオリイカ、ホタルイカ
スルメやあたりめなどイカの干物は、日本では平安時代から「縁起の良い食べ物」とされ、神事や儀式・儀礼の際の供え物として使われてきました。つまり、両者の違いは呼び方の一点のみ。もともとはイカの干物を総称して「スルメ」と呼んでいたようですが、下記の理由から「あたりめ」の呼称も生まれたと考えられています。
「スルメ」が「あたりめ」とも呼ばれる理由
寿留女(するめ)と当て字されることもあるスルメは、女性の健康長寿・夫婦の末永い円満・金銭的な豊かさを連想させる縁起の良い食べものとされていました。しかし「する」という言葉の響きが、だんだんと「かけ事などでお金をすってしまう」「泥棒にお金をすられてしまう」など悪いイメージと結びつけられるようになったと言います。このことから、縁起の良い・おめでたい呼称にしようと「あたりめ」の呼称が江戸中期に生まれた、と伝えられているのです。
一方でさきいかは、スルメやあたりめとは製法の異なる食品です。さきいかは、生のイカやスルメ・あたりめをあぶり焼きにし、ローラーなどを使って潰して伸ばしたうえで、身を裂いて作られています。このため、さきいかはスルメ・あたりめに比べ、食感が柔らかいのが特徴です。
スルメ・あたりめにはどんな効果が期待できる?
しっかりとした歯ごたえのあるスルメ・あたりめを食べることで、下記のような健康効果が期待できるでしょう。
顎の筋肉・発語力の強化
スルメ・あたりめを食べるには、長い時間しっかりと噛む必要がありますよね。このため、スルメ・あたりめを食べることで口周りの筋肉が強化され、咀嚼力や発語力が上がり、食事や会話がしやすくなると考えられます。
歯の強化と発がんの予防
しっかり噛むことは歯にとって良い刺激となり、歯茎の血流や唾液の分泌を促進します。唾液には虫歯や講習、歯周病の原因となる口内の雑菌を減らす効果が期待できるため、スルメ・あたりめを食べることで、歯を強くすることができるのです。
また、唾液に含まれるペルオキシダーゼという酵素には、発がん抑制作用が確認されています。スルメ・あたりめを食べることで、がんを予防できる可能性が期待できます。
味覚を発達させ、味覚障害を予防する
スルメ・あたりめを噛み、染み出してくるうま味成分を日常的に味わうことで、味覚を強化・発達させることができると考えられています。
胃腸の活性化と肥満の予防
たくさん噛むことによる満腹中枢への刺激、またスルメ・あたりめに腸のなかで膨らむ性質があるため、胃腸の活性化と肥満予防の効果が期待できます。
生活習慣病予防
イカに多く含まれるタウリン、DHA、EPAには、血中の中性脂肪や悪玉コレステロールの量を減らす作用があります。
このため、適量のスルメ・あたりめを継続的に食べると、血圧の低下や全身の血流促進、肝臓の強化、自律神経の調整などによる生活習慣病予防効果が得られるでしょう。
脳の活性化
スルメ・あたりめには、脳の栄養となるビタミンの一種・ナイアシンが含まれています。また、たくさん噛むことで顎・口周りの筋肉が活発に動くと、頭部周辺の血流が良くなり、脳への酸素や栄養の運搬が盛んになります。
このため、スルメ・あたりめを食べることで記憶力や集中力・学習意欲の向上、脳の栄養不足によるイライラや不眠、頭痛など神経症状の改善まで期待できるのです。
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食べすぎには注意!?スルメ・あたりめのデメリットは?
スルメ・あたりめをたくさん食べることにより、体に起こり得る悪影響としては、以下が挙げられます。
- 100gあたり3g程度の塩分が含まれているため、むくみや高血圧が起こる可能性がある
- 消化に時間がかかるため、胃腸に負担がかかって腹痛や不調が起こる可能性がある
- トリメチルアミンオキシドという独特のにおい成分を含み、生臭さを感じさせる
おわりに:スルメ・あたりめは、肥満や生活習慣病予防、脳の活性化に役立つ食品
イカの胴体を開き、内臓を除去して乾燥させたスルメ・あたりめは、しっかりした歯ごたえとうま味が特徴的な食品です。またおいしいだけでなく、その歯ごたえは口周りの筋肉増強や口腔環境の改善する効果があり、含まれる成分には脳を活性化させる作用が期待できます。ただし、食べすぎると塩分の摂りすぎや消化不良の原因にもなりますので、食べることのメリット・デメリットを理解したうえで、適量を摂取してくださいね。
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