北海道の県庁所在地、札幌。都市部や繁華街のイメージも強く、移住先としても人気ですが、登山が楽しめるスポットも近くにあります。
今回は札幌の藻岩山(もいわやま)の観光・登山スポットとしての魅力を、おすすめの登山シーズンや登山コースの概要、服装選びの注意点などと一緒に学んでいきましょう。
藻岩山は標高531m!夜景や展望台もある観光スポット
札幌の市街地にほど近い藻岩山は、頂上からの夜景やプラネタリウム、食事やスキーを楽しめる観光・登山スポットです。
かつて、北海道の原住民として暮らしていたアイヌ民族の聖地であったことから、国の天然記念物に指定されています。
藻岩山の最大の特徴は、標高が低いこと。最高地点でも531mしかないため、麓から徒歩で頂上をめざしてもおよそ1時間15分で行くことができます。
登山道を進めば、道中の原生林でシナノキの大木をはじめ、450種類もの植物を観察しながらの山歩きが楽しめるでしょう。
また、麓から頂上付近までは観光自動車道やロープウェイも設置されているため、これらの乗り物を使えば数分で頂上付近まで行くことも可能です。
登山者向けの設備も充実していて、山頂駅には休憩や着替えができるスペースも用意されています。
行きは登山道を歩いて山歩きを楽しみ、頂上で着替えて帰りのみ乗り物を利用すれば、1日で登山と山頂観光の両方を楽しむこともできますよ。
藻岩山の人気シーズンはいつ?
藻岩山の登山客が増えるシーズンはゴールデンウィーク、秋、そしてクリスマスです。
初夏にあたり新緑が美しいゴールデンウィーク、そして紅葉を楽しめる秋、特に10月中は一般的な登山のハイシーズンとも重なりますね。
一般的なハイシーズンに加え、冬季のクリスマスに藻岩山を訪れる人が増える理由としては、以下2つが考えられます。
- 冬季に藻岩山登山客が増える理由
-
- 藻岩山が、冬季の入山を許可していること
- 札幌市街地に近く新日本三大夜景、日本夜景100選に選出された日本有数の夜景スポットであること
積雪による遭難・雪崩の危険性が高まることから、冬の間の入山を禁止する山は多いです。
そんなか藻岩山は、冬季でも入山・登山することを認めています。
また、ロープウェイ山頂駅上・展望台からのロマンチックな夜景を求めて、クリスマスには多くの人たちが山頂駅をめざし藻岩山を訪れるのです。
徒歩とロープウェイ、いずれの方法でも冬の藻岩山登山には相応の服装・装備を準備して臨む必要があります。ただ冬でも入山できるのは、藻岩山の大きな魅力と言えるでしょう。
5種類の藻岩山登山コースの違いや所要時間って?
藻岩山には、全部で5つの登山道が設定されています。
距離や傾斜、道の整備度合いなどによりさまざまな難易度が異なってきますので、以下からは5つの登山道の概要や特徴をまとめて見ていきましょう。
距離が短く難易度の低いコースなら片道1時間前後、距離が長く難易度の高いコースでも片道1時間30分ほどで藻岩山を登ることができます。
あなたの体力、登山者としてのレベルに合ったコースを選んでくださいね。
慈恵会病院前コース
標高60m地点の藻岩山登山道入り口から、馬の背を経由して山頂をめざすコース。全長はおよそ3㎞で急傾斜の場所もほとんどなく、非常に難易度が低いことで知られます。
体力に不安のある登山初心者の他、子どもやお年寄りを含む家族連れでも、安心して登山を楽しめるでしょう。
旭山記念公園コース
標高130m地点の旭山記念公園を起点とするコースです。公園駐車場までは車で向かい、駐車場すぐの登山口からアップダウンのある登山道を通り山頂をめざします。
全長はおよそ3㎞と短いですが、傾斜が急なところもあるので初心者から中級者へのレベルアップをめざす登山者に最適です。
もいわ山スキー場コース
スキー場の脇を通り、麓から山頂までほぼまっすぐに登っていくコースです。全長はおよそ2.5㎞と短いですが、あまり変化の急勾配の道を進むことになります。
距離は短いですが、最も体力を使うルートだと言われています。ルートの内容を考えると、コース難易度は最も高いと言えるかもしれません。
小林峠コース
5つの中で最も長い、全長およそ4㎞の登山コースです。長い距離を歩く中で、藻岩山に自生するたくさんの植物を見ることができます。
ただし、登山に慣れていない人や体力のない子ども、お年寄りには少々厳しいコースです。最終的に旭山記念公園コースと合流するので、初心者はまず朝日山記念公園コースを踏破してから、小林峠コースの利用を考えましょう。
北野沢コース
標高250m地点の北野沢登山口から、緩やかな傾斜の登山道を上っていきます。
5つの中で最も短いおよそ2.4㎞のコースなので、短い登山距離で山頂の絶景を楽しみたいという人にはおすすめ。
ただし、他の登山道に比べ利用者が少ない傾向があるため、クマとの遭遇や冬季の滑落・遭難リスクは高めと言えます。安全を第一に考えるなら、他の登山道を選びましょう。
ロープウェイと個性派ケーブルカーで絶景を眺めながら藻岩山山頂へ
藻岩山の山頂へは、麓の「もいわ山麓駅」からロープウェイで「中腹駅」まで行き、もーりすカーと呼ばれるミニケーブルカーで乗り換えれば歩かず行くことができます。
- 「もーりすカー」とは
- 平成23年12月、もいわ山観光施設リニューアルとともに開通した2両キャビンの小さなケーブルカー
- 「もーりす」は藻岩山のキャラクターの名称
- ロープウェイの駆動方式を利用し、車体の両端に取り付けられた2本のケーブルで車体を引っ張り上げる
- スイス製で、車体は特徴的な丸いフォルムをしている
ロープウェイとミニケーブルカーを乗り継いだ場合、藻岩山の麓から中腹までの所要時間はおよそ5分、中腹から山頂まではおよそ2分。ロープウェイ、ケーブルカーの各駅近くには駐車場も完備されています。
タイミングよく乗り継ぎができれば車を降りてから10分足らずで、石狩湾と札幌の市街地、藻岩山中の森の絶景を望みつつ楽々と藻岩山登山を楽しめるでしょう。
藻岩山の気温って?服装の注意点はある?
気温は緯度が上がるほど、また標高が高くなるほど低くなります。
このため寒冷地である北海道にあり、かつ高地である藻岩山は、年間を通して低いのが特徴です。参考のため、以下に4月、8月、11月、2月の最高・最低気温をまとめました。
春と夏、冬の藻岩山の最高/最低気温
- 4月
- 8度/-1度
- 8月
- 23度/15度
- 11月
- 5度/-3度
- 2月
- -3度/-11度
上記の通り、藻岩山では4月でも最低気温が氷点下を下回ることがあるのです。
冬はもちろん春~夏にかけても、入山するには平地や温暖な地域の都道府県とは異なる服装・装備が必要であると心得ておきましょう。
以下に、藻岩山に登る時の季節ごとの注意点をまとめましたので、参考にしてください。
春…真冬並みの装備が必要
- 頭にはイヤーマフラー、ニット帽などを着ける
- 防水性、防風性に優れたジャンパー、ダウンジャケット、コートなどを着用
- 下半身はレギンスやタイツ、スパッツなどを履いてから厚手生地のズボンを履く
- 厚手で保温性の高い靴下を履いてからスノーブーツ、または冬山に対応した登山靴を履く
- 防寒性に優れた、ナイロン製の手袋を着ける
夏…夜は冷えるので、秋の服装がベスト
- 熱中症、日焼け対策のための夏用帽子、日焼け止め
- 日焼け後のスキンケアのための化粧水・乳液
- 半袖の上に虫よけと日焼け防止、ケガ防止のための薄手の長袖を羽織る
- くるぶしまで丈のあるジーパンやチノパンなど、長ズボンを履く
- 歩きやすい靴であれば、サンダルや普段履きのスニーカーでもOK
- 夕方や夜まで山中にいるようなら、上着として薄手のコートを
秋…降雪もあるので、真冬並みの服装で
- 頭にはイヤーマフラー、ニット帽などを着ける
- 防水性、防風性に優れたジャンパー、ダウンジャケット、コートなどを着用
- 下半身はレギンスやタイツ、スパッツなどを履いてから厚手生地のズボンを履く
- 厚手で保温性の高い靴下を履いてからスノーブーツ、または冬山に対応した登山靴を履く
- 防寒性に優れた、ナイロン製の手袋を着ける
冬…最高気温でも氷点下なので、しっかり傍観対策を
- 頭にはイヤーマフラー、ニット帽などを着ける
- 防水性、防風性に優れたジャンパー、ダウンジャケット、コートなどを着用
- 下半身はレギンスやタイツ、スパッツなどを履いてから厚手生地のズボンを履く
- 厚手で保温性の高い靴下を履いてからスノーブーツ、または冬山に対応した登山靴を履く
- 防寒性に優れた、ナイロン製の手袋を着ける
- 気温や体質に応じて、カイロや防水性・保温性の高いレインコートなどを持参し、さらに着込めるようにしておくと良い
北海道の高地にあたる藻岩山の気温は、各季節の全国的な平均気温よりもかなり低いです。
いずれの季節であっても、藻岩山に登るときは事前に天候と最高・最低気温を確認し、十分に寒さ対策をしてから入山してくださいね。
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おわりに:登山でも観光でも、藻岩山に入るときは服装チェックを忘れないで!
藻岩山は、札幌の市街地から近い標高531mの低山です。5つの登山コースが設定されていますが、いずれのコースを使っても頂上までの所要時間は2時間以内。登山初心者でも、体力的に不安のある家族連れでも、徒歩での登山に挑戦しやすい山として知られます。また山頂までの乗り物も整備されているため、歩かず山頂のレストランやプラネタリウム、夜景を楽しむことも可能。しっかりと冷え対策をして、藻岩山の観光・登山を楽しみましょう。
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