東京都内から日帰りで行ける登山スポットひとつに、神奈川県の大山があります。
今回は大山の魅力と楽しみ方を、バスやケーブルカーを使わず登山した場合と使った場合に分けて、それぞれ解説していきます。
神奈川の人気登山スポット「大山」は歴史好きにもおすすめ
大山(おおやま)は、神奈川県伊勢原市の丹沢大山国定公園内にある人気の登山スポット。
最寄り駅は小田急小田原線「伊勢原駅」で、新宿から電車・バスを乗り継げばおよそ1時間で行くことができます。
- 大山の概要
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- 標高1,252m、最大標高差は948m
- 登山にかかる時間目安は往復でおよそ3時間35分
- 登山コースの距離は往復でおよそ6㎞
東京都心から近く日帰りで行けること、また比較的短く時間のかからない登山コースが設定されていることから、初心者にも人気の登山スポットになっています。
ピラミッドのような美しいシルエットの大山の別名は「雨降山(あふりやま)」または「阿夫利山(あふりやま)」。
こう呼ばれるようになったのは、相模湾からたっぷりと水蒸気を含んだ風が吹きあがってくる関係で、大山が昔から雨に見舞われやすい山であったため。
また霊山としても有名で、縄文時代からこの周辺に暮らす人々の信仰を集めてきました。
江戸時代には関東一円から水を司る神、そして航行守護の神として親しまれ、自社参拝の名目で行楽に訪れる人もたくさんいたと言います。
江戸時代には、寺社参拝をして徳を積むと同時に観光旅行をするのが流行しました。
江戸から近く、歩いて2~3日で行くことのできた大山へ「大山詣り(おおやままいり)」として参拝する人も増え、年間20万人が訪れたという記録ものこっているほど。
「大山詣り」は古典落語にもなっており、2016年4月には文化庁より日本遺産にも認定。
この長い歴史から、大山がいかに信仰の対象、そして身近な行楽地として関東一円の人々に親しまれてきたかがわかりますね。
大山は山頂からの眺めや日本文化体験を楽しめる!
登山スポット、観光地としての大山のおすすめポイントは以下の通りです。
春夏秋冬、美しい景色とイベントを楽しめる
花、新緑、紅葉、雪景色と、季節によって移ろう大山の景色は登る者を癒してくれます。
また、ライトアップイベントやジャズコンサート、近代芸術の展示、阿夫利神社で行われている能などの催し者も、年間を通して大山を訪れる者を楽しませてくれますよ。
かながわ景勝50に数えられる、山頂からの絶景を楽しめる
「関八州(かんはっしゅう)の展望台」とも呼ばれる大山は、山頂から素晴らしい眺めを見られるポイントとして知られてきました。
関八州とは、江戸時代の関東8か国の総称。つまり、関東一円を見渡せる展望台のように、眺望の良い山という意味です。
現在でも晴れた日には、山頂から相模兵や、江ノ島、三浦半島、房総半島、東京都心のビル群、反対方面には富士山や箱根連山、秩父多摩の山並みまで見渡せます。
江戸時代や昭和初期の頃の、日本の風情を楽しめる
大山には現在も、江戸時代や昭和初期の趣をのこした宿坊街や参道がのこっています。
また、きれいな湧き水を活かして作られるこんにゃくや豆腐料理、キャラブキ、地酒を楽しめる飲食店、ろくろを使って木工品を作る木地師の文化も楽しむことができます。
大山の登山道とこの近辺だけで、美しい山の景色と山頂での眺望、そして昔懐かしい日本文化をコンパクトに楽しめるのが、観光地としての大山の魅力と言えるでしょう。
大山ケーブル駅からの登山ルートは初心者にぴったり
登山初心者におすすめなのが、ケーブルカーを使った登山ルート。以下の手順でバスとケーブルカーを乗り継ぎ、中腹から山頂までの往復を楽しみます。
初心者向け:ケーブルカーを使った大山登山ルート
- まずはバスで「大山ケーブル駅」のバス停へ
- 参道を15分ほど歩き、ケーブルカーに乗るため「大山ケーブルカー駅」へ
- 20分間隔で運行しているケーブルカーに乗り、終点の「阿夫利神社駅」へ
- 参道を通り、階段を下って阿夫利神社を参拝。登山の安全を祈願する
- 阿夫利神社左側の看板に従い、鳥居をくぐり、頂上へ向けた登山道へ入る
- 階段を経て樹林帯に入り、樹齢500~600年の夫婦杉へ
- 十六丁目、富士見台、二十五丁目を通って、二十六丁目にあたる大山山頂へ
- 頂上の売店で購入した飲食物、またはランチで休息をとったら下山スタート
- 見晴らし台を通る方のルートで、ゆっくり下山する
茶屋や休憩できるベンチ、景色を堪能できるスポットがたくさんあり、かつ登山らしい斜面や鎖場も楽しめますよ。
ケーブルカーを使わないで大山登山!男坂と女坂の違いって?
バスで「大山ケーブル駅」まで行った後、徒歩で山頂をめざすルートもあります。
ケーブルカーを使わず徒歩で山頂をめざす場合は、バス停に着いた時点で男坂か女坂、どちらかのルートを選択し登っていかなければなりません。
- 男坂ルート
- 急な上り坂と階段が続き、大山寺を通らず山頂へ向かう。静かで人が少ない
- 女坂ルート
- 緩やかな坂を上り、大山寺を通って山頂をめざす。男坂に比べ登山客が多いが、途中「女坂の七不思議」と呼ばれるミステリースポットを楽しめる
がんがん登って登山している高揚感を味わうか、七不思議を巡りながらゆったりと登山を楽しむか。
あなたの好みと体力に合わせて、男坂と女坂、どちらかのルートを選択してくださいね。
バスやロマンスカーに乗って都心から気軽に大山へ
近年では小田急線が運営する「伊勢原駅」へのロマンスカー、そして伊勢原駅からケーブルカー駅、ケーブルカーの切符までついたチケットが販売されています。
このような東京都心から大山を楽しみに行くためのチケットプランには、指定区間の乗り降りが自由になったり、食事やおみやげをお得に購入できる特典もあります。
気軽に、便利に東京都心から大山へ日帰り登山できる環境がますます整っていますので、ぜひ活用しましょう。
おわりに:公共交通をうまく使い、体力に合わせて大山登山を楽しもう!
古くから信仰の対象として、行楽地として関東一円の人々に愛されてきた神奈川県伊勢原市の大山は、現在でもパワースポットとして知られています。山の中腹にある阿夫利神社まではケーブルカーが運行しているので、うまく使えば、まだ体力のない登山初心者でも雄大な大山の自然と山頂の眺望を楽しむことができるでしょう。公共交通やお得なプランをうまく使い、さまざまな方法で大山を楽しんでくださいね。
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