登山や散歩で森林の中を歩いたとき、木を原料としたアロマオイルなどを使った際に香りを通して得られる効果を、フィトンチッド効果と言います。
今回はフィトンチッド効果について、木の香りがどのような成分からできているのか、なぜ体に良い影響を与えてくれるのかを理解していきましょう。
「木の香り」ってどんな成分なの?
木は、その体を構成する主成分と、生きていくうえで必要な生理作用にかかわる副成分から成り立っています。
このうち、木の皮や葉から漂う独特な「森林の香り」「木の香り」を主に作り出しているのは、副成分のテルペン類です。
テルペン類は、イソプレンという炭化水素がいくつか結合してできた化合物のこと。
水または油脂に溶け、揮発性が高いという性質を持っているため、水蒸気で熱する水蒸気蒸留または有機溶媒によって溶かし、抽出することが可能です。
木に含まれるテルペン類のうち、イソプレンが2つ結合したモノテルペン、3つ結合したセスキテルペンは特に揮発性が高いことで知られます。
このため、空気中に漂って森の香りを作り出したり、エッセンシャルオイルとして抽出されアロマテラピーに使われることも多いです。
ただし、樹木に含まれるテルペン類の量や抽出できる量は、樹木の種類や季節によっても変わってきます。
フィトンチッドってなに?どうして森林浴が体にいいの?
木の幹や葉から発せられる香りは、テルペン類の揮発性物質「フィトンチッド」が放出されることによって生じています。
フィトンチッドは、もともとロシア語で「フィトン=植物」「チッド=他の生物を殺す」という意味の言葉が語源となった成分名です。
温かく、木々の緑色が濃くなる6~8月にかけて、放出量が増えることがわかっています。
植物は自らを外敵から守るため、また成長を促すためにフィトンチッドを放出しますが、私たちの心身にも以下のような良い作用をもたらしてくれます。
- フィトンチッドが人間、周囲にもたらす効果
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- 虫よけ、消臭、有害な一部細菌の殺菌
- 高血圧の抑制、神経の昂り・緊張の緩和
- 心身をリラックスさせ、自律神経を安定させる
- 大脳皮質を活性化し、調整力を高める
- 皮膚疾患、呼吸器系疾患の改善
- アレルギー性疾患の予防や回復 など
森林に分け入り、その場の香りや空気を楽しむ森林浴とは、大気中に漂うテルペン類・フィトンチッドを浴びることを指します。
そして、私たちが森林浴で感じる癒しや健康効果は、このフィトンチッドの効果・効能によるものなのです。
おわりに:フィトンチッドにより、心身のリラックスや癒し効果が得られる
樹木に含まれる副成分のうち、テルペン類と呼ばれる化合物が揮発し待機中に放出されると、フィトンチッドという成分となります。6~8月にかけて放出量の増えるフィトンチッドは、植物の成長を促し害虫から守るとともに、私たち人間の心身にもメリットをもたらしてくれます。緊張をほぐしてリラックスさせ、疾患の改善・予防作用も期待できるので、フィトンチッド効果を得たければ森林浴に出かけてみましょう。
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