緑豊かな森林の中をゆったりと散策する森林浴。リラックス作用があると昔からいわれており、それを体感したことのある人も多いかと思いますが、森林浴ではどのような健康効果が期待できるのでしょうか？理由もあわせて、わかりやすくお伝えしていきます。
森林浴の効果って？
実は日本は、全国でも有数の森林国。国土の約70％程度を森林が占めており、森林でのレクリエーションを楽しみながら、心身の健康づくりに役立てる方法として、1982年に林野庁（農林水産省の外局）が「森林浴」という言葉を初めて発表したそうです。
森林浴は近年欧米でも注目され、「Shinrin-yoku」として健康増進への活用の取り組みが進んでいます。森林によるリラックス効果は古くから語り継がれてきたものですが、科学的にもさまざまな健康効果が実証されています。
「マイナスイオン」でストレス減少＆リラックス効果
森林エリアと都市部でのストレス値を比較した研究によると、森林ではストレス時に高まる交感神経の活動が抑制され、「コルチゾール」というストレスホルモンの濃度が低下したことがわかりました。
また、森林浴によって緊張感や疲労感が緩和され、血圧や脈拍数が低下するなど、心身ともにリラックスした状態になることも確認されたそうです。
このリラックス効果の主な理由として考えられるのが、「マイナスイオン」。大気中に存在する負の電荷を帯びた分子の集合体で、森の中に多く存在するといわれています。そしてマイナスイオンは、副交感神経に作用し、体をリラックスさせ、細胞を活性化→疲労を回復させる効果があると考えられています。
また、森林浴中に聞こえる音も、リラックス効果の理由の一つ。風の音、鳥のさえずり、川のせせらぎなどが耳を通じて脳に伝わると、心が自然と休まるともいわれています。
日々仕事のストレスや疲れが溜まっている方、気分が晴れない方などは、定期的に森林浴に行くことでリフレッシュできるかもしれません。
免疫力UP
2日間の森林浴によって、がん細胞を攻撃する「ナチュラルキラー細胞」（NK細胞）が活性化したという報告もあります。このNK細胞には体の免疫力を高める効果があり、活性化によってがんの予防も期待できるといわれています。
「森林浴でがんなどの病気が治る」というのは誤解ですが、森林浴を続けることでストレスが軽減され、免疫力が回復することで、病気への抵抗力の強い体をつくる助けにはなるかもしれません。長時間散策しなくても、森の中で座って景色を眺めるだけでも、心身に良い効果が得られるとされています。
「フィトンチッド」によるアロマテラピー効果
フィトンチッドとは、森林の樹木が自らを外敵から守るために発する香りの物質で、いわば「森林（木）の香り」のもとです。
揮発性が高く、抗菌や消臭、防虫効果などがあるとされていますが、私たち人間が特に体感するのがアロマテラピー効果です。フィトンチッドの香りを嗅ぐことで、心身がリラックスして血圧が下がり、自律神経が整ったり、疲労が回復したりなど、人体の免疫系にも良い作用を与えるのではないかと考えられています。森の中を散歩するうちに、なんだか心が落ち着いてくるのは、この森林の香りに癒されているからでしょう。
眼精疲労の緩和
森林の色の大半を占めるのが「緑色」。この色にはリラックス効果があるとされ、木々を見つめるうちに目の疲れが休まる作用も期待できます。普段長時間のPC作業をしている方や、スマホを見る時間が長い方は、森林浴でこの効果を体感しやすいかもしれません。
森林浴のやり方にはコツが！？
上記でご紹介したような効果を十分に体感するには、森林浴の頻度や場所選びもポイントになるそうです。
まず森林浴の頻度としては、週に1回程度行うのがオススメ。森林浴の効果持続期間の調査によれば、NK細胞の活性状態は、森林浴を行った1週間後まで持続することがわかっているからです。
時間帯としては午前中や夕方前など、適度に日差しがありつつも、暑さや寒さを感じない頃が適しているでしょう。
また森林浴をする場所ですが、都心部で見られるような小さく狭い公園は、騒音や排気ガスといったストレス源が近いため、好ましくありません。小一時間程度散策できる広さの森林や公園が望ましいです。都内にお住まいの方は、週末にちょっと足を伸ばして、木漏れ日が差し込むような森林公園まで行ってみるといいかもしれません。
おわりに：定期的な森林浴で身も心もリフレッシュ！
マイナスイオンに溢れた森の中、ゆったりと散策しながら木々の香りを嗅いだり、静かに座って景色を眺めたりすると、心身のストレスや疲労が引いていき、自然と活力が湧いてくる実感が得られることでしょう。森林浴はリフレッシュしたい方にぴったりのアクティビティなので、週末などのお出かけ先の候補にぜひ入れてみてください。
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