1960年代から90年代にかけて、日本ではスキーが一大ブームとなっていました。近年、そのスキーが健康に役立つスポーツとして改めて注目を集めています。
今回はスキーに期待できる健康へのメリットについて、初心者が身につけておくべき基本的な技術や練習方法と一緒に見ていきましょう。
スキーをすることで得られるメリットって?
スキーを通して得られる心身へのメリットとしては、以下4つが挙げられるでしょう。
下半身を中心に、全身の筋肉を左右対称に鍛えられる
バランスを取りながら、板に乗って雪上を滑走するスキーを楽しむには、足・下半身を中心に全身の筋肉に使う必要があります。
左右どちらの足にも体重をかけるので、球技など他のスポーツのように体の片側に負荷が集中することがありません。
このためスキーは、負荷の偏りによる体の不調や痛みが起こりにくく、かつ全身を左右対称にバランスよく鍛えられるスポーツと言えます。
適度な負荷で、楽しみながら長時間続けられる
スキーに取り組むとき、雪上を滑走する時間は長くありません。1回あたり短いと数十秒、長くても数分程度でしょう。
滑走する以外の時間は、スキー板を担いで歩いたり、リフトに乗るなどして移動します。
筋肉に適度な負荷をかけて雪上を滑る時間と、リフトなどに乗って体を休める時間。
これを数分単位で繰り返すため、疲労を感じにくく、長時間でも楽しみながら続けられるのです。
転地効果で脳が活発化し、精神状態が安定する
日常とは異なる環境に身を置いたことで、その場所の景色や匂い、温度や湿度などの刺激から心身の調子が整ってくることを「転地効果」と言います。
雪山の美しい景色を見て、太陽の光を浴びると幸福感をもたらすホルモン・セロトニンの分泌が促進され、日ごろのストレスや不安・緊張が緩和されます。
精神的にリラックスできれば、私たちの生命活動を司る自律神経の働きも正常化します。
スキーには運動による体への健康効果だけでなく、転地効果を通した精神の安定や脳の活性化も期待できるのです。
適度に肉体を疲労させるため、睡眠障害改善につながる
転倒や事故のないよう注意しつつ、左右対称に体に負荷をかけるスキーをした後には、肉体に心地よい疲労感を感じられるでしょう。
適度な肉体疲労は、良質な睡眠をもたらしてくれます。スキーはなかなか寝付けない、眠りが浅い、眠れないなどの睡眠障害も改善してくれるでしょう。
初心者が最初にやっておくべき練習は?
スキー初心者がまず身につけるべきは、ケガをしない転び方と起き上がり方です。板をつけた状態のまま、安全に転んだり起き上がったりするにはコツがあります。
転ぶときは、お尻から転ぶようにしてください。ただし、体を大きく捻るなどして体勢を変えるのは大けがのもと。基本的には流れに沿って、斜め後ろ側に転ぶよう意識しましょう。
起き上がる時は、まず板を斜面に対して横向きに揃えます。そして板に自分の体を近づけ、屈んだ姿勢で起き上がります。その後、ストックを支えにして立ち上がればOKです。
この「板を斜面に対して横向きにする」方法は、斜面を歩くときにも使えます。斜面に対し板を並行にし、そのまま少しずつ横歩きすれば、板を履いたままでも斜面を登れますよ。
また実際に滑る前には、板の扱いに慣れるためにも歩く練習から始めてください。
ストックは自分の体の真横に刺し、体を少し前に倒すようにすると、歩くときも滑るときもうまく進めます。
なお人によっては、滑走のスター地点まで登るためのリフト乗車に苦労することも。
動き続けるリフトに乗るには、こちらがタイミングを合わせ着席する必要があります。基本的には係員の指示に従い、乗車地点で待っていれば、問題なく乗れるはずです。
あまり心配せず、怖がらず係員の指示に従いましょう。
ちなみに、リフトに乗る時はストックからストラップを外し、2本まとめて片方の手で持つのがマナーとされます。合わせて覚えておいてくださいね。
おわりに:スキーは全身をバランスよく鍛えられ、リラックスや癒し効果も期待できるスポーツ
雪山を滑走するスキーは、筋肉を左右対称に鍛えられるためケガ、スポーツによる使い傷めが起こりにくいスポーツです。また美しい景色や、普段の生活では感じられない澄んだ冷たい空気、すがすがしい感覚を味わえるため精神の安定や脳の活性化などの効果も期待できます。基本的な板の扱い方、歩き方、転び方、起き上がり方をマスターしたうえで、安全に楽しくスキーによる健康効果を得てくださいね。
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