「スローフード」という言葉を、聞いたことはありますか。簡単に言うと、私たちの生活に深く根付いてきた食をいま一度見直し、日々の食事を重視しようという考え方です。
今回はスローフードという言葉の意味や目的、活動によるメリットなどを解説します。
そもそも、スローフードって?
近年、野菜や肉、卵、魚などの生産は特定の地域や国に任され、手軽なインスタント食品や冷凍食品、ファストフードの流通で世界的に食の画一化が進んでいます。
また、食材が私たちの口に入るまでの食べ物の経路や調理の過程も、昔に比べて非常に見えにくくなってきましたよね。
この状況に危機感を持ち、一人ひとりが自分達の食にまつわる歴史や文化を見直し、より良い食生活のために活動していこうという考え方が「スローフード」です。
スローフードの活動は1986年、イタリアで起こった小さな住民運動から始まりました。
日本では2001年、NPO法人 日本スローフード協会の立ち上げに伴い、この考え方・活動が本格的に持ち込まれています。
- スローフードのスローガン
- おいしい(good)、きれい(clean)、ただしい(fair)
子どもへの食育や、食事の伝統・知識を伝えることの重要性などを説き、世界中で草の根活動を続けているのです。
スローフードの目的って?
スローフード活動の目的は、伝統的な食材・食事の方法を守るとともに、人々が「おいしい、きれい、ただしい」のスローガンに即した食生活を実践するようになることです。
目的達成のため、世界各国のスローフード協会は以下3つのミッションを掲げ活動を続けています。
- 生物多様性の保護
- 伝統野菜が消滅することのないよう、栽培されなくなってしまった伝統的な野菜や果物、穀物、動物、食品を守る
- 食教育
- 消費者が「きれい、おいしい、ただしい」を満たす食を選択していけるよう、食べ物の産地や製法の知識、深刻な職問題に対する知名度を向上させる
- 生産者と消費者を結ぶ
- 食品をつくる生産者と、購入し食べる消費者に知り合い機会を提供し、食材や食事をより身近な大切なものとして認識してもらう
スローフード活動の具体的なメリットって?
目的達成のため、具体的に行われているスローフードの活動は、以下の通りです。
伝統的な食材、質の良い食品、酒、料理を守る活動
伝統的な郷土料理には、その土地で生産されてきた食品やお酒、調味料が使われています。
スローフード協会では評議会を作成し、地域に伝わってきた食品や酒、調味料を守る活動を行っています。
質の良い、小規模の生産者を守る
小規模な生産者は、質の良い食品を作っていてもなかなか採算がとれず、常に倒産のリスクをはらんだ状態で運営されています。
そんな小規模な生産者が作る質の良い食品を見つけ、購入し、その良さを各方面に広げるのもスローフード活動の一環です。
消費者への味の教育
子どもだけでなく、大人にも食育は必要です。食に対する意識や知識のレベルは、経済状態に大きく左右されます。
例えばイタリアでは、お金のない若者に破格の安さで一流レストランの食事をとる機会を与えるなどの活動を行っています。
このようなスローフード活動に取り組むことで、私たちが得られる具体的なメリットとしては、以下が挙げられます。
- スローフード活動によるメリットの例
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- 食材への知識が高まれば、食事の内容を考えたり、味わう癖がつく
- ドカ食いや早食いをいなくなり、自分も家族も健康的で太りにくい食事に変わってくる
おわりに:スローフードに取り組めば、食事の内容やとり方が変わってくる
インスタント食品や冷凍食品の普及や、食べ物が口に入るまでの経路が見えにくい状況に警鐘を鳴らし、世界中で草の根的に行われている活動がスローフード活動です。具体的には「おいしい、きれい、ただしい」をスローガンに、各地域の伝統に重きを置いた質の高い食事の復活を目的に活動しています。
スローフード活動を知って実践すれば、食品の選び方や食事のとり方が変わってきますので、興味のある人は実践してみてくださいね。
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