アジア圏で広く使われ、和食の味の決め手として欠かせない調味料であるしょう油。最近はご当地のしょう油が注目を浴びていますので、いろいろ試している人もいるのではないでしょうか。
今回は、健康作りにも役立つとして見直されているしょう油の種類やおいしさ、健康への効果・効能などを改めて理解していきましょう。旅のグルメやお土産選び、贈り物やお取り寄せの際に役立ててくださいね。
しょう油ってどんな調味料なの?
しょう油は大豆、小麦、塩、水を原料とする調味料です。蒸した大豆と炒った小麦に、麹と塩水を加えて6か月以上発酵・熟成させて作ります。
発酵・熟成が終わったら、発酵を終えた大豆・小麦から成るもろみを絞り、液体だけを抽出します。この液体を発酵停止と殺菌のために加熱すれば、しょう油の完成です。
しょう油の独特なうま味と香りを作り出しているのは、主原料である大豆としょう油、そして発酵・熟成を行う麹酵素や乳酸菌。
発酵の過程で大豆に含まれるタンパク質はアミノ酸に、またでんぷんはブドウ糖へと変換されて、醤油のうま味と香りの源となっているのです。
なお、しょう油はJAS(日本農林規格)によって味や香り、塩分濃度、色などの違いをもとに以下5種類に分類されています。
濃い口しょう油
特に関東で親しまれてきた、香りと味の強いしょう油。現代では最も一般的なしょう油であり、全体の生産量の8割以上を占める。色・味・香りのバランスに優れ、使いやすい。
薄口しょう油
特に関西地方で親しまれてきたしょう油。濃い口しょう油に比べ色が薄いのが特徴だが、塩分濃度は濃い口よりも高い18~19%である。素材の色をのこしたまま調味できるのが利点。
溜まりしょう油
中国地方、九州地方で好まれる色の濃いしょう油。他のしょう油よりも原料に占める大豆の割合が高く、濃厚なコクと独特な香りがある。
刺身用、または料理に赤みがかったきれいな色味や照り、コクを出したい場合にも使われる。
再仕込みしょう油
通常は1回のところを、2度醸造するような製法で作られるしょう油。色、味、香りのどれも濃厚で、甘味が強いのが特徴。甘露しょう油や刺身しょう油と呼ばれることも。
白しょう油
薄口しょう油よりもさらに薄い色味のしょう油。原料に占める割合のほとんどが小麦で、大豆があまり使われておらず糖分濃度が高いのが特徴。
茶碗蒸しやお吸い物など、あまり色味を変えたくない料理に好んで使われる。
しょう油が持つ「美味しさへの効果」って?
しょう油は、以下のような効果で食材や料理の美味しさをアップさせてくれます。
殺菌・消臭
しょう油に含まれるアミノ酸の一種・メチオノールには臭み消しの作用があり、塩分やアルコール、有機酸などには殺菌・静菌効果があることがわかっています。
このため、しょう油には食材の嫌な臭いを軽減してうま味を引き立たせたり、調理した食材の日持ちを良くする効果が期待できます。
照りとうまみを加える
しょう油に含まれる糖分の一種は、加熱するとアミノカルボニル反応を起こし、独特な香ばしい香りと褐色の照りを作り出します。
またしょう油は、以下の理由から食材のうまみを増したり、私たち人間がおいしく食べられるよう調整する働きがあるとも解明されているのです。
- しょう油のうま味成分であるグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などのアミノ酸は、食材や出汁に含まれるうまみ成分と合わさると互いに強め合う
- 弱酸性の調味料であり、かけるだけで酸性・アルカリ性の食べ物のどちらも人間がおいしいと感じやすいpH4~5の弱酸性に近づける
異なる味を際立てる、または抑える
しょう油に含まれる塩分には甘味を引き立て、乳酸や酢酸などの有機酸類には塩味を緩和する作用があるため、料理の隠し味としてもしょう油は活躍します。
甘いあんこやお汁粉、煮豆などに少し加える場合は対比効果で、長く塩に漬け込み過ぎた野菜や魚に少しかける場合は抑制効果で、料理をより美味しいものにしてくれるでしょう。
しょう油が持つ「健康に役立つ」理由って?
一方で、しょう油に含まれる成分のうち健康に役立つものとその効果をまとめると、以下の通りになります。
- 高血圧や糖尿病など、生活習慣病予防・改善に効果的な成分
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- 血圧を下げるアミノ酸「ニコチアナミン」「タウリン」「ペプチド」「アンジオテンシン変換酵素」「ヒスタミン吸収促進物質」
- 食後の血糖値を下げる「メラノイジン」、食べすぎを抑制する香り成分「バニリン」、脂肪や細胞の代謝を促す「ビタミンB2」「亜鉛」
- 塩分の排出を促進したり、むくみの予防・改善に効果的な成分
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- 体に取り込んだ塩分を、体外へ適切に排出するのを助ける「カリウム」「マグネシウム」
- 利尿作用が高く、脳や神経の症状も改善するうまみ成分「グルタミン酸」
- 免疫力アップや、病気の発症予防・改善に効果的な成分
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- 殺菌効果の高い「乳酸」「アミノ酸全般」「塩分」「アルコール」
- スタミナをつけ動脈硬化を防ぐ「アスパラギン酸」、筋力効果に役立つ「アルギニン」、肝臓を強化する「リジン」
- 記憶力や集中力を高める「チロシン」、うつ病や不眠症を防ぐ「トリプトファイン」
- 細胞の酸化を防ぎ、劣化やがん化を予防する「フラノン」「メラノイジン」
- アレルギー症状を予防し、抑える「ペクチン」
おわりに:しょう油は料理を美味しくするだけでなく、健康作りにも役立つ調味料
発酵食品であるしょう油には、ただの大豆や塩には含まれない栄養成分や味わいが詰まっています。その独特な香りや味わいは料理にうま味、深みや照りを与えますが、その源である栄養成分は、私たちの心身の健康作りにも役立ってくれるのです。毎日の食事から健康効果を得たいなら、しょう油を使った和食を積極的に食べると良いでしょう。
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