健康効果やダイエット効果が期待できるとされるランニング。しかし一方で、「筋肉が落ちる」「かえって体重が増える」などのうわさも聞こえてきます。
今回はランニングによる体、筋肉への影響を解説。ランニングで筋肉にどんな変化が起こり得るのか、筋肉量や体重が変わる原因になるのかを理解していきましょう。
ランニングすると筋肉が落ちるって本当?
ダンベルなどを使って特定の筋肉に自重以上の負荷をかけて行う筋トレとは異なり、ランニングは基本的には自身の体重のみを負荷とし、全身を動かして行う運動です。
正しいフォームで行えば、下半身だけでなく体幹、腕、おなか、背中、肩甲骨周りの筋肉までバランスよく鍛えられますが、かかる負荷は自分の体重分のみ。
ランニングは、そもそも筋肉を大きく・重くするのに適した運動ではないのです。
またランニング中には、体内にエネルギーが足りなくなったときに、筋肉内のタンパク質が分解される「糖新生(とうしんせい)」という現象が起こる可能性もあります。
糖新生とは
ランニングなど有酸素運動中には、まず食事から摂った血中の糖分、次に体に蓄積されていた体脂肪や内臓脂肪を運動エネルギーとして消費します。
血糖や体脂肪や内臓脂肪では補えなくなってしまった運動エネルギーを確保するために、筋肉内のタンパク質を分解し、運動エネルギーとして使用することを糖新生と言います。
ランニングをする人のなかには、ダイエット目的の人も少なくないでしょう。
ダイエットで食事制限をしていると、エネルギー摂取量が通常より少なくなり糖新生が起こりやすい状態になっているのです。
運動エネルギーが足りない状態が続き、過度に糖新生が進んだ人の体からは、筋肉量が減少していきます。
「ランニングで筋肉が落ちる」と言われているのは、このためです。
ランニングを始めたら体重が増えることがあるの?
次に「ランニングすると体重が増える」という説について、見ていきましょう。
普段からほとんど運動をしない人、加齢などで筋肉量が落ちている人がランニングを始めると、まず年齢と運動量に応じた適正量まで筋肉量が増えていきます。
筋肉は、脂肪に比べて密度が高く重い組織です。ランニングによって脂肪減り、その代わりに筋肉が増えてくると、一時的に体重が増加することがあるのです。
ランニングで体重が増えると言われるのは、この体の変化によるもの。
しかし同じ体重でも、体脂肪率の高い人は太って見え、筋肉量の多い人は引き締まってスリムに見えます。
適切な方法できちんとランニングをしているのであれば、体重が増えたということは筋肉がついてきたということ。
運動に十分な筋肉がついた後には、体重の増加が止まり筋肉量に伴って増えた基礎代謝量のために、痩せやすい体になっていくでしょう。
ダイエット中に注目すべき数値は、体重だけではありません。ダイエット目的でランニングをするときは、体重の増減よりも体脂肪と筋肉の割合に注目しましょう。
筋肉量を増加させ、体脂肪率をいかに減少させるかに着目しつつ、体重の増減を追っていきましょう。
ランニングで痩せるのは体のどこ?痩せる順番はあるの?
先述したように、ランニングは下半身をはじめおなか、背中、肩や腕、肩甲骨周辺まで全身をバランス良く動かせる有酸素運動です。
全身を少しずつ引き締める効果は期待できますが、筋トレのように特定の部位だけを部分痩せさせるのはむずかしいでしょう。
ただ、ランニング中に痩せやすい部位はあります。
基本的には内臓から離れた部位から脂肪が減っていくため、ランニングを続けていれば、以下の順に痩せた実感を得られるようになりますよ。
ランニングで痩せやすい部位
- 痩せやすい部位
- 手足・ふくらはぎ・太もも・二の腕
- 痩せにくい部位
- お尻・おなか・顔の周辺
筋肉量を減らさずに体脂肪を減らす走り方
ここまでで、ランニングは脂肪を燃焼させて全身に少しずつ筋肉をつけることで、ダイエット効果を得られる有酸素運動だとわかりましたね。
筋肉が大きくなりにくく、遅筋(ちきん)と呼ばれるしなやかな筋肉をつけられる運動でもあるので、細く引き締まった体を手に入れたい人にはおすすめの運動方法です。
とは言え、既にある筋肉をランニングが原因で落としたくはないもの。
そこで以下からは、筋肉量を落とさずにランニングを続け、より早くめざす体形に近づくためのポイントを紹介していきます。
- 筋肉を落とさず、ランニングを続けるポイント
-
- 食事から十分に糖とタンパク質を摂り、糖新生が起こらないようにする
- 走る30分前に必須アミノ酸である「BCAA」のサプリなどを摂取し、筋肉が分解されるのを防ぐ
- 筋トレとランニングを併用し、筋肉を育てながらランニングで脂肪を消費する
- ランニングの合間に、筋トレの効果を高める作用のあるウォーキングやスロージョギングを取り入れる
痩せるためには睡眠と食事で筋肉や体力を回復させよう!
ランニングでバランス良く全身を鍛え、体脂肪を減らし筋肉量を増やしていくには、筋肉の増強に役立つ食事に変えていくことも大切です。
ダイエット目的でランニングを続けるなら、以下を参考に食事の内容やタイミングを工夫し、より効率よく運動効果を得られるようにしましょう。
- ランニング効果を高める食事の内容・方法
-
- 糖質はうどんやパン、白米ではなく、できるだけ蕎麦や玄米で摂る
- 糖質の摂取タイミングは運動の1時間前までにし、普段の主食はタンパク質にする
- タンパク質は肉類と魚類に加え、大豆食品や乳製品などからもバランスよく摂る
- タンパク質と一緒に良質の脂を摂取できるよう、魚介類を積極的に食べる
おわりに:原因を知って対策すれば、ランニングの運動効果で効率よく痩せられる!
筋肉を部分的に肥大化させる運動でないランニングは、食事から十分にエネルギーを摂ったうえでやらないと、筋肉量を減らす原因となります。また、普段ほとんど運動をしない人が始めた場合には、体脂肪率が減り筋肉量が増えることで、その効果が体重増加というかたちで現れることがあります。
しかし、これらは正しく対策を取るか、継続的にランニングをすることで解消できる問題です。本記事を参考に、効率よくランニングしましょう。
コメント