アワビは、貝類のなかでも最高級品として知られるごちそうです。生で食べても、炭焼きや煮つけにしてもおいしくいただけるアワビも、養殖されていることをご存知でしょうか。
今回は特徴や価格帯、養殖が進められている理由や天然ものの違い、日本各地のブランドアワビのことまで、養殖アワビの魅力を理解していきましょう。
アワビはおいしくて栄養価も高い!
アワビは、平べったい殻の中に納まっていますが、サザエなどに近い巻貝の仲間です。日本近海にも広く生息する貝類で、刺身や煮物、酒蒸し、焼き物、出汁を利かせたお粥のメイン食材などとして幅広く使われ、以下の種類が食用として流通ています。
食用とアワビの種類
- クロアワビ
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- 「貝の王様」と呼ばれている
- アワビのなかでも最高級品
- コリコリとした食感を楽しめるため、生食向き
<liL秋~冬にかけて産卵期を迎えるため、その前の6~9月が旬
- エゾアワビ
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- その名の通り、日本では東北より北の北海道周辺で獲れる
- 夏~秋にかけて産卵期を迎えるため、冬の11~1月にかけて旬を迎える
- 生食にも、加熱調理にも向いている
- マダカアワビ
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- 「メダカアワビ」とも呼ばれる
- 殻の長さが20㎝を超えることもある大型のアワビ
- 秋~冬にかけてが産卵期であり、その前の6~9月が旬
- 加熱調理するのがおすすめ
- メガイアワビ
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- 「アカアワビ」とも呼ばれる
- 秋~冬にかけて産卵期を迎えるため、その前の6~9月が旬
- 肉質が柔らかく、煮つけや酒蒸しに向いている
アワビの栄養と作用
アワビに含まれる主な栄養素と、食べることで得られる効果としては以下が挙げられるでしょう。
- アワビに含まれる主な栄養素
- タウリン、セレン、コラーゲン、アルギニン、パントテン酸、ジメチルサルファイド、ビタミンC、ビタミンE、マグネシウム、リン、ビタミンK、ビタミンA、鉄分 など
- アワビに期待できる効果
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- タウリンなどアミノ酸、ビタミン類をバランス良く摂取できることによる疲労回復
- 胆汁酸、インスリンなどの分泌促進による血圧正常化、高コレステロール血症改善
- 肥満と高血圧など生活習慣病、またこれらが原因で起こる動脈硬化などの発症予防
- 眼精疲労の軽減と、網膜保護機能を回復することによる視力の維持と改善
- その他免疫力の向上、腸内環境正常化、肌荒れ予防、貧血予防、アンチエイジング など
アミノ酸をはじめ、体に必要な栄養素を幅広く含むアワビは、加齢による細胞の老化やこれによる不調・疾患の予防に、大いに役立つ食材です。
日本でアワビが多く採れるのはどこ?
世界中でおよそ80種類も生息しているアワビのうち、先述した日本近海で暮らす4種類が生息する海域は、それぞれ以下の通りです。
- クロアワビ
- 茨城県より南、日本海側では奥尻島以南から九州まで
- エゾアワビ
- 東北より北、主に北海道周辺
- マダカアワビ
- 房総半島より南の太平洋側の海、ならびに日本海西部の沿岸
- メガイアワビ
- 房総半島より南の太平洋側の海と日本海沿岸、九州まで
アワビの養殖が進められている理由は?アワビの価格が高いのはなぜ?
古くから長寿を願う縁起の良い食べ物とされ、日本で重宝されてきたアワビは現在も人気の食材です。かつてはさまざまな方法で天然ものが漁獲されてきましたが、近年の漁獲高は減少の一途をたどっています。
- 天然アワビ、漁獲減少の要因
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- 資源保護を考えず、乱獲を続けてきたため
- 温暖化による環境、生息適地の変化
- 磯焼けによる、コンブやワカメなどエサの減少 など
このため、ある程度人の手で養殖し育てた稚貝を海に放ち、成体になってから漁獲する栽培漁業も行われていましたが、漁獲高の増加には至りませんでした。このような状況のなか、注目されるようになったのが養殖アワビです。
一時期、国内でも積極的に行われてたアワビの養殖ですが、近年は中国と韓国で特に盛んで、日本で流通する養殖アワビの2/3近くをアジアからの輸入ものが占めているとされます。海洋資源を消費することがなく、しかもコンブやワカメなど、海洋汚染しにくい素材をエサとする養殖アワビは、漁業者にとっても地球にとってもありがたい存在です。
アワビを縁起物として大切にしてきた日本では、天然漁獲高が減っても、消費者からのニーズやアワビの消費量はなかなか衰えません。日本での需要の高さが、養殖・輸入される世界のアワビの価格に多大な影響を与えているのは間違いないでしょう。
アワビの養殖ものと天然ものの見分け方や違いは?
天然ものと養殖もの、それぞれのアワビの特徴は以下の通りです。天然アワビと養殖アワビを見分けるときの参考にしてください。
- 天然アワビの特徴
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- さまざまな海藻を食べて育つため、殻の色は黒っぽく個体差が大きい
- 貝殻に藻がびっしりと生えていたり、他の貝を背負った状態で漁獲されことが多い
- 養殖アワビの特徴
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- 同じエサを食べて育つため、殻の色が全体的にきれいな緑色をしている
- 貝殻に張り付くものがなく、表面がつるっとしてきれいなまま
通販やふるさと納税で味わえる!絶品養殖アワビブランド
最後に日本国内で養殖されているアワビのうち、通販やふるさと納税の返礼品としてお取り寄せできるブランドアワビを3種類、それぞれの魅力と一緒に紹介します。おいしい国産の養殖アワビが食べたくなったら、ぜひ検討してください。
岩手県の「三陸翡翠あわび」
- 成長が速く、厚く柔らかい身が特徴のエゾアワビを完全養殖したブランドアワビ
- 三陸海岸の海水を24時間かけ流し環境下で、コンブや魚粉などを配合した専用飼料を食べて育つ
- 肝まで砂がなく濃厚な味わいが特徴
- 生食用だけでなく、燻製や蒸しアワビなども通販で購入できる
愛媛県の「せと姫」
- 旧瀬戸町の陸上養殖場で、多種類の天然海藻を配合した飼料を与えた養殖ブランドアワビ
- エゾアワビをお姫様のように大切に育てているというイメージから、せと姫の名前がついた
- 天然ものに勝る肉付きの良さと大きさ、うま味と甘味、そして栄養価の高さが特徴
- 大中小、それぞれのサイズのせと姫を1個から、鮮度の良い生のまま通販で購入できる
北海道福島町の「蝦夷鮑」
- 地域で天然漁獲のされるエゾアワビを、完全陸上養殖で育てたブランドアワビ
- 食べたときの柔らかさと贅沢感を感じられるよう、あえておよそ5.5㎝と他社の養殖アワビに比べ小ぶりなサイズのものを詰め合わせて出荷している
- 天候や季節に左右されないため、1年中入手可能
- 北海道福島町のふるさと納税の返礼品として受け取ることができる
おわりに:環境にやさしく、いつでも肉厚でおいしい国内産養殖アワビを食べてみよう!
縁起物として、またその強いうま味と食感の良さから日本人に愛されてきたアワビは、近年の天然漁獲高減少に伴い養殖のニーズが高まっています。市場に流通する養殖ものの多くが中国、韓国からの輸入ものとされるアワビ。しかし日本国内でも、一部地域でアワビの養殖が行われています。岩手県と北海道、愛媛県では取り寄せて購入できるブランド養殖アワビもあります。あなたの人生の節目を祝う食事のメインとして、ぜひ食べてみましょう。
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