日本有数のワインの産地である山梨県では、温泉とワイン、グルメを一緒に楽しめる施設が人気を集めています。
今回は山梨県各地から。温泉とワインを一緒に楽しめる温泉旅館やホテルを計5つ、それぞれの施設の特徴と一緒に解説します。
甲州市 甲州市勝沼 ぶどうの丘:200種類のワインを貯蔵するワインカーヴ!敷地内の天然温泉は見晴らし最高
まずは甲州市から、勝沼醸造からおよそ4.5㎞、特急列車が停車する勝沼ぶどう郷駅近くの小高い丘の上にある「甲州市勝沼 ぶどうの丘」を紹介します。
ホテル、美術館、温泉、レストランなどを併設するぶどうの丘は、市営の宿泊施設。このため、敷地内だけで温泉入浴と観光、食事を楽しめる設備ながら、年間を通して比較的リーズナブルに利用できるのが魅力です。入浴施設は、まるで天空から見下ろすような感覚で甲州盆地を眺められる「天空の湯」を有しています。
泉質・効能
季節により姿を変える甲府盆地・御坂山塊・南アルプスを一望する、大浴場と露天風呂からの景色はまさに圧巻です。普段の生活を忘れ、すがすがしい気分で以下泉質・効能の温泉への入浴ができるでしょう。
- 泉質
- 高アルカリ性温泉
- 効能
- 血液とリンパ循環の促進、自律神経の調整、デトックス、疲労回復など
名産品であるワインは、食事を摂れる「展望ワインレストラン」で料理とのマリアージュを楽しめる他、200種類を所蔵する「地下ワインカーヴ」でも試飲が可能です。ワインカーヴとは、ワイン貯蔵庫のこと。「タートヴァン」と呼ばれる専用の試飲容器を購入すれば、ワインカーヴのワインをすべて味見することができます。
ぶどうの丘の地下ワインカーヴの見学後、タートヴァンはお土産として自宅に持ち帰ることもできるので、ぜひ見学と試飲を楽しみましょう。
甲州市 笛吹川温泉 坐忘:名物・洞窟風呂と日本最古のワイナリーで歴史を感じる
続いても甲州市から「笛吹川温泉 坐忘(ざぼう)」を紹介していきます。
坐忘は、洞窟風呂があることで知られる温泉旅館で、現在は洞窟風呂を含め以下の入浴施設を備えています。
お風呂の種類・概要
露天風呂
- 巨石と草木を配した、広々とした野趣あふれる露天風呂
- 露天風呂から湯舟がつながるかたちで、名物の洞窟風呂を併設
大浴場
- 大きな浴槽と洗い場、サウナも併設する内湯
- 壁、屋根の一部まで大きくガラス張りの窓にしているため、自然光がふんだんに差し込む
客室付き露天風呂
- 別邸として「露天風呂付き離れ」を8軒、本館には「庭園露天風呂付き和洋室」を2室、また「本館 離れ」として数寄屋風の独立型で4室、風呂付きの客室がある
上記のうち、特に坐忘の先代が掘り出した洞窟風呂は、まるで本物の洞窟で入浴しているような気分が味わえるとして、一度は入ってみたいお風呂です。
泉質・効能
坐忘で源泉かけ流しで楽しめる温泉は、以下の泉質・効能を有しています。
- 泉質
- アルカリ性単純温泉、低張性アルカリ性高温泉
- 効能
- 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、くじき、慢性消化器病、慢性婦人病、痔、冷え、疲労回復、健康増進
そんな坐忘で楽しめるワインは、現存する日本最古のワイナリーである「まるき葡萄酒株式会社」が製造する甲州ワインです。まるき葡萄酒は1891年、日本人として初めてワイン醸造技術習得のため渡仏した人物のひとり・土屋龍憲によって設立されました。
良質な地下水が豊富にあり、果物の栽培に適した甲州・勝沼の自然が作り出したワインは、日本料理と相性の良い味わいだと言われています。
坐忘で提供される食事のテーマは「和の茶料理」。懐石料理の原点とされる茶料理は、主人が茶事、つまり茶会で招いた客のために茶器を選び、自らの手料理を振る舞ったものです。
坐忘のレストラン「茶料理 懐石まる喜」では、地元食材を茶料理の考え方に基づいて調理し、山のごちそうに仕立てて甲州ワインとのマリアージュを提案してくれます。
温泉や景色だけでなく食からも、日本有数のワインの産地である山梨県甲州市の郷土・歴史を感じたいなら、坐忘の利用がおすすめですよ。
山梨市 岩下温泉旅館:レトロ旅館の冷泉にチャレンジ!囲炉裏を囲んで山梨ワインとグルメを味わおう
山梨市から紹介するのは、明治8年の建物を旧館としていまも遺すレトロな宿「岩下温泉旅館」です。現在は立ち寄り湯、日帰り入浴のために使われている旧館は、もともと地域の人のための公衆浴場としてその歴史をスタートさせました。そして明治8年、温泉の権利を譲り受けた宮本近吉の手により、温泉旅館となったのです。
旧館の半地下部分には、明治・大正の時代と同じく、現在でも源泉があります。この源泉は28.2度の冷泉で、九館内にはそのままの温度で入る浴槽と、加温した源泉に入る浴槽の2つを備え、どちらにも入浴することができます。そんな歴史ある岩下温泉旅館でいただける食事も、地元・山梨県の歴史や強度に根差したものです。
富士山麓牛や快サーモン、地元の農家から仕入れた旬の野菜などの素材を冷泉で仕込んで料理に仕立て、女将がセレクトした山梨ワインとともに提供しています。そしてセレクトするワインは、勝沼のワイン、そしてワインにかかわる農家・醸造か・評論家・販売店を知り尽くす、山梨ワインの第一人者が運営する新田商店が卸したもの。
新田商店では、普段使いから特別なときに飲むものまで、山梨産のワインを幅広く紹介・提案してもらえるので、食事中に気に入ったものがあれば買って帰るのもおすすめです。
笛吹市 ホテル春日居:ブドウ畑から湧きだした美肌の湯?!ソムリエおすすめのワインもおいしい
続いては笛吹市の石和温泉から、「ホテル春日居」を紹介します。ホテル春日居の強みは、温泉地としての入浴設備と、温泉街でも随一のワインバーの両方を備えているところです。
ホテル内で出されるワインはすべて山梨県産で、レストランとワインバーでは、それぞれ別種類の飲み比べセットを用意。食事のときと、食後のバーでのひとときを通じてできるだけ多くの山梨県産ワインに触れ、山梨県を好きになってもらいたいという、ホテル側の配慮が行き届いています。
山梨県産のワインと一緒に、ホテル春日居でいただける料理は、和食懐石と中華料理です。和食懐石は、山梨県の美しい水と肥沃な土壌が育んだ旬の食材の素材を活かして、中華料理は日本人の味覚に合うよう作られた、地元客のリピーターも多いコースを食べられます。
また、懐石、コース料理以外にも、アワビの煮貝やB-1グランプリで優勝したことで知られる鳥のもつ煮、ほうとうなど郷土料理を味わうことも可能。ホテルならではのちょっと豪華なお食事から、山梨伝統の郷土料理に至るまで、山梨ワインとのおいしいマリアージュを複数パターン楽しめますね。
泉質・効能
入浴施設で入れるお湯は、美肌の湯として名高い以下泉質・効能の源泉です。
- 泉質
- アルカリ性単純温泉、低張性アルカリ性高温泉
- 効能
- 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、くじき、慢性消化器病、痔、冷え、疲労回復、健康増進
ホテル春日居で入浴できる石和温泉には、ワインの産地らしい歴史が語り継がれています。1961年、石和のブドウ園から突然高温の温泉が沸きあがり、付近の川に流れ出して青空温泉になったと言います。その3年後、石和に続き春日井温泉も開かれ、関東近郊を中心に多くの観光・湯治客を迎える温泉街になりました。ワインの郷らしい逸話のある場所で、ぜひ温泉とワインを堪能してみましょう。
北杜市 星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳:森の温浴もくもく湯とワインアクティビティを体験しよう
最後に紹介するのは、北杜(ほくと)市の星野リゾート系列施設である「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」です。日本初のワインリゾートとして開業したリゾナーレ八ヶ岳には、24種類のワインと、国産ワインの文化・歴史に触れられる「八ヶ岳ワインハウス」が併設されています。
ワインハウスのなかにはワインサーバーがあり、山梨県の勝沼から長野県にかけてつながるワイン街道の歴史に触れながら、気軽にワインのテイスティングを楽しめるのです。以下に、八ヶ岳ワインハウスのワインリストを紹介しますので、参考にしてくださいね。
八ヶ岳ワインハウス、ワインリスト
赤ワイン
- 勝沼醸造 アルガーノ モンテ
- ドメーヌ茅ヶ岳 アダージョ上ノ山
- シャルマンワイン カベルネフラン尾白
- 中央葡萄酒 グレイスメルロ
- グランポレール 長野古里ぶどう園 カベルネ・ソーヴィニョン
白ワイン
- 勝沼醸造 アルガブランカ イセハラ
- ルミエール 光 甲州
- 信州たかやまワイナリー ソーヴィニョン・ブラン
- リュードヴァン シャルドネ コリーヌドール
- マンズワイン小諸ワイナリー ソラリス品のリースリング辛口
さらにワイン関連のアクティビティとして、ワインについて楽しみながら学べる「ワインの学校」「ブドウ畑アぺロ」も開催しています。
- ワインの学校の概要
- 休館日を除く毎日、15時30分~、16時30分~の1日2回開催
- 予約不要、料金は無料で、先着順で3組8名程度まで参加できる
- ホテルスタッフから、ワインの製法や自分に合う1本の見つけ方など、ワインをよりおいしく楽しむための話を聞ける
- ブドウ畑アぺロの概要
- 例年9~12月まで、金曜・土曜・日曜の14時30分~16時30分に開催
- 前日の17時までの予約、参加費を支払えば1回に付き10名まで参加できる
- ワインが生まれるブドウ畑併設のワインカフェで、風や土の匂いを感じながら、夕食前の軽い食事=アペロを楽しむイベント
飲むだけでなく、山梨県で生産される国産ワインの魅力と楽しみ方、ワインが作られる風土を詳しく知りたいなら、ぜひ参加しましょう。
露天風呂としては、客室から少し離れた森の中に「もくもく湯」という外湯を完備。もくもく湯では、時間によって移り変わる森の景色を眺め、木々の香り、鳥の声や森を駆ける風の音を聞きながら、スタイリッシュな空間でお風呂に入ることができます。
森林浴と温泉浴、その両方を一度に行い、日頃の疲れや忙しさから心身を解放しましょう。
おわりに:ワイン県山梨で、温泉とワイン、料理のマリアージュを堪能して
国内有数のワインの産地である山梨県内には、ワインハウスやワインカーヴ、ワインリゾートなど、ワインを楽しめる宿泊施設がたくさんあります。そのうちのいくつかは温泉入浴施設も併設しているため、山梨で作られたワイン、地元産の食材を使った食材とのマリアージュとともに温泉入浴もできるという、贅沢な滞在が可能なのです。ワインと温泉、その両方を一緒に楽しめる宿を選んで滞在すれば、山梨県の魅力をめいっぱい味わえるでしょう。
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