麦とろごはんは、スタミナがつくとして特に夏の食卓にのぼることの多いメニューです。
今回は麦とろごはんの魅力について、使われている材料や味わい、栄養的に見た特徴、食べることで得られる健康への効果に着目して解説していきます。
旅先のグルメやお取り寄せを楽しむときの参考にしてください。
麦とろごはんとは?
麦とろごはんは、大麦を混ぜて炊いたごはんに、山芋のすりおろしをかけたものです。
昔から日本の食卓で食べられてきたメニューで、当初は少ない米をかさ増しする目的で米に麦を混ぜて炊き、食べやすくするために山芋をかけていたとされます。
十分な量の米を安定して収穫できるようになった現代では、麦を混ぜずに炊いた白米にすりおろした山芋をかけ、楽しむことも増えてきました。
しかし、現在でもわざわざ麦ごはんを用意し、山芋をかけて「麦とろごはん」として楽しむ機会は多いですよね。その理由は、以下の3つだと考えられます。
現在でも「麦とろごはん」が食べられている理由
- 麦ごはんに山芋をかけていた、昔からの食文化の名残
- とろとろの山芋と、麦のプチプチとした食感の両方をおいしく楽しめるから
- 栄養的に見ても、麦と山芋が相性の良い組み合わせだから
なお、山芋には長芋・大和芋・自然薯などの種類があり、それぞれ粘り気や風味が違いますが、麦とろごはんは、麦ごはんに出汁・醤油を加えて滑らかになるまで混ぜ合わせた山芋をかけていただきますが、使う芋の種類に規定はありません。
好みや経済的事情に合わせ、好きな種類の山芋を使って楽しみましょう。すりおろすのが面倒なら、保存袋などに入れて粗く潰すだけでもOKです。
とろろの栄養と期待できる効果とは?
ここからは、麦とろごはんに期待できる栄養とその健康への効果について、山芋のとろろ・麦ごはんの具材別に紹介していきます。
まずは、山芋をすりおろして作るとろろが持つ栄養、健康効果から見ていきましょう。
炭水化物
炭水化物は、人間が生きるのに必要な、三大栄養素のひとつです。山芋に含まれる炭水化物量はジャガイモ、米に比べると少な目なので、炭水化物のなかでもヘルシーな食品と言えます。
タンパク質
タンパク質は、炭水化物と同じく、人間に欠かせない三大栄養素のひとつ。筋肉や臓器をはじめ、ホルモンを作る材料になってくれます。不足すると筋力や免疫力が低下する原因となります。
生のまま食べられるとろろなら、熱に弱く加熱調理で失われてしまうタンパク質まで、余すところなく摂取できますよ。
食物繊維
とろろには、血中のコレステロール値・食後の血糖値上昇を抑え、整腸してくれる水溶性食物繊維が豊富に含まれています。
積極的に食べれば便秘改善や生活習慣病予防、ダイエットへの効果が期待できるでしょう。
粘り成分
とろろの粘り成分は、胃腸の粘膜を保護し糖の吸収を抑制する作用を持っています。このため、炭水化物からの過剰な糖の摂取を防ぎ、肥満を予防する効果が期待できるでしょう。
アミラーゼ
糖質を分解する消化酵素の一種で、胃腸薬にも含まれている栄養成分です。食べすぎたとき、体調が悪いときにとろろを食べると、消化を助けてくれるでしょう。
ビタミン類
とろろにはビタミンE、ビタミンB、ビタミンCをはじめ、ナイアシンや葉酸など各種ビタミンが含まれています。
このためとろろを積極的に食べることで、ビタミン類の働きによる体調改善、口内炎やニキビなどの軽減、美肌、免疫力アップなどの効果を得られると期待できます。
アルギニン
アルギニンは、細胞に水分を溜め込むよう指示し、成長ホルモンの分泌を促進する栄養成分です。このため、保湿やターンオーバーの促進による美肌効果が期待できるとされます。
ジオスゲニン
とろろに含まれるジオスゲニンという成分には、大腸がんを予防する働きがあると期待されています。とろろを積極的に食べることで、発がんを予防できる可能性があるのです。
コリン
とろろに含まれるビタミン類の一種。血管を広げて血流を促し、血圧を下げる作用がある栄養成分ですが、脳での記憶形成を助ける働きがあることもわかってきました。
この事実から、アルツハイマー型認知症の予防・改善に役立つのでは、と期待されています。
カリウム
カリウムは、不要な体内の水分・塩分の排出を促してくれる栄養成分です。血行不良や老廃物の滞留で起こる、むくみを解消してくれます。
麦ごはんにはどんな健康効果があるの?
続いて、麦ごはんが持つ栄養や健康への効果について、見ていきましょう。
食物繊維による健康効果
麦ごはんには、白米にはない水溶性食物繊維が含まれています。
主食に麦ごはんを選び、水溶性食物繊維を多く摂ることによって期待できる健康効果としては、以下が挙げられます。
- 便秘の改善、解消
- おなかの中で膨らみ、満腹感を増す
- 便通改善、満腹感を増すことによるダイエット効果
- 腸からのコレステロール吸収が阻害されることによる、血中のコレステロール値減少
- 消化器官にくぼみができ、炎症を起こす憩室炎の予防
また、麦ごはんを食べて白米の摂取量を控えることによる健康効果としては、以下が挙げられるでしょう。
- 白米の摂取量を減らせることによる健康効果
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- 血糖値の上昇抑制、糖尿病の発症予防
- 塩味の強いおかずの摂取量が減ることによる、高血圧の改善
- 便秘でいきむ機会が減ることによる、高血圧の改善
おわりに:とろろと麦には、健康に良い栄養成分が含まれている
山芋をすりおろした山芋を、麦と一緒に炊いたごはんにかけた料理、麦とろごはん。このメニューでは、白米を主食におかずを食べるときには得られない栄養成分・健康効果が期待できます。調理も簡単ですから、とろろと麦ごはんそれぞれの栄養や健康効果を理解したうえで、ぜひ日々の食事に取り入れてくださいね。
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