日本百名山のひとつ・鳥海山(ちょうかいさん)は、豊かな原生林と日本海を望む雄大な景色が楽しめるとして知られています。
今回は鳥海山登山の魅力を、訪れるべきベストシーズンやおすすめの登山ルート、見どころや山までのアクセス情報などと一緒に解説していきます。
日本百景で「出羽富士」として親しまれる鳥海山
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山形県と秋田県にまたがる鳥海山は、古くから東北随一の名峰として、山岳信仰とその修行を行う修験道の聖地として地域の人々に崇められてきました。
標高は2,236mで、ほぼ左右対称の美しい山姿・稜線をしていること、そしてかつてこの地域が出羽の国であったことから別名「出羽富士」とも呼ばれています。
また、呼び方には地域や時代によって差があり、古くは「鳥見山」、秋田県では「秋田富士」山形県では「庄内富士」などと呼ばれていたそうです。
山名の歴史からも、鳥海山が地域の人々に愛され、親しまれてきた歴史が見えてきますね。
なお鳥海山は平成19年に「地質100選」、平成21年には国指定の国史跡にも指定された、現在も活動を続ける活火山です。直近の噴火は1974年ですが、周辺地域の地質調査により紀元前466年にも噴火を起こし、周囲に大量の堆積物を発生させたことが確認されています。
鳥海山は登山スポット、霊山としてだけでなく、地質学的に見ても重要なスポットなのです。
鳥海山の登山は何月に混むの?
鳥海山は例年、11月から翌年の4月にかけて雪に閉ざされます。このため、冬から春のはじめにかけての期間は、鳥海山に入山することができません。
登山ができるようになるのは、5月から10月までの半年間。登山シーズン中、各月の鳥海山の特徴は、以下の通りです。
- 5月
- 春。まだ雪がのこっているものの、高山植物の芽吹きを楽しめる
- 6月
- 初夏、新緑の季節。残雪がかなり減り、植物の緑が山を覆い始める
- 7月
- 麓で夏山開きが行われ、山小屋も開く。高山植物とその花が咲き誇る
- 8月
- 夏真っ盛り。7月と同じく、高山植物とその花が咲く様子を楽しめる
- 9~10月にかけて
- 紅葉の季節。赤や黄色に変わる、原生林の絶景が見られる
なかでもおすすめなのは、6~10月にかけての時期。鮮やかな緑色から黄色、赤色に紅葉するまで、季節に応じてカラフルに変わりゆく山の様子を見ることができますよ。
なお、公式に山開きが行われるのは7月になってからです。
山開きでは麓で鳥海山忌神社吹浦口ノ宮による神事が行われ、山の安全を祈願し、本格的な登山シーズンの到来を告げます。
この山開きが行われないと7合目、山頂の山小屋の営業は始まりません。
山小屋の利用も含めて登山計画を考える場合は、7~10月までの期間に鳥海山に登ることにしましょう。
初心者向けは吹浦口(鳥海湖)、人気は鉾立(象潟口)がおすすめコース
鳥海山には秋田県側、山形県側あわせて計9つもの登山口があります。
- 鳥海山の9つの登山口名
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- 象潟口(きさかたぐち)
- 吹浦口(ふくらぐち)
- 長坂口
- 万助口(まんすけぐち)
- ニノ滝口
- 湯ノ台口
- 百宅口(ももやけぐち)
- 猿倉口(さるくらぐち)
- 矢島口
それぞれの登山口からさまざまなルート、難易度の登山コースが設定されていますが、以下からはこのうち登山初心者でも気軽に楽しめる2コースを紹介していきます。
時間の制限や、あなたが鳥海山で見たい物に合わせて、好きな方を選んでくださいね。
《1》 吹浦口から行く、鳥海湖ルート
- ルート
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- 太平登山口
- 70分
- 清水大神
- 50分
- 河原宿
- 40分
- 御浜小屋
- 30分
- 鳥海湖
- 所要時間の目安
- 往路のみで、およそ3時間30分
- 特徴
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- 高山植物の観察を目的に設定された、初心者でも挑戦しやすいコース
- 上り始めの難所を超えると、あとは緩やかで景色の良い丘陵地帯を進める
- 高山植物の花が一斉に花開く、7~8月の利用がおすすめ
《2》 象潟口から行く、鉾立ルート
- ルート
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- 鉾立
- 80分
- 賽ノ河原
- 40分
- 御浜小屋
- 60分
- 七五三掛
- 100分
- 御室
- 20分
- 新山
- 所要時間の目安
- 往路のみで、およそ5時間
- 特徴
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- 全体を通して見晴らしが良く、眺望を楽しめるポピュラーなコース
- 往路の所要時間は長いが、登山道は広く、舗装されていて歩きやすい
- 標高が高くなるにつれて、日本海の水平線や鳥海山周辺の山々を望める
- 復路は往路よりも短く、およそ3時間50分で下ることができる
鳥海山のアクセスはバスか乗り合いタクシーが便利!
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ここでは、鳥海山の各登山口へのアクセス方法をそれぞれ紹介していきます。
- 吹浦口・象潟口へは
- 鳥海ブルーライナーバス、または遊佐駅からの乗合タクシーで
- 湯ノ台口へは
- 庄内交通バス、酒田市福祉乗合バス、八幡地区福祉乗合バスで
- 猿倉口・百宅口へは
- 羽後交通定期バス、地域コミュニティバス、タクシーを乗り継いで
- 矢島口へは
- 由利高原鉄道・矢島駅付近のタクシーを利用して
鳥海山登山口には、公共交通機関が行き届いていないところも多いです。
上記に記載のない登山口については、最寄り駅から乗合タクシー、または貸し切りでタクシーを手配するか、レンタカーまたはマイカーで行くのがおすすめ。
公共交通機関を使って鳥海山付近まで行くつもりなら、事前の現地のタクシー会社、またはレンタカー会社を調べておいてくださいね。
鳥海山は登山後の温泉やドライブルートも楽しい!
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活火山である鳥海山の麓、吹浦口と湯ノ台口付近には、温泉施設があります。
登山の後に温泉施設に立ち寄れるようルートを調節し、疲れた体を癒してから帰るのもおすすめですよ。
また、鳥海山登山や軽いトレッキングと一緒に、周辺のドライブを楽しむのも人気です。
鳥海山周辺と、鳥海山中腹まで行くことのできるドライブルートとしては、以下2つが挙げられます。
- 鳥海ブルーライン
- 山形県遊佐方面へ向かって上り、標高1,500、鳥海山5合目の鉾立口まで登ることができ、駐車場から東屋まで歩けば、軽いトレッキングになる
- 鳥海高原ライン
- 山形県酒田市八幡方面へ向け登っていき、標高1,200m、鳥海山5合目の湯ノ台口まで行くことができ、途中、鶴間池を望む展望スポットがある
ゆっくり登山する時間が取れないときは、ドライブをうまく組み合わせて鳥海山でのトレッキングと、温泉だけでも楽しんで帰りましょう。
おわりに:ハイシーズンは6~10月!まずは初心者コースから、鳥海山登山に挑戦してみよう
日本百名山に数えられ、出羽三山と並び称される霊峰・鳥海山。11月~4月にかけて長く雪に閉ざされる鳥海山の本格的な山開きは、7月になってから。しかし、残雪が少なくなる5月ごろから入山はできるようになります。高山植物の芽吹きや開花、紅葉を楽しみたいなら、6~10月の間に訪れるのがおすすめ。初心者でも楽しめる難易度の低い登山コースも設定されていますから、周辺の温泉やドライブルートと一緒に楽しんでくださいね。
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