日本で人気のトレッキングツアーと言えば、世界遺産の屋久島の自然を楽しめる「屋久島トレッキング」ではないでしょうか。
今回は、屋久島トレッキング挑戦を検討中のトレッキング初心者に向け、おおよその距離やベストシーズン、ツアーの魅力などをまとめて紹介していきます。
屋久島トレッキングが人気な理由
屋久島は、鹿児島県の海域にある離島です。1993年、島全体のおよそ20%が白神山地と一緒にユネスコ世界自然遺産に認定されました。
ユネスコによると、世界自然遺産認定の理由は「生態系が標高により連続的に変化する自然が保たれ、学術的に貴重であり、さらに屋久杉などの景観もすぐれている」とのこと。
近年ではトレッキングスポットとしても人気の屋久島の魅力を、以下に見ていきましょう。
1つの島で、日本全国の気候を体感できる
屋久島は、島内での標高差が大きな島。亜熱帯地域にありながら、標高の高い山岳エリアでは北海道と同じ亜寒帯気候となります。
同じ島にいても、垂直に移動することでまったく異なる気候を体感できる。これは日本国内では他にない、屋久島の自然環境ならではの魅力と言えます。
豊富な雨量のため、独特な森の景観が楽しめる
日本本土と比べおよそ2倍もの雨量を誇る屋久島では、植物の生長が促されます。
木の寿命を長くし、苔がむすのを助けるため、樹齢7200年を超える縄文杉や苔むす森など、ここにしかない独特の景観を楽しめるのです。
苔むす森こと白谷雲水峡は、スタジオジブリのアニメ作品「もののけ姫」に出てくる森のモデルとなった、といわれています。
なお、屋久島の代名詞でもある「縄文杉」の定義は、島内の標高500m以上の場所に自生し、1000年を超える樹齢と確認されたもののみです。
本土では見られない、貴重な動物を見ることができる
独特な気候、生態系を持つ屋久島では、たくさんの固有動物も生息しています。
代表的なものはヤクシカやヤクザルで、本土の鹿・猿に比べ小型なのが特徴。
保護されているためあまり人を警戒せず、トレッキング中の観光客でも高確率で見られるそうですよ。
世界遺産の縄文杉までの距離は?初心者でも大丈夫?
屋久島で催されているトレッキングツアーのうち、最も人気があるのは樹齢7200年を超える縄文杉を見学できるコース。
そのおおまかな内容は、以下の通りです。
縄文杉トレッキングコースの内容
- 距離
- 19.2㎞
- 最大標高差
- 696m
- 最低地点
- 出発地である荒川登山口の596m
- 最高地点
- 目的地である縄文杉のある1292m
- 所要時間
- 休憩なし、歩く時間だけで10時間前後
700m近く標高差のあるコースを10時間かけて歩くと聞くと、中級以上のトレッキングに慣れた人向けのツアーのように感じられます。
しかし、このツアーの対象者はトレッキングや登山の初心者・初級者。
半日がかりですので観光のついでに行くことはできませんが、それなりの体力・筋力のある人なら、トレッキング初心者でも十分挑戦が可能です。
ただし、普段ほとんど運動をしない人、斜度が低く短いトレッキングコースでもかなり息があがるという人には、体力的にきついかもしれません。
体力に自信がないなら、3か月を目安にウォーキングやトレッキングを毎日続けて行い、基礎体力をつけてから臨むべきでしょう。
屋久島のベストシーズンはいつ?雨が多いので注意!
屋久島トレッキングのベストシーズンは、一般的な登山シーズンと同じく4~11月です。
シーズンごとの屋久島の気候の特徴・混雑具合について、以下に見ていきましょう。
時期ごとの屋久島の特徴
- 4~6月
-
- 花が咲き、緑が濃くなる最も森が美しい時期
- ただし、ゴールデンウィークによる混雑と梅雨に入ることによる雨量の増加には注意が必要
- 7~9月
-
- 夏に当たるこの時期は、標高の高いところでも暖かくなるので防寒着が必要ない
- 身軽に登山できるが、やはり梅雨と台風による雨と、夏休みの混雑には注意が必要
- 10~11月
-
- 1年のなかで最も涼しく、登山がしやすくなる時期。他の時期に比べ、雨も混雑も少ない
- 12~3月
-
- 標高の高いところでは、積雪がある時期
- このためトレッキングツアーに参加するには、雪山を歩くための装備が必須になる
- 重装備で山に入らなければならない
景観が最も美しいという意味では、屋久島のベストシーズンは4~6月と言えます。
しかし4~6月は、亜熱帯気候のためただでさえ雨の多い屋久島で、特に雨が多くなる梅雨の時期。またゴールデンウイークもあるため、毎年コースはかなり混雑しています。
気候の関係上、一度も雨に降られず屋久島を巡るのは難しいかもしれません。
雨と混雑を極力避けたいのであれば、涼しく大型連休の少ない9~11月がおすすめです。
屋久島トレッキングはどんな服装がおすすめ?
ここからは、屋久島トレッキングの参加時に必要なものを見ていきましょう。
屋久島トレッキングにあう服装と必要な持ち物
- 基本装備
-
- 履きなれたトレッキングシューズ、登山用の厚手の靴下
- 透湿性、速乾性に優れた薄手の化繊性、長袖登山用ベースレイヤー
- 透湿性、速乾性に優れた薄手の化繊性、10分丈登山用タイツ
- 登山用のズボン、またはスカート
- レインウェア
- 15~20L容量のバックパックやザック、またレインカバー
- 春~秋の装備
-
- べースレイヤーの上に着る中間着として、半そでのTシャツ
- 着替えの半そでTシャツをもう1枚、上着として薄手のウインドブレーカー
- 冬の装備
-
- フリースや薄手のダウン、セーターなど重ね着しやすい中間着を数枚
- 寒さが心配なら、ベースレイヤーもウール素材など保温性の高いものに変更する
- 毛糸の手袋、ニット帽、ネックウォーマーなど防寒着
通気性と速乾性の低い綿素材や、デニム素材の服は屋久島トレッキングには適しません。
春から秋にかけては透湿性と速乾性を、冬は着脱と体温調整のしやすい防寒着を意識して、服装を選んでください。
- 屋久島トレッキングに必要な持ち物
- 地図、水と水筒、お弁当一食分、歩きながらエネルギー補給するための行動食
お弁当はガイドに依頼して当日持ってきてもらうか、あらかじめ島の食道や宿に予約するなどして、作ってもらう必要があります。
また、エネルギーが切れて動けなくなるのを防ぐために水分と水筒、休憩時に食べるための飴やチョコレート、羊かんなどの行動食も必須です。
便利で安心?ツアートレッキングのメリット
初めて屋久島トレッキングに行くなら、個人で行くよりツアートレッキングに申し込むのがおすすめです。
ツアーでトレッキングに参加すると以下のようなメリットがあります。少しでも不安があるなら、検討してみてもいいと思いますよ。
- 経験と知識豊富なガイドが、初めての屋久島探検をサポートしてくれる
- 急な天候や体調の悪化など、不足の事態が起きてもガイドが助けてくれる
- 同じ趣味を持つ人たちと一緒に、屋久島トレッキングを安全に楽しめる
- 迷ったりケガをするなど、トレッキングに伴うリスクを低減できる
- 相性が良ければ、ツアーで会った人たちと趣味仲間になれるかも
- ツアー内容によっては、トレッキングに必要な装備品を安く借りられる
- トレッキングだけでなく、前後の移動や宿泊までフォローしてもらえることも
おわりに:景色を楽しむなら4~6月、雨と混雑を避けたいなら10~11月が屋久島トレッキングのベストシーズン!
世界自然遺産である屋久島を楽しむ方法のひとつに、トレッキングがあります。人気の縄文杉を見られるコースは10~11時間を擁しますが、普段から体を動かす体力のある人なら、トレッキング初心者でも日帰りで楽しめるでしょう。
屋久島では年間を通してトレッキングを楽しめますが、6~9月にかけては特に雨が多くなり、12~3月には積雪があります。あなたが見たい景色や、体への負担が少ない時期を選んで、挑戦してみてくださいね。
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