ブリは、脂の甘味と旨味が魅力の高級魚です。寒ブリの刺身やブリしゃぶなど、旬のブリを使った料理は、魚好きにはたまりませんよね。今回は、ブリの旬を産地別に詳しく解説します。実は、産地を選ぶことで美味しい旬のブリを1年中楽しむことができるのです。天然ブリ、養殖ブリのお取り寄せ情報も紹介するのでブリ好きの人は参考にしてください。
ブリの旬|天然ブリと養殖ブリで違う?
ブリは、スズキ目アジ科ブリ属の魚です。ブリ属には、国内に4種類、国内にいないもので6種類ほどいますが、そのなかでもブリ、ヒラマサ、カンパチは「ブリ御三家」と呼ばれるブリ属の代表格になります。
寒ブリという名でもわかるように、一般的にはブリの旬は冬の寒い時期です。これは春から初夏にかけてが産卵期になるためであり、産卵期にはメスの卵は美味しくなりますが、ブリの身の質は落ちてしまい、ブリの美味しさも栄養も落ちます。
ただし、これはあくまでも天然ブリの一般的な話です。ブリの旬は、以下のように天然ブリと養殖ブリで違いがあります。
天然ブリの旬
天然のブリは春から夏にかけて日本海や太平洋の沿岸を北上し、秋に入り水温が下がり始めると沖合のエリアの南下を始めます。南下している秋から冬にかけてが天然ブリの旬です。
とくに12月〜2月の冬の天然ブリの身はとても美味しく、たっぷり脂がのっていて身が引き締まっています。
寒ブリの旬は12月〜1月とされていますが、天然ブリ自体の旬の期間は産地による違いもあるので、もっと長いです。産地を選べば、秋から春まで美味しい天然ブリが食べられます。
- 天然ブリの旬の特徴
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- 全国的に見れば天然ブリの旬は9月中旬〜4月頃まで(産地により旬の時期が違う)
- 北海道では9月中旬から旬が始まる
- 日本海側は12月〜2月、3月まで、太平洋側は2月頃〜4月、5月まで天然ブリの旬が楽しめる
- 寒ブリの名を冠するブランド天然ブリの旬は12月〜1月(氷見の寒ブリが有名)
養殖ブリの旬
養殖技術の発展により、養殖ブリでは1年を通して旬の美味しいブリが食べられるようになっています。これは、産卵期をコントロールすることで可能になったことです。
通常、養殖ブリは5月〜6月ころに産卵期をむかえるため、4月〜夏にかけては養殖であっても身が痩せて美味しさと栄養が落ちます。
しかし、陸上水槽で養殖しながら温度と光を管理することで、産卵期を10月ころまでずらすことができるようになり、天然ブリも養殖ブリも美味しさや栄養が落ちてしまう夏に旬をむかえることができるようになったのです。
そのため、養殖ブリでは1年中旬のブリが楽しめるようになりました。今では、あえて夏に旬をむかえる養殖ブリをブランディングして売り出しているところもあります。
- 養殖ブリの旬の特徴
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- 養殖ブリの産卵期は5月〜6月ころなので、かつては夏に身の質が落ちた養殖ブリ、天然ブリが流通していた
- 現在は陸上水槽で温度と光を管理できるようになったので、1年中旬の美味しい養殖ブリを1年中楽しめる
- 天然ブリも養殖ブリも美味しさが落ちてしまう夏を狙った「夏が旬の養殖ブリ」もある
- 夏が旬の養殖ブリとしては「黒瀬ぶり」が有名
黒瀬ぶりとは|夏が旬の養殖ブリ
黒瀬ぶりは、宮崎県串間市の日向灘沖合で養殖されている養殖のブランドブリです。人工種苗により美味しい血統をもったブリを育成し、成長にあわせて水槽のサイズを変えることで運動量をコントロールしています。
黒瀬ぶりは、適度な運動を促し、カプサイシンを混ぜた飼料を与えることで、ただ脂がのっているだけではない「余分な脂肪を落として身が引き締まった養殖ブリ」を育てています。余分な脂肪を落として運動させることで、身の色合いや歯ごたえが良くなり、身の質はさらに向上するのです。
このような徹底した管理のもとで出荷される黒瀬ぶりは、天然ブリに勝るとも劣らない養殖ブリとして、高値で取引されるようになっていて、環境を守るという目的においても注目を集めています。
ハマチの旬|ブリとの違いは?
天然ハマチの旬は、一般的に夏から秋ごろといわれています。ただし、ハマチは養殖が流通することが多いため、1年中美味しい旬のハマチが食べられます。
ハマチとは、出世魚であるブリの成長過程の個体の呼び名です。関東でイナダやワカシと呼ばれるのサイズ(40cm〜60cmクラス)を、関西ではハマチと呼びます。ただし、ブリの稚魚(モジャコ)を養殖してイナダ・ワカシのサイズまで育成した中型サイズの若いブリを、関東ではハマチと呼びます。最近は、この中型サイズの若い養殖ブリをハマチと呼ぶことが多いようです。
天然のハマチはブリになる前の時期の若い個体のため、天然ブリの旬より少し早い夏から秋(地域によっては秋から冬)に旬をむかえることになります。
産地別のぶりの旬|お取り寄せ可能なブランドブリの旬、味、養殖、天然の違い
すでに説明したように、ブリの旬は漁獲地(産地)別で変わってきます。
代表的な産地別、ブランド別の旬の目安や味の違いなどの特徴をまとめたので、参考にしてください。
北海道
- 北海道のブリの特徴と旬のピーク
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- 北海道のブリの旬は秋
- 北海道の天然ブリ(天上ブリなど)の旬のピークは9月〜10月
- 北海道の養殖ブリ(鰤宝など)は10月から出荷が始まる
お取り寄せ可能な北海道のブリ
※出荷シーズン外は購入できない場合があります。
新潟
- 新潟のブリの特徴と旬のピーク
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- 新潟のブリの旬は晩秋〜冬(11月中旬〜2月)
- 新潟の天然ブリの旬(佐渡寒ブリなど)のピークは12月〜1月で、脂がのっていて美味しい
- 富山、金沢の寒ブリより旬が早い
お取り寄せ可能な新潟のブリ
※出荷シーズン外は購入できない場合があります。
富山
- 富山のブリの特徴と旬のピーク
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- 富山のブリの旬は晩秋から冬(11月末〜2月)
- 富山の天然ブリの旬(氷見寒ブリなど)のピークは12月〜1月で、脂がのっていて極上品とされる
- 氷見寒ブリの条件を満たす天然ブリが水揚げされるようにあんると「ひみ寒ぶり宣言」が出される
お取り寄せ可能な富山のブリ
※出荷シーズン外は購入できない場合があります。
石川
- 石川のブリの特徴と旬のピーク
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- 石川のブリの旬は秋から冬(11月〜2月)
- 富山の天然ブリの旬(能登寒ブリ、輪島寒ブリなど)のピークは12月〜1月。刺身がしょう油をはじくほど脂がのっている
- 8月下旬〜10月中旬まではブリよりも小型で若い「ふくらぎ(ハマチ)」が旬になる
お取り寄せ可能な石川のブリ
※出荷シーズン外は購入できない場合があります。
三重
- 三重のブリの特徴と旬のピーク
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- 三重のブリの旬は晩冬から春(1月〜4月)
- 三重から和歌山県にある熊野灘で獲れるの天然ブリは桜ブリと呼ばれ、旬のピークが12月〜1月
- 寒ブリより脂は若干控えめなため、濃厚ながらスッキリとした味わいを楽しめる
お取り寄せ可能な三重のブリ
※出荷シーズン外は購入できない場合があります。
香川
- 香川のブリの特徴と旬のピーク
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- 香川はブリの養殖が盛んで、ひけた鰤、なおしまハマチ、オリーブブリ(オリーブハマチ)などのブランドブリがある
- ひけた鰤となおしまハマチの旬(出荷シーズン)は10月〜12月、オリーブブリ(オリーブハマチ)の旬(出荷シーズン)は9月上旬〜1月中旬
- 栄養価が高く、ほどよく脂がのったヘルシーなところが香川のブリの魅力
お取り寄せ可能な香川のブリ
※出荷シーズン外は購入できない場合があります。
愛媛
- 愛媛のブリの特徴と旬のピーク
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- 養殖ブリが盛んで、戸島一番ブリ、久良のブリ、完熟鰤などのブランドがある
- 養殖ブリの旬(出荷シーズン)は11月〜2月
- 天然の寒ブリも味が良いと人気
お取り寄せ可能な愛媛のブリ
※出荷シーズン外は購入できない場合があります。
高知
- 高知のブリの特徴と旬のピーク
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- 室戸市、土佐清水市、宿毛市などの定置網漁法で天然ブリが獲れる
- 12月〜7月まで違った味のブリの旬を楽しめるが、脂がのってとくに美味しいとされる旬のピークは晩冬から春先(3月〜5月頃)
- 乙女ぶり、極みぶりなどの養殖ブランドブリもある
お取り寄せ可能な高知のブリ
※出荷シーズン外は購入できない場合があります。
長崎
- 長崎のブリの特徴と旬のピーク
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- 長崎の天然寒ブリは冬から春先(12月中旬〜3月上旬)
- 長崎の天然寒ブリの旬のピークは2月中旬で、脂がのって美味しい
- なつ香ブリ、勝ちぶり、黄金ぶり、長崎旬ときぶりなど、養殖ブランドブリもある
お取り寄せ可能な長崎のブリ
※出荷シーズン外は購入できない場合があります。
大分
- 大分のブリの特徴と旬のピーク
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- 大分はブリの養殖が盛んで、ブランドブリ「かぼすブリ」が人気
- 冬に脂がのって美味しくなるので、11月〜3月が旬(出荷シーズン)になる
- 血合いが鮮やかで、香りが良く、さっぱり食べられるブリで、刺身、ブリしゃぶ、寿司はもちろん、照り焼きや煮物にしても美味しいと評判
お取り寄せ可能な大分のブリ
※出荷シーズン外は購入できない場合があります。
宮崎
- 宮崎のブリの特徴と旬のピーク
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- 宮崎県の天然ブリの旬は、冬から春先にかけて
- 養殖ブリの旬(出荷シーズン)は、へべすぶりは12月〜1月
- 黒瀬ぶりは1年を通して旬の状態が続くようにコントロールされているが、とくに夏場が旬として売り出している
お取り寄せ可能な宮崎のブリ
※出荷シーズン外は購入できない場合があります。
鹿児島
- 鹿児島のブリの特徴と旬のピーク
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- 養殖ブリの生産量が全国1位
- 海峡育ち鰤王、さつま黒酢ぶり、ぶり大将などのブランドブリがあり、1年を通して旬の美味しいブリが食べられる
- 天然ブリの旬である12月〜2月では、定置網や一本釣りで天然ブリが獲れる
お取り寄せ可能な鹿児島のブリ
※出荷シーズン外は購入できない場合があります。
ブリヒラの魅力|近大うまれの新しいブランド養殖魚
ブリヒラとは、濃厚な脂の旨味を楽しめるブリと歯ごたえの良さが魅力のヒラマサをかけあわせたハイブリッド養殖魚です。
- ブリヒラの特徴
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- メスのブリとオスのヒラマサを交配
- 夏場に脂が落ちてしまうブリのデメリットを、夏場に脂がのるヒラマサのメリットが補っている
- ブリの旨味とヒラマサの食感の良さを持ち合わせた「良いとこ取り」の養殖魚
- 近大が1970年に開発した近大独自の養殖魚
ブリヒラは、これまでハイブリッド種の特有の「雑種強勢(両親の優れた特徴を受け継ぐこと)」のメリットがありつつも、良質な親となるブリとヒラマサの確保に課題があり、大量生産が実現していませんでした。
また、経営面、経済面で考えると、ハイブリッド種の養殖魚が世間に受け入れられるかという課題もあったことも、一般流通の壁になっていた事実もあります。
2017年に近大の関連会社「食縁」と全国チェーンのスーパー「ベイシア」が「持続可能な養殖水産物普及の協定」を締結したことで養殖規模の拡大が実現しています。
そして、ベイシア実店舗での試食とアンケート活動により、ある程度の認知が得られ需要の確認がとれたことから、2021年6月16日より、ベイシア全店舗(ベイシアマートは除く)での販売が開始されました。
現在は、サク、お造り、お寿司のみの販売で、通販などはありませんが、全国チェーンのベイシアで扱われているので、今後はさらに手に入りやすくなるでしょう。
ブリヒラは、高級魚であるブリとヒラマサの良さをあわせ持ちながら、手頃な価格で楽しめます。
カジトク編集部でも少量ですが購入できたので実食しましたが、とても美味しく、歯ごたえも楽しめました。例えるなら、「ヒラマサよりのブリ」といった感じでしょうか。ブリよりもスッキリとした味わいです。「脂が強すぎるのはちょっと苦手」という人には、ブリヒラのほうがおいしく感じるかもしれません。
カジトク編集部では、ブリの近縁種である新しい養殖魚「ヒラマサ」に今後も注目したいと思います。
おわりに:天然ブリも養殖ブリも産地を選べば1年中美味しい旬のブリが楽しめる
寒ブリという名からもわかるように、一般的なブリの旬は冬です。全国的にみると9月〜2月・3月頃までが旬となりますが、ブリは回遊魚ということもあり、地域によって詳細な旬が変わってきます。また、桜ブリのような春が旬のブリもありますし、中型サイズの若いブリであるハマチの旬は夏から秋です。それぞれ味わいに違いはありますが、どれも美味しいことには変わりません。
また、黒瀬ぶりのように「夏が旬のぶり」をうたった養殖ブリもあります。養殖ブリは、1年中美味しい旬のブリを楽しめるだけでなく、水産資源を守ることに役立ちます
ブリヒラのようにハイブリッド種のブリの近縁種の養殖魚も一般家庭で食べられるようになったので、より気軽にブリを楽しめるはずです。
お取り寄せや現地のグルメ、お土産などで、ぜひブリを楽しんでみてください。
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