群馬県を代表する登山スポットのひとつに、妙義山が挙げられます。
今回は妙義山登山の魅力を、自然の美しさを満喫するためのシーズン選びのポイントや初心者向けのルート、登山と一緒に楽しむべき温泉のことまでまとめて解説します。
妙義山はお花見や紅葉の名所として人気
周辺の複数の峰々の総称である妙義山は、白雲山相馬岳(はくうんざんそうまだけ)の標高1,104mを最高峰としています。
峰々のうち、いくつかは以下のように「表妙義」「裏妙義」として区別して呼称しています。
- 表妙義
- 金洞山(こんどうさん)、白雲山、金鶏山(きんけいさん)
- 裏妙義
- 谷急山(やきゅうさん)、丁須の頭(ちょうすのかしら)、御岳(おんたけ) など
標高だけを見ると決して高山ではありませんが、群馬県の甘楽郡下仁田町・富岡市・安中市の境界に位置しているため、山頂からは周辺の関東平野を一望できます。
このため赤城山、榛名山とともに上毛三山のひとつとして数えられ、群馬県を代表する山として関東をはじめ全国的に有名です。
また、香川県小豆島の寒霞渓(かんかけい)、大分県中津市の耶麻渓とともに日本三大奇勝に認定されている点も、妙義山の大きな特徴。他の奇勝と同じく、妙義山でも奇抜なかたちの岩が作り出す荒々しい山肌、印象的な風景を見ることができますよ。
春は5千本の桜の絶景、秋は色とりどりの紅葉が妙義山の魅力
続いて、季節によって移り替わる妙義山の見どころを紹介していきます。
まず紹介するのが、妙義山森林公園さくらの里で見られる45種、5,000本もの桜並木です。
4~5月中旬にかけてソメイヨシノ、ヤエザクラなどの桜が段階的に開花し、妙義山南側の山麓一帯をピンク色に染め上げる光景を見ることができます。
例年、この時期のさくらの里では地元茶道会による野点や、限定のスイーツなどの販売も行われているので、妙義山登山とともにお花見も楽しめるでしょう。
また、10月下旬~11月上旬にかけて見られる紅葉も見逃せません。
妙義山には白雲山中腹の妙義神社、道の駅みょうぎの大モミジをはじめ、たくさんのモミジやカエデが生育しています。
このため、毎年10~11月にかけては荒々しい岩肌と鮮やかな紅葉のコントラストに富んだ景色を楽しむことができます。
登山をしながら見る以外に、麓にある妙義山パノラマパークの利用もおすすめです。
妙義山パノラマパークの概要
- 西に妙義山、東に赤城山と榛名山、関東平野や筑波山に至るまで見渡すことのできる、妙義山六のビュースポット
- 10~11月には、山に登らなくとも紅葉に彩られた妙義山の美しい姿を見られるポイントとなる
- 敷地内に有料施設はあるが、パークの入場自体は無料
なお妙義山パノラマパークからは、春には菜の花畑の黄色いじゅうたんも見られます。
桜と一緒に春でも景色を楽しめるスポットですので、覚えておいてくださいね、
妙義山を訪れたら妙義神社や奇岩も見に行こう
次に、年間を通して見られる妙義山の見どころを紹介していきます。登山ルートの設定は、自身に合った難易度かどうかとともに、上記の名所を巡ることも踏まえて行ってくださいね。
見どころ1:妙義神社
- およそ1,500年の歴史を持つと言われる神社
- 妙義山の主峰・白雲山の中腹にあり、唐門と総門は国の重要文化財に指定されている
- 本殿は珍しい黒漆塗りで、日光東照宮と同じ人物による彫刻を見られる
- 宝物殿に展示されている不動明王座像なども含め、非常に歴史的価値が高い施設
見どころ2:大の字
- 登山者、登拝者の目印として、そして妙義神社までお参りに行けない人のために江戸時代に設置されたもの
- 現在は鉄製だが、江戸時代の頃は藁性だったと伝えられる
- 妙義大権現の「大」の字を現している
見どころ3:奇岩群
- 岩でできた妙義山には、登山道に多くの奇岩・巨岩があり、独特の景観を作り出している
- 山中では下をくぐることができる複数の石門や、ロウソク岩、大砲岩、筆頭岩、ユルギ岩、虚無僧岩などユニークな名前の岩を多数見ることができる
妙義山登山の難易度は?初心者向きルートは?
続いて、妙義山登山コース合計で3つ紹介していきます。まずは、初心者でも挑戦しやすい「妙義山中間道コース」と「石門めぐりコース」の2つから見ていきましょう。
妙義山中間道コース
- 所要時間、距離
- およそ4時間45分かけて9.6㎞を歩く
- ルート
-
- 妙義神社
- 徒歩45分
- 第2見晴らし
- 徒歩55分
- あずまや
- 徒歩65分
- 大砲岩
- 徒歩5分
- 第4石門
- 徒歩35分
- 中之獄神社
- 徒歩20分
- さくらの里
- 徒歩60分
- 中村バス停
- 特徴
-
- 別名「関東ふれあいの道」
- 平坦な道から急傾斜の道まで、さまざまな登山道で楽しめる
- 鎖を頼りに岩場を進む鎖場はないが、梯子上の階段や石の上は歩く
- さくらの里を通るため、時期によっては桜や菜の花、紅葉の絶景が見られる
石門めぐりコース
- 所要時間、距離
- およそ1時間35分で歩ける範囲で、石門を中心に妙義山中をめぐる
- ルート
-
- 中之岳駐車場
- 徒歩5分
- 石門入り口
- 徒歩2分
- 第1石門
- 徒歩10分
- カニの横ばい、たてばり、第2石門
- 徒歩5分
- つるべ下がり
- 徒歩15分
- 第4石門
- 徒歩10分
- 大砲岩
- 徒歩20分
- 見晴らし台
- 徒歩25分
- 中之獄神社
- 徒歩3分
- 中之岳駐車場
- 特徴
-
- 他の登山コースに比べ距離と所要時間ともに短く、最も親しまれているルート
- 履きなれたスニーカー、トレッキングシューズであれば問題なく挑戦できる
- カニの横ばい、たてばり、つるべ下がりは鎖場だが、避けて通る方法もある
上記の他、妙義山の代表的な登山コースには「山頂縦走コース」もありますが、妙義連峰の山頂を縦走していくため、かなり高度な登山技術が必要です。
妙義山、山頂縦走コースの概要
- 所要時間、距離
- 白雲山から金洞山まで、尾根を通り山頂を順に縦走していく。所要時間は7~8時間
- ルート
-
- 妙義神社
- 大の字
- 奥の院
- 玉石
- 大のぞき
- 大天狗
- タルワキのコル
- 相馬岳頂上
- 裏妙義分岐
- 茨尾根
- 堀切
- 女坂分岐
- 鷹もどし
- 第4石門分岐
- 東岳頂上
- 中之岳頂上
- 見晴らし台
- 中之岳神社
- 特徴
- 安全に踏破するには綿密な登山計画と豊富な経験、度胸が必要で、登山上級者以外にはおすすめできない
登山経験の少ない初心者は、「妙義山中間道コース」と「石門めぐりコース」のどちらかのうち、鎖場を避けたルートを設定するのが良いでしょう。
なお2020年4月10日、第4石門付近で大規模な落石があったため「妙義山中間道コース」の一部は通行できません。
202年8月現在も登山道復旧の目途は立っていませんので、必ず事前に登山道の状況を確認のうえ、ルートを設定してくださいね。
妙義山の登山後は温泉でゆっくり
妙義山の麓、またその周辺には3つの温泉地があります。
以下に3つの温泉地の概要、泉質、効能についてそれぞれ述べていきますので、登山のついでに立ち寄り、心身の疲れを癒してくださいね。
妙義ふれあいプラザ 妙義温泉「もみじの湯」
- 概要
- 妙義山の麓、登山口のすぐ近くにある日帰り温泉施設。露天風呂からは妙義山、関東平野を望むことができる。食事処、アメニティなど各設備も充実
- 泉質
- ナトリウム、塩化物・炭酸水素塩温泉(弱アルカリ性高張性低温泉)
- 効能
- 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺 など
妙義グリーンホテル&テラス
- 概要
- 妙義山を望むことができる、温泉併設のリゾートホテル。地下2,000mから自家温泉をくみ上げて使用し、地元上州産の食材を使った郷土料理も提供している
- 泉質
- 炭酸水素塩泉
- 効能
- 美肌、切り傷、慢性皮膚病、肝臓病、糖尿病、痛風、慢性消化器病 など
大島鉱泉
- 概要
- 妙義山の麓からは少し離れた場所、鏑側(かぶらがわ)の清流が注ぎ込む山間にある温泉宿。群馬県公衆浴場のなかで勇逸の温泉施設で、宿泊の他に日帰り入浴も受け入れている
- 泉質
- 炭酸水素ナトリウム
- 効能
- 胃腸病、神経痛、リウマチ など
おわりに:初めての妙義山登山は、初心者向けコースと温泉で楽しもう!
妙義山は白雲山を最高峰とする、群馬県の複数の峰々の総称です。たくさんの奇岩・巨岩が見られることから日本三大奇勝、そして日本百景にも選出されています。登山道も複数設定しているため、距離と所要時間が短く、鎖場を避けたルート設定にすれば初心者でも楽しめます。また周辺に複数の温泉施設があるので、桜や紅葉の絶景が見られる時期を選んで登山をし、あわせて入浴を楽しむのもおすすめですよ。
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