味噌汁や酢の物の具として、近年ではサラダとしても楽しまられるワカメには、どのような栄養が含まれているのでしょうか。
今回はワカメに含まれる栄養とその効果を、種類ごとの特徴や栄養価を活かす食べ方のコツと一緒に、まとめてご紹介します。
旅先のグルメやお取り寄せを楽しむときの参考にしてください。
ワカメにはどんな種類がある?
ワカメは北海道から九州まで、日本の幅広いエリアで収穫できる海藻の一種です。
日本人とワカメのかかわりの歴史は長く、飛鳥時代に制定された法律にはワカメにかける税に対する租税があるほど。神事にも、供物として頻繁に使われてきました。
旬は柔らかい新芽が獲れる早春で、若く柔らかいものであるほど美味とされます。生で流通する時期は新芽の出る早春のみで、他の時期には加工されたものが流通します。近年では宮城県や徳島県を中心に養殖も行われており、さまざまな種類・加工方法のワカメが広く販売されています。
海藻そのものの違い、また加工方法の違いによるワカメの分類は以下の通りです。
海藻の分類によるワカメの種類
南部ワカメ
- 「北方型」とも呼ばれ、北海道沿岸に分布する種類
- 養殖に適しているため、分布域は他地域にまで広がっている
- 長い茎と切れ込みの深い葉、大きな胞子葉が特徴
鳴門ワカメ
- 徳島県の鳴門海峡で獲れるワカメのこと
- 天然ものは減少しているため、希少性が高い
ワカメ
- 「南方型」とも呼ばれる、房総半島より南に分布する種類
- 短い茎、切れ込みの浅い葉が特徴
- 南部ワカメと鳴門ワカメの間くらいの長さをしている
加工方法によるワカメの種類
塩蔵ワカメ
- 収穫したワカメを湯通した後、冷却・塩漬けにして長期保存できるようにしたもの
- 鮮やかな緑色と磯の香りが保たれているのが特徴で「湯通し塩蔵ワカメ」とも呼ばれる
乾燥ワカメ
- 収穫したワカメを水で洗った後、天日干しにしたもの
- 素干しや板ワカメ、灰干しワカメなど作り方によってさらに種類が分かれる
カットワカメ
- 塩蔵ワカメを洗浄・乾燥し、小さくカットしたもの
- 水で戻すだけで簡単に使用できるため、近年よく使われている
茎ワカメ
- 中央、または茎にあたる硬い部分を乾燥させ、塩で味付けしたもの
- 柔らかい葉の部分にはない、シャキシャキした歯ごたえを楽しめる
めかぶワカメ
- ワカメの部位のうち胞子、つまり卵をつけるための葉の部分
- 粘りが強いのが特徴で、刻んで味付けをして食べる
- 卵をつけた状態のまま加工し、子持ちめかぶにすることも
- 荒波のもとで育つほどおいしいとされるワカメは、養殖も盛ん
ワカメにはどんな栄養があるの?
ワカメに含まれる栄養成分とその効果を、以下にまとめています。確認してくださいね。
2つの水溶性食物繊維
ワカメにはアルギン酸とフコイダン、2種類の水溶性食物繊維が含まれています。
- アルギン酸
- ワカメの粘りを作り出す、水溶性食物繊維の一種
- 血中の余分な塩分を排出して血圧を下げ、消化を促進する作用がある
- フコイダン
- アルギン酸と同じく、水溶性食物繊維の一種
- 皮膚や粘膜、髪に潤いを与えて健康な状態に保ち、感染症などへの免疫力を高めてくれる
- 胃を保護し、ピロリ菌を除去する
水溶性食物繊維には、総じて腸からの糖の吸収を緩やかにし、血中のコレステロールの低減・排出を促し、成長する作用があります。
このためワカメには、糖尿病や高血圧、高脂血症など生活習慣病予防効果が見込めるのです。
ヨウ素
「ヨード」とも呼ばれる栄養成分で、甲状腺に作用して細胞の活動・発達や体の成長、タンパク質の合成にかかわるホルモン分泌を促す働きをします。
ワカメには100g中に8500㎍の要素が含まれているため、適量を摂取すれば疲労回復、代謝促進によるダイエット効果が見込めるでしょう。
カリウム
ワカメに含まれるミネラル分の一種。体の余分な塩分を汗や尿として排出し、適性値に保つ働きがあります。このため、高血圧の予防・改善効果が見込めます。
マグネシウム
ワカメに含まれるミネラル分の一種。歯や骨を形成するときに必要な、材料のひとつです。他にもリラックス効果や、栄養成分の変換促進、血圧正常化作用がきたいできます。
カルシウム
歯や骨の原料となることで知られる栄養成分。積極的に摂取すれば骨粗鬆症予防や成長促進、神経や筋肉の活動を助ける働きも得られます。
ワカメで健康になるためにはどうやって食べるのがおすすめ?
ワカメの栄養価を活かし、効率的に摂取するための食べ方のコツは、以下の通りです。
ワカメで健康になるための食べ方のコツ
酢と一緒に摂ると、吸収率が良くなる
ワカメの栄養成分は、酢と合わせると分解されて吸収されやすい状態になります。
オクラやキュウリ、こんにゃくなど他の食物繊維豊富な具材と一緒に酢の物にして食べると効率的に栄養を摂取できるでしょう。
栄養的に見ると、油との相性も抜群
酢だけでなく、油もワカメからの栄養吸収を効率的にしてくれる食材です。
炒め物にしたり、サラダにしてオイル入りのドレッシングをかけたり、油揚げなど油分のあるものと合わせて食べるのもおすすめですよ。
できるだけ、汁まで食べる
ワカメの栄養成分のなかには、加熱すると外に逃げてしまう水溶性のものもあります。
味噌汁などの汁物にするか、塩分を調整して酢の物の汁まで飲むなどして、溶けだした栄養成分まで余さず摂る工夫をしてくださいね。
次に、健康のためにワカメを食べるうえで気をつけるべき注意点も見ていきましょう。
ワカメを食べるうえでの注意点
漬けすぎ・煮すぎに注意
酢に漬けすぎたり、煮込みすぎたりするとワカメ特有の美しい色合いと磯の風味が損なわれてしまいます。適度に調味・加熱して、おいしくいただきましょう。
食べすぎは体調不良の原因に
ヨウ素を摂りすぎると、甲状腺機能に障害が起き体調不良の原因となります。ワカメの摂取量は水に戻したもので1日40gを目安とし、食べすぎに気をつけましょう。
おわりに:ワカメは酢や油を一緒に調理師、おいしく食べよう!
フコイダンやアルギン酸、ヨウ素やカリウムなどワカメに含まれる栄養成分は、酢や油と一緒に摂ると吸収率がアップします。ワカメの栄養を効率的に、かつおいしく摂りたいなら、酢の物や炒め物、または汁物にして煮汁ごといただくのが良いでしょう。カットワカメと使えば、ワカメの調理は難しくありません。ぜひ本記事を参考に挑戦してみてくださいね。
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