塩には、おおまかに科学的な製法で作られたものと、天然塩・自然塩の2種類あります。
今回は天然塩・自然塩の健康効果について、その定義や味わいの特徴、科学的な製法で作られた塩との違いと一緒に理解していきましょう。旅先のグルメやお取り寄せを楽しむときの参考にしてください。
天然塩や自然塩ってどんな塩のこと?
天然塩・自然塩とは、科学的な方法を使わず、以下いずれかの方法で作られた塩の総称です。
- 一般的な天然塩・自然塩の定義
-
- 自然の力を用いて作られた塩である
- 薬品や電気を使わず、昔ながらの製法で作られた塩である
なお天然塩・自然塩は、作り方や採取地の特徴により、さらに以下4つに分類できます。
《1》海水から作る天日塩
砂浜に作った塩田に海水をまき、日光や風で水分を蒸発させ、塩の結晶だけを取り出します。ミネラル豊富で独特のうま味・甘味があっておいしいですが、作るのに時間がかかってしまうため、比較的高価です。
《2》海水から作る平釜塩
海水を鍋に入れて煮詰め、濃縮して塩の結晶を取り出します。天日塩と同じくミネラル豊富で、うま味と甘味を感じられるのが特徴です。
湿度の高い日本では自然に水分を蒸発させることが難しいため、この製法で作られた平釜塩が、最も一般的な塩として用いられてきました。
《3》塩の結晶を大地から取り出す岩塩
山肌などにある大きな塩の結晶から削り出し、塩を採取する方法です。アンデス山脈、ヒマラヤ山脈周辺など、主にかつての海が地殻変動で隆起した地域で採れます。
長い時間をかけて周辺の有機物と混ざりあうため、赤やピンク、黒な独特の色合いと風味、強い塩味を感じられます。また希少価値が高いため、高価なものが多いです。
《4》塩分濃度の高い湖水から作る湖塩
ウユニ塩湖や死海など、地殻変動により海水が陸地に閉じ込められてできた塩湖から取り出した塩です。水が少なくなり、岩のように結晶化したところから、塩を削り出します。
天日塩と岩塩の両方の特徴・味わいを併せ持ちますが、なかなか取れない希少な塩であるため、基本的に高価です。
精製塩ってどんな塩なの?
天然塩・自然塩に含まれない塩として、科学的な方法で作られた精製塩があります。
精製塩は海水、または原料用の塩である原塩(げんえん)を水に溶かして電気分解し、さらに煮詰めるなどして塩の主成分である塩化ナトリウムの精度を高めたものです。
作る過程で天然塩・自然塩に含まれているミネラル分を不純物として取り除くため、塩化ナトリウムの純度は99%以上にまで達します。
このため味や質感を天然塩・自然塩と比べると、以下のような特徴が見られます。
- 精製塩ならではの特徴
-
- 雑味はなく、塩が本来持つ塩辛さをダイレクトに感じられる
- 科学的に生成しているため、結晶の大きさが均等でサラサラしている
- 多量生産が可能なため、天然塩・自然塩に比べ品質も価格も安定している
現在「食卓塩」や「食塩」の名称で売られ、最も広く使われている塩は、天然塩・自然塩ではなくこの精製塩です。
天然塩・自然塩が精製塩より健康維持に役立つ理由は?
先述したように、不純物を取り除いて作る精製塩には、天然塩・自然塩が持つミネラル成分がほとんどありません。
- 天然塩・自然塩に含まれるミネラル類
- 塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、鉄、亜鉛 など
これらのミネラル類は、私たちの健康を維持する上で重要な以下のような役割を担っています。
- 塩に含まれるミネラル類が、体で果たす役割
-
- 不要な塩分や水分を体外に排出し、体液の滞りやむくみを防ぐ
- 血流にのって酸素や栄養を運ぶ、赤血球を作る原料となる
- 骨の強化や修復をし、筋肉の収縮がスムーズになるようサポートする
- 食事から摂取したエネルギーや、細胞の生まれ変わりである代謝を促進する
- 味覚障害を予防する など
本来、塩は貴重なミネラルの補給源となるわけですが、精製塩を日常的に使ってしまうと塩からのミネラル補給ができなくなってしまいます。
精製塩は手軽で安価ですが、健康への影響を考えるなら、塩味だけでなく体に必要なミネラル類も摂取できる天然塩・自然塩を使うのが望ましいでしょう。
おわりに:天然塩・自然塩は、ミネラルを含有するから健康にいい!
自然を利用した方法、または昔ながらの製法で作られた塩のことを、精製塩と区別して天然塩・自然塩と呼びます。一般的な食塩・食卓塩として知られる精製塩が純度の高い塩化ナトリウムなのに対し、天然塩・自然塩は塩化ナトリウムの他にミネラル類を豊富に含み、塩辛さの他にうま味・甘味を感じられます。ミネラルは、私たちの体を健康に保つのに欠かせません。健康を考えるなら、精製塩より天然塩・自然塩を選びましょう。
関連記事:しょう油が健康作りに役立つのはなぜ?
関連記事:味噌が体にいいっていわれるのはどうして?
コメント