生でも、煮たり焼いたりして火を通してもおいしい貝は、健康維持にも役立つ食品です。
今回は開のもつ栄養と健康への効果を、食べる上で注意すべきポイントや、恐ろしい貝毒の被害に遭わないためにできることと一緒に理解していきましょう。旅先のグルメやお取り寄せを楽しむときの参考にしてください。
貝が健康維持に役立つのはなぜ?
一般的に「貝が健康に良い」と言われる理由は、以下の4つです。
低脂質、高タンパクな食品だから
肉類や魚介類などの動物性タンパク質は、大豆食品や野菜に比べると、どうしても脂質・カロリーが高くなります。
しかし貝類は、動物性タンパク質のなかでも低脂質・低カロリー、さらに料理綱タンパク質を豊富に含んだ食材です。
貝であれば少ないカロリー分を食べても、十分なタンパク質を摂取できるというわけです。
栄養不足や味覚障害を防いでくれるから
他の食品と比べて、特に貝類に豊富に含まれる栄養として亜鉛が挙げられます。亜鉛はタンパク質の代謝促進、そして味覚の正常化に必要な成分です。
食事から摂取するのが難しく不足しやすい栄養ですが、貝類を積極的に食べれば、十分な量の亜鉛を摂取できるでしょう。
貧血と動脈硬化、骨粗鬆症予防の効果が期待できるから
貝類のうま味の源のひとつである「べタイン」、そしてビタミンB群には貧血を予防したり、血中で悪玉コレステロールが増えることで起こる鉱脈効果を防ぐ作用があります。
また、貝類に豊富に含まれるアミノ酸の一種タウリンには消化促進、肝臓での脂肪代謝促進、血圧正常化、血流促進の効果もあるので、健康の維持や疲労回復を助けてくれます。
余分な塩分・老廃物の排出を促す効果が期待できるから
貝類には、体内の余分な塩分の排出を促す作用のあるカリウムも含まれています。このため、摂取により塩分過多による血圧上昇の抑制、正常化作用が期待できるでしょう。
貝類を食べるとき、栄養面で注意することは?
貝類に含まれる栄養の多くは水溶性で、加熱すると周囲の水分へ溶け出てしまいます。
貝類の栄養を余すところなく摂りたいなら、貝から流れ出た栄養までいただける煮汁や出汁を楽しめるみそ汁や酒蒸し、スープなどにしましょう。
なお、貝類を調理するときは牛乳またはキャベツを一緒に使うのがおすすめ。
貝類が牛乳にない鉄分を補い、キャベツのビタミンCが貝類の栄養の吸収を促してくれるので、よりおいしく効率的に双方の食品の栄養を摂れるようになりますよ。
ただし、塩分量には注意が必要です。貝類は単体でも塩分を含んでいるので、調理時の塩分調整が難しいこともあります。味付けの塩や味噌は、控えめを意識しましょう。
また近年、疲労回復や二日酔いに効くとして貝類の栄養が注目され、濃縮して商品化した栄養食品・サプリメントも販売されていますよね。
これらのサプリメントと貝類を一緒に食べると、特定の栄養の摂りすぎで健康を害する恐れがあります。
どんなに体に良い栄養成分も、摂り過ぎは体に良くありません。貝類を食べるときは量に気を付け、サプリメントとの併用は避けた方が無難でしょう。
貝毒の被害を避けるには?
貝類を食べるとき、栄養面とあわせて知っておくべきリスクに貝毒(かいどく)があります。
貝毒とはホタテやアサリ、牡蠣などの二枚貝が、毒を含むプランクトンを食べることで、貝の体内に蓄積された毒のこと。
日本では麻痺性貝毒、下痢性貝毒の2種類が全国的に確認されており、これらの毒は加熱しても消滅することはありません。
日本で一般的な2つの貝毒
- 麻痺性貝毒
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- 麻痺性の毒をもつプランクトンを食べた貝が持つ貝毒
- ふぐ毒にも匹敵するとされるほどの強毒性があり、最悪の場合は摂取で死に至る可能性も
- 下痢性貝毒
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- 下痢性の毒をもつプランクトンを食べた貝が持つ貝毒
- 食後30分から4時間以内に下痢を発症し、症状が3日程度続く
- 命の危機に陥る可能性は低いとされる
貝が貝毒を持つかどうかは、その貝が育ち生息していた海域によると言われています。
このため、定期的に行われる検査で毒性が確認された海域の貝は、貝毒を持つ可能性があるとして市販されていません。
このため購入して食べる貝に至っては、毒性を気にする必要はないでしょう。
ただし、潮干狩りや海水浴など自家用に摂った貝は検査・規制の対象外となります。貝毒を持っているリスクもありますので、食用にするなら十分な注意が必要です。
各都道府県、厚生労働省が貝毒の発生した海域・出荷停止海域についての情報を公開しているので、確認のうえ食べるかどうかを決めてくださいね。
おわりに:栄養豊富な貝は積極的に食べよう!ただし、貝毒には要注意
低脂質・低カロリーながら、良質なタンパク質、ビタミン類、ミネラル、うま味成分を豊富に含む貝は、非常においしく栄養価の高い食品です。動物性タンパク質を摂取するなら、肉や魚を食べるよりも理想的なバランスの食品だと言えるでしょう。ただし、塩分量と過剰摂取、貝毒による中毒症状には注意が必要です。特に麻痺性貝毒にあたると、死に至る可能性もあります。自分で採ったものでなく、市販されている貝を食べるようにしましょう。
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