心身の健康のため、満員電車よりも自転車での通勤を選ぶ人が増えてきています。
今回は自転車通勤を始める前に知っておきたい、自転車での移動にかかる時間と距離のバランス、速く走れる自転車選びやルート設定のコツなどを解説します。
自転車で1時間に移動できる距離は?
自転車で1時間に移動できる距離は、その自転車のタイプや性能、車体ごとの「旅行速度」と「瞬間速度」によって変わってきます。
- 旅行速度とは?
- 別名「グロス平均速度」。信号待ちや徐行などの停止・減速も含めた、移動にかかった時間全体の平均速度のこと。
- 瞬間速度とは?
- 別名「地点速度」。いま現在出ている速度のことで、刻々と変化するもの。見通しが良く信号待ちのない箇所では速くなるが、車や信号、人のいるところでは遅くなる。
勤務先までの距離をもとに自転車通勤にかかる時間や、自分の自転車で1時間に移動できる距離を求めたい場合は、旅行速度を用いて考える必要があります。
ただ、他の移動手段と比較した目安は調査結果から知ることができます。
例えば東京都の都心部で行われた調査では、電車・バスの公共交通機関と車、自転車を同じ5㎞圏内の移動に使った場合、自転車が他の交通手段より約5分早かったそうです。
人や渋滞で込み合ったエリアの場合、自転車の方が公共交通機関や車よりも旅行速度が速く、1時間あたりに移動できる距離も長いケースもあると覚えておきましょう。
自転車のタイプで速度が変わる!速く走れる自転車はどれ?
ここでは代表的な自転車のタイプ別に、旅行速度の違いを見ていきましょう。
- シティサイクル
- いわゆるママチャリのこと。街中での旅行速度目安は時速9㎞。
- 電動アシスト自転車
- 充電式のバッテリーを搭載したシティサイクル。街中での旅行速度目安は時速9㎞。
- ロードバイク
- 舗装道路での走行に適した、スポーツタイプ自転車。街中での旅行速度目安は時速14㎞。
- マウンテンバイク
- 舗装されていない道、自然のなかのオフロード走行に適したスポーツタイプ自転車。街中での旅行速度目安は時速11㎞。
- クロスバイク
- ロードバイク、マウンテンバイクの特性を併せ持ったスポーツタイプ自転車。街中での旅行速度目安は時速11㎞。
- ミニベロ
- 別名「小径車」とも呼ばれる、折り畳み持ち運びができる小型自転車。街中での旅行速度目安は時速7㎞。
乗る人の筋力・体力によっても変わりますが、上記データからは市街地を走る場合の旅行速度、1時間あたりの走行距離が最も大きいのはロードバイクであることがわかりますね。
自転車通勤を始めたい!距離や所要時間の目安は?
通勤に自転車を利用する場合、勤務先についてから仕事ができるくらいのゆったりしたペースで自転車を漕ぐ必要があります。
無理なく、疲れないペースで自転車に乗ろうと思うと、1㎞進むのにかかる時間はおよそ3分と考えられます。
このペースで1時間自転車を漕ぎ続けると、進める距離は約20㎞という計算になります。
ただ、毎日片道15㎞以上の距離を通勤のためだけに漕ぐのは体力的に難しいでしょう。時間的にも、体への負荷を考えても、続けるのが困難になると考えられます。
毎日通勤として続けても苦にならず、気持ちよく自転車に乗れるのは30~40分程度ではないでしょうか。
1㎞を進むのに3分かかるペースで、30~40分漕ぎ続けると仮定して距離を計算すると、自転車通勤に適した距離は10~13㎞までとなります。
もちろん、本人の体力やモチベーションによっても変わってきますが、まずはこのくらいの距離・時間で走破可能かを、自転車通勤を始めるかどうかの基準にしてみましょう。
自転車通勤のメリット
公共交通機関や車での通勤をやめて、自転車通勤をすることのメリットとしては、以下が挙げられるでしょう。
- 自分でペース配分を変えられるので、時刻表を気にせず家を出る時間を決められる
- 電車やバスが混んでいても、道路が渋滞していても、ストレスなく進むことができる
- 定期代やガソリン代がかからないため、通勤にかかる費用を節約することができる
- 自転車はCO2を排出しないため、通勤するだけでエコ活動に貢献できる
- 血糖値と血圧を下げる運動効果が期待できるため、生活習慣病予防になる
- 体内の脂肪を燃焼させ、筋肉を増やす作用があるため、ダイエット効果が得られる
自転車ダイエットとウォーキングはどちらが痩せやすい?
ウォーキングと自転車、それぞれの1時間あたりの消費カロリーの違いとダイエット目的で行う場合の特徴は、以下の通りです。
ウォーキング
- 体重50㎏の人が、早歩きした場合の消費カロリー
- 260キロカロリー/時間
- 体重60㎏の人が、早歩きした場合の消費カロリー
- 320キロカロリー/時間
- メリット
- 日常的に歩く機会は多いため、場所にかかわらず意識的に取り組める。
自転車
- 体重50㎏の人が、ゆったり漕いだ場合の消費カロリー
- 300キロカロリー/時間
- 体重60㎏の人が、ゆったり漕いだ場合の消費カロリー
- 360キロカロリー/時間
- メリット
- 取り組めるシーンは限定されるが、ウォーキングに比べ、効率的にカロリーを消費できる。
同じ時間の運動で消費されるカロリー比較では、ウォーキングよりも自転車に乗る方が、痩せやすいと言えるでしょう。
自転車通勤するならルート設定が重要!
自転車通勤を始める前に必ずチェックしなければならないのが、勤務先に駐輪場があるか、そして通勤に適したルートはあるかの2点です。
東京や大阪などの市街地では、企業が自社の駐輪場を持っていなかったり、駐輪禁止エリアが多く有料の駐輪場を契約しないと自転車の置き場所がないケースもあります。
自転車通勤を始めるなら、まずは勤務先に駐輪場の有無を確認のうえ、必要ならあらかじめ有料の駐輪場と契約をしましょう。
通勤ルートに関しては、気持ちよく走れて事故に遭うリスクの低い、安全な道を設定するのが理想的です。
以下を参考に、自転車通勤に適したルートを設定してくださいね。
- 自転車通勤のルートに適した道路の条件
-
- できれば、車の出入りのないサイクリングロード
- 車の往来が少なく、歩行者も少ない道
- 歩行者とも車とも接触リスクの低い、道幅の広い道路
- 川沿いの堤防、海辺、公園など景色を楽しめる道
おわりに:無理なく自転車通勤できるのは片道13㎞、30~40分で漕げる範囲
自転車が1時間以内に走れる距離は、自転車の性能や乗る人の体力・筋力・年齢などによって変わります。しかし、1㎞進むのに3分かかるとゆったりしたペースで漕ぐと仮定すると、無理なく通勤に費やせる時間は30~40分、距離にして10~13㎞まででしょう。シニア・プレシニアなどの体力の低下した人であればもう少し調整が必要かもしれません。
本記事を参考に自転車やルートを選び、駐輪場の確認もしたうえで、自転車通勤を楽しんでくださいね。
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