ラムやマトンと呼ばれる羊肉は、世界中で食べられているポピュラーな食肉です。日本では、ジンギスカン用のお肉として親しまれていますよね。
今回は羊肉の栄養価に着目し、部位別の特徴や食べることで得られる健康への効果、栄養的に見ておすすめの食べ合わせを紹介します。旅先のグルメやお取り寄せを楽しむための参考にしてください。
羊肉の種類別・部位別の特徴って?
羊肉には「ラム」か「マトン」か、また各部位によって種類分けすることができます。
- 羊肉のうち、ラムとは
-
- 生後1年未満の子羊の肉のこと
- 羊独特の風味が少なく、きめ細やかな柔らかい肉質であるため、消化が良い
- マトンよりも希少性が高く、高価な傾向がある
- 羊肉のうち、マトンとは
-
- 生後2年以上経過した、大人の羊の肉のこと
- ラムよりも羊肉特有の風味と、しっかりした噛み応えを味わえる赤みの強い肉質
- ジンギスカンによく使われる
なおラム・マトンかを区別する基準は、生産国によってさまざまです。必ずしも生後年数ではなく、永久歯の数や関節の発育度合を基準に判断することもあります。
以下からは、生後年数によらない部位別の羊肉の特徴について、見ていきましょう。
羊肉8部位の特徴
《1》ショルダー
- 肩肉
- 筋が多く硬いが、程よく脂肪が入っているため羊肉の風味が楽しめる部位
- 羊肉の風味をしっかり楽しめる
- ジンギスカン、または煮込み料理に使うのが一般的
《2》ネック
- 首まわりの肉
- 輸入量が少ないため、日本での入手は困難とされている部位
- 主に煮込み料理の具材として使われる
《3》アーム
- 前足部分の肉
- 別名「シャンク」や「すね肉」
- 脂肪が少なく、煮込み料理に良く使われる
《4》チャックロール
- 肩周辺の肉のうち、赤身と脂肪部分のバランスの良い肩ロース部分
- 柔らかくうま味があるため、ステーキなどグリル料理の材料として使われる
《5》ラック
- あばら骨とその周辺の肉
- 別名「リブ」や「骨付きロース」
- 脊髄部分で背側と腹側に分けた状態を「フレンチラック」、肋骨1本ずつに切り分けた状態を「チョップ」と呼ぶ
- ショルダーと並び最も一般的に使われる人気の部位で、ローストなどで食べる
《6》ロイン
- 腰周辺の肉
- ラックの部分と一緒に「ロングロイン」と呼ばれることもある部位
- ヒレ肉にあたる柔らかな肉質の希少部位で、ステーキやタタキに最適
- 高価で取引される
《7》フランク
- おなか周辺の肉
- バラ肉にあたる部分で脂肪が多く、赤身部分とのコントラストが楽しめる
- 煮込み料理や、ケバブの材料として使われることが多い
《8》レッグ
- もも肉のこと
- 脂肪の少ない赤身部分を覆うように、脂肪がついている
- 塊で採取でき、あっさりした味わいで使いやすいとされる
- 和食を含む煮込み料理、ローストに使われる,/li>
羊肉の栄養面での特徴と期待できる健康効果って?
栄養的に見て羊肉の最大の特徴は、他の肉類に比べ脂肪やコレステロールの含有量が少ないうえ、栄養価が高いところにあります。
- 羊肉に含まれる代表的な栄養成分
- タンパク質、ビタミンB群、ミネラル類、オレイン酸、ステアリン酸、パルチミン酸
また脂肪の融点が低く、体内で吸収されにくい点も、羊肉の大きな特徴と言えます。
以下からは、羊肉からこれらの栄養成分を摂取することで得られる健康へのメリットについて、具体的に解説していきます。
貧血を予防し、体をつくる
羊肉の主成分は、人間に欠かせない三大栄養素のひとつタンパク質です。
このうち、羊肉には人間の体内で生成できない必須アミノ酸が、バランス良く含まれています。
また、鉄・亜鉛・銅など血液成分の材料となるミネラル類とビタミンB12も豊富なので、羊肉を食べることで体づくりと貧血予防の両方を叶えることができます。
免疫力を高め、病気を予防する
羊肉に含まれる栄養成分には、それぞれ以下の作用が確認されています。
- 亜鉛
- 細胞の老化・劣化を防ぎ、免疫力を活性化する作用
- オレイン酸
- 血中のコレステロール値を下げ、血液をサラサラにする
- ステアリン酸
- 血中の悪玉コレステロール量を減らす
- パルチミン酸
- 血中の善玉コレステロール量を増やす
このため羊肉を食べることは、感染や高血圧、高脂血症、動脈硬化など、命にかかわる生活習慣病予防にも効果的とされています。
エネルギー代謝を促進し、ダイエット効果を上げる
羊肉に含まれるビタミンB群、そしてアミノ酸の一種であるカルニチンには、以下のような作用が確認されています。
- ビタミンB1
- 食事から体内に取り込まれた糖質の、エネルギーへの変換を助ける
- ビタミンB2
- 食事から体内に取り込まれた脂肪を、効率よくエネルギーに変換する
- ビタミンB6
- 食事から取り込まれたタンパク質の、体内での代謝を促進する
- カルニチン
- 細胞内の脂肪を燃やし、体内の脂肪燃焼を促進する
他の肉類と比べても、羊肉に含まれるカルニチン量は豊富です。その量は同じグラム数の牛肉・豚肉の3~10倍にもなると言われています。
さらに、ビタミンB1・B2には皮膚や粘膜を正常な状態に保ち、保護する作用もあります。
このため、羊肉を食べることで代謝促進によるダイエット効果、そして肌が整うことによる美肌効果まで期待できるのです。
羊肉と栄養面で相性がいい食材やおすすめの食べ方は?
以下に、栄養的に見て羊肉と相性の良い食材の例と、それぞれの食べ合わせで狙える健康への効果を一緒にご紹介していきます。
- 冷え性、また冷えからくる婦人病・消化器の不調を改善する
- ニンジン、ゴマ、ショウガ、黒豆、イカ、ニンニク、クミン、山椒、ナツメグ、米
- 咳や息切れの症状を改善する
- 白きくらげ、銀杏、昆布、ゆり根
- 男性の性力増強、夜間の頻尿を改善する
- オリーブオイル、くるみ、ニンニク
上記の食材をスープ、またはジンギスカンなどのグリル料理とうまく組み合わせて、体調に合わせ食べてみてください。
消化を良くしたい場合は、羊肉をみじん切りにしてクミン、ニンニクと一緒に包んで餃子をつくり、スープにして食べるのがおすすめですよ。
おわりに:低脂質・高タンパクな羊肉は、健康へのメリットが大きい食材
他の肉類に比べて低脂質かつ高タンパク、体に吸収されにくい質の脂肪・コレステロールを含有する羊肉は、健康・美容への効果が大きい肉だと言えます。栄養的に相性の良い食材と組み合わせて継続的に食べれば、貧血予防や体力増強、免疫力アップ、生活習慣病予防などの効果を実感できるはずです。好みに合わせて調理し、おいしく味わってくださいね。
コメント