クワイとは、いわゆる根菜の仲間(正確には茎)であり、古くは縁起物として使われてきた野菜です。滋味あふれる美味しさと心地よい食感を楽しめることから、最近は家庭菜園で作る人も増えてきているみたいです。
今回は、クワイの栄養効果と美味しい食べ方や保存方法のコツについて食材大辞典としてまとめました。
クワイにはどんな栄養が含まれる?
クワイ(慈姑)は、中国原産の水生多年草で、国内でも古くから栽培されています。地下の球状の塊茎を食用にしますが、次の年の春に延びる芽が塊茎上部に見えるため、「芽出度い」(めでたい)と言われて正月料理などに縁起物としてよく使われています。
白クワイ、青クワイ、吹田クワイがあり、主な成分は炭水化物(デンプン)ですが、通常のイモ類の4倍ほどのタンパク質を含むほか、次のような栄養を含みます。
- ミネラル類、とくにカリウムが豊富
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- カリウムは、体内の余分な塩分を尿とともに排泄しむくみや高血圧を予防改善する
- カリウムには、筋肉の収縮をスムーズにする働きと腎臓に溜まりやすい老廃物の排泄を促す働きがある
- マグネシウム、カルシウム、マンガン、リン、セレン、モリブデン、鉄、銅、亜鉛、食物繊維など、健康な体に欠かせないミネラルや食物繊維を豊富に含む
カリウムは、大量に汗をかくことによる夏バテの症状の回復に役立つ
- ビタミンB群、とくにビオチンが豊富
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- ビタミン類は少なめだが、ビタミンB群(B1、B2、B6、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン)を比較的多く含む
- ビタミンB群ではビオチンがとくに多く、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンKも含まれるため、皮膚の健康維持や筋肉痛の緩和、疲労回復に効果が期待できる
クワイの選び方と保存方法のポイントは?
クワイの選び方と保存方法のポイントは以下の通りです。
- クワイの選び方のポイント
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- 芽に張りがありピンとしているもの、丸く膨らんだ部分が硬く表面に艶があるものを選ぶ
- 皮が乾燥していない、なるべく青みのきれいなものが良い
- 使い方に合わせてサイズを使い分ける
- クワイの保存方法のポイント
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- 水性植物なので、保存では「乾燥させない」ことが大切
- 水を張ったボウルなどの容器の中に浸し、冷蔵庫の野菜室に入れて毎日水を取り替えると日持ちする
- 水に酢を混ぜると殺菌作用でさらに持ちが良くなる
- ラップや湿らせた新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫に入れれば2〜3日ほど保存できる
- 一度下茹ですれば、ステンレスバットに広げて冷凍庫に入れ、凍ってから冷凍用袋に入れることで冷凍保存も可能
クワイを美味しく食べるためのポイントは?
クワイはアクが強いので、生では食べられません。煮物で食べる場合も、皮をむいたらすぐに水にさらし、米のとぎ汁にいれて5分ほど下茹でしましょう。揚げたり焼いたりする場合は、下茹での必要はありません。
縁起物として調理するときは、皮は底から上に向かってむき、芽を折らないように気をつけてください。おせち料理では含め煮にしますが、スライスして炒めたり茹でてサラダのように和えて食べても美味しいですし、丸ごと炭火などで素焼きにしてもほくほくとした食感を楽しめます。
苦味が苦手な人は、小さなものなら丸ごと素揚げにしたり、薄切りにして低温でカリカリの状態に揚げ塩を振ってチップスにすれば食べやすいでしょう。
おわりに:パワーの源となり、高血圧予防効果も。アク抜きして煮るほか、揚げ物や焼き物にも◎
クワイは、炭水化物(デンプン)が主な成分で、タンパク質、ミネラル類、特にカリウムが豊富で、高血圧予防や疲労、夏バテの回復などに役立ちます。アクが強いので煮物などでは下茹が必要ですが、揚げたり焼いたりしても美味しいです。縁起物として使うときは、芽を折らないように気を付けましょう。
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